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ふと、勘違いだと思った。そうだ。死んでなんかいないっ。藤谷のおかげで、藤谷のように優しい人も、この世界にいてくれるんだと、思えたんだっ。生きることは別に、辛いだけじゃないんだと、思い出させてくれたんだっ! 大切なんだッ!! 死んでなんているものかッ!!
近づきたいっ。早く確かめたいっ。滑ってよろめいて右肘をぶつけたりしながら、少しずつ進んでいるらしいが、早く確かめたいっ。――それなのに、どうしても見て取れてしまう。
どうしてなんだっ? どうしてもう、ずっと、永遠に動こうとしないように見えるんだ?
そう思った時にやっと辿りついて、藤谷の両肩をそっと掴んでも、何の反応もしてくれない。
ゾッとした。まさか、本当なのか? 勘違いじゃない? ……本当に死んでしまった?
ただ、感覚が遠くても痺れが痛い。それ以外を感じられない手のせいなのか、本当に藤谷の体温がないせいなのか分からないが、冷たい感じしか分からない。――それでも、なのか?
もう、会えない?
だから強く握ったつもりで握っても、感覚すら答えてくれない。それはずっと、全く。
――藤谷はもう、まさに身を切る痛みを感じさせられていったのかもしれないっ。
やめてくれッ!! 死んでも嫌だッ!! 何も返せずにもう会うことさえできないなんてッ!!
起きてくれっ。そしてこっちを向いて、大丈夫って声で、示してくれっ!!
「生きてくれよ百合奈ァアアアアアッ――――――!!」声が掠れて金切り声になりながらも唸り続けた。全身が猫背になるほど強張った。恐らく藤谷の左肩と首の間に、額が当たった。
涙が追いついてくれない。
追いついてくれないィイッ――――――――!!
突然、蓮司の失笑が聞こえた。――まさに腹を抱えるほどの大笑いだ。
「ハッハッハッハ! 気持ち悪いなあ! バカなのか? お前だって藤谷を殺したんだぞ?」
「……なんだとッ?」歯を砕きそうなほど食いしばりながら、櫻は蓮司を睨みつける。
「こいつの戦う理由はお前だよ。お前だからなんだよ」――櫻はハッと気づいた。今さらだ。
今になって、疑問した。
藤谷に頼まれたことを破った方が、こんなことにはならなかった?
「人殺し以上に罪深いことをしたお前なのに、護ろうとしてたんだぞ? さあ藤谷に謝れよ!」
「……何……なん、だっ……」
「今から証明してやる。そしてきっとお前は今までの自分を殺したくなるほど後悔するだろよ」
「……何を、……言い出す気だよ今度はッ!」
「本心を再現化させるのはな、先祖をもう一度殺すってことをだよ」
「いい加減にしろっつってんだよッ!! 黙って失せろよ!!」
「お前も殺したくせに何言ってやがるよ」そう言った蓮司の片目から細い涙が一筋、伝った。
だからなおさら、櫻は殺しかかる勢いで下から睨みつける。




