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 (にぶ)(はじ)ける固い音が耳を(なぐ)ってきたと同時に、藤谷の背中が迫ってくる。

 その背中から(かすみ)の風は消えていた。

 藤谷が左手を右のシールドの方へ――背中で見えないが、確かに――動かしながら止まった。

 と、両腕のライフルを前に向けた。――左手にもシールド付のライフルを(にぎ)っていた。

 途端、電撃音と破砕音(はさいおん)が同時に鳴ったかのような大音量が、――藤谷が下りてきた時に、少年(れんじ)の方から聞こえた音と同じ、普通じゃない銃撃音(じゅうげきおん)が連続し出した。

「アッハッハッ、当てたくねぇからって囲むのかーい!」藤谷の向こう側で遠くにいる蓮司が、藤谷の頭上よりも高く()び上がった。その蓮司の下では、蒼白い霞の軌跡(きせき)が消えていく。

そして蓮司の背後でも、藤谷のと同じ(ヘキサグラム)の霞が噴出されているし、接近してきている。

 藤谷が銃撃をやめた途端、両腕のシールドを外に広げて駆け出した。同時に重低音が割れたかのような噴出音。氷の粒の混じる突風も襲いかかってきた。あまりにも唐突だったから櫻は、目を細めることしかできなかった。その時に藤谷は蓮司へ跳び上がっていた。そして(ヘキサグラム)の霞を噴出して、突っ込んでいく。右腕のシールドを引いた。

 が、電撃音と破砕音が同時に鳴ったような銃撃音が鳴ったと同時に、藤谷の左のシールドが外へ(はじ)かれた。さらには藤谷(ふじたに)(わき)の下にミドルキックを入れられた途端(とたん)、再び銃撃音(じゅうげきおん)が鳴った。

 ――藤谷が仰向け気味で(こっち)に迫りくる。背中から(ヘキサグラム)の霞がスッと消えていきながらだ。

 電撃を脳天(のうてん)に食らったかのような危機を、(おう)は感じた。

 その時、藤谷の背中で見えなかった蓮司(れんじ)がまた、そして(おお)(かぶ)さるように()()がりながら、ハンドガンの銃口を藤谷へ向けた。――銃口が光って銃撃音が鳴ったと同時に、藤谷が一瞬で視界の下へ消えた。代わりに、電動丸鋸(でんどうまるのこ)円盤状(えんばんじょう)の刃のようになった、薄い桜色が残っていた。それに気づいた時には、()()んだ(にぶ)い音が目の前の下から聞こえた。――気味が悪かった。

 しかし、(おう)は、恐る恐る顔を、下ろした。――呼吸を忘れて、目を()いた。

 後ろ姿の藤谷が氷の、腰の辺りまでのわずかな盛り上がりに寄りかかって、動く気配(けはい)がない。

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