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と、蓮司が目線を下に向けて、――まるで藤谷を見て、バカにするようにニヤついた。
「だってさあ? 人生なんて視野が狭くてしょーもないんだぜえ? この世界のみんなが自由なんてウソっぱちなんだよ。宇宙と同じくらいに自由なのは世界って空間だけなんだぜ?」
――人生がそうだから、藤谷を殺したって問題ないと言っているようにしか聞こえないっ!
「ふざけんな黙れぇえええええええッ!!」
「俺たちはその中の毛穴程度の空間でしか生きられない。視野が狭くてしょうもない人生だよ」
「藤谷の前でッ、藤谷にぃいい!! 聞かせるなぁあああああああッ!!」
「学生時代なんか細胞並みだ。一っ番楽しみたい時だというのに、生きているのが最も楽しい時間なのにッ!! 産まれてきた時点で学生時代の未来はおおよそ決まってるからなッ!!」
「何様だっつってんだろッ!! 言われたくないんだよあんたにだけはぁああああ!!」
「だから少しはいい夢見たいさ。内側の人生は壮大な自由だ。なのに、お前はそれをすっかり受け入れようとしないッ。そうして曖昧にしてる中途半端な決断にカチンときてんだよッ!」
「お願いだから黙れよぉおおおおッ――――――!!」思わず目が閉まったほど叫ばなくては気が済まなかったが、ズグン、とまるで自分の意識がブレた。
が、話さえもやめさせられない。どうすることもできない。――そんなの認めたくない!!
「お前が黙れ。俺に殺されろ。知られたまま帰すと危険なのよ。殺す価値は十分あるのさ」
「ふざけんなっ、そんなんでぇえッ――!!」
櫻は歯を砕きそうなほど食いしばる。眉根を潰すように寄せて、渾身の思いで睨みつける。
こんなにも悔しくて、こんなにも辛くて、許せなくて、
――こんなにも心がぐちゃぐちゃで、胸が重苦しいまま殺されるなんて、絶対に嫌だっ!!
「けど謝るくらいしてから殺されろよ。ごめんなさいって藤谷百合奈に!」
「謝られたくないっ」藤谷の声が柔らかくて、優しくて、必死だった。
――櫻は信じられなかった。
と、蒼白い霞のような、急激な突風が藤谷から、――下から襲いかかってきた。
櫻はまるで立たされた。両腕で顔を覆いながら目を閉めて、二三歩後退させられた。
突風がこなくなったから目を開けて、両腕を下ろすと、揺れて昇る霞の向こう側が見えた。
まるで、蒼白い突風を下へ噴射しているような藤谷が、前かがみで揺れながら、両膝を内に少し寄せて曲げているままの両膝を伸ばしていく。肩が苦しそうに揺れるほど呼吸が荒い。
それでも、藤谷が生きていた。櫻は、どうしても安堵を、少しだけ抱いた。




