表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/221

22222222222222

 と、蓮司(れんじ)の口が開いた。

「イグズィスティンクスは生命(いのち)でもあるんだ。だから、遺伝子の無限の(つな)がりの向こうにいる、無限の親の、一人一人の生命(いのち)もイグズィスティンクスなんだ。なのにお前はっ、」

 蓮司がハンドガンの切っ先のような銃口を向けてくる。

「その(おや)生命(いのち)を、イグズィスティンクスを、本心の再現化(ルニ・オーソナー)膨大(ぼうだい)に消費して、なかったことにさせてきたんだよ。あたかも先祖の一人一人が、この世界の過去に生きていなかった存在にしたかのように。消しやがって! 消費するってのは姿形をなくすからなあ! 誰のおかげで生きられてんのかも忘れてだ!!」

 (おう)は、渾身(こんしん)の力を込めるほど腹の底から念じ続ける。

 それで蓮司(あいつ)が銃口ごと粉微塵(こなみじん)になってしまえばいい。本気でそうなって欲しい。

「先祖がどんなに粗末にできないか分かるか? 親の親、その親の親って(さかのぼ)っていけば、縄文時代までだけじゃない、ホモサピエンスの(おや)(おや)、起源、その起源、自分の親が無限にいんだ。その(おや)がいたからこそ、自分まで続くことができてんだ。だから、その記憶である遺伝子が、自分まで繋いでくれた無数の(おや)との、唯一の繋がりだって分かるんだよッ」

 ――殺したくせに、さっきから必死に叫んでくる。余計にぶっ(つぶ)したくて(たま)らないッ。

「お前は自分の生命(いのち)が減っても元に戻ることをいいことに、自分を大切にするフリをするために削っ(けず)た! 自分の中に無数といてくれている(おや)を大量に殺した大罪人なんだよっ! そんなお前は他人まで殺した!!」

「いい加減黙れッ! 全部全部妄想だ!!」

 例え本当だとしても、蓮司(あんた)にだけは言われたくないッ!!

「あんたが藤谷を殺したッ!! あんたがぁああッ!! 殺したあああああああ!!」

 目も口も裂けそうなほど開けたほど、腹の底から()えてやっても、効いちゃいない。

 言葉だけで殺すことができればと、櫻は切実に思う。しかし言わずにいられない。

「大切なことをたくさん思い出させてくれたんだッ。どうせ誰にも必要とされないで死ぬんだって思ってた僕に、そんなことないって教えてくれたんだ!! でもまだっ、……何も、返せて」

「あぁ、何も返せなかったのね。それはお前がトロかっただけなんじゃないの?」

 ガンッ!! と頭の中を揺さぶられ過ぎて、意識が飛んだような感覚がした。

 それでも。それでもだっ。

「……なんで、殺すまでしたんだッ。なんで藤谷(ふじたに)のことを考えなかったんだッ!! 藤谷の親のこともッ!! 藤谷の周りのこともッ!! 僕だって藤谷の周りの一人なんだぞ!!」

「おいおい、相手のこと考えたら殺せねぇだろ。お前バカじゃねぇの?」

「ッ、アアアアアアアアアアアアアアア!!」櫻はよろめきながらも早く、早く立ち上がった。そして、(なぐ)りかか――()け出そうとしたが蓮司(あいつ)は銃だ。刃物だった。それらで戦っていた。

 ……(はち)の巣にされたり、()り殺されたりしにいくだけだっ。

 止めて、(おさ)えて(あきら)めて、両手が壊れそうになるほど(にぎ)()めるしかない。

 しかしそれだけでは気が済まない。――気が済まないっ!!

「そうやって僕まで殺してぇ! 自分だけ得する魂胆(こんたん)だあんたはぁああああ!!」

「ィヒャハーッ! 俺はそれを罪とは思えないね。そうしてでも生きたいんだからさあ!」

 そんな風に返されるとは思わなかった。信じられなくて櫻は絶句した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ