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「そっちのやり方ってさ、道具のように扱ってんだよっ、友達なのに! 昔の僕は腹の底から元に戻りたいと願ってた! やるんだったら本当に必要な時に本心を再現化させるんだよっ!」
「はぁ~あ」と少年が、哀れむような表情で肩をすくめた。
「ホーント、もったいなーいよー。それとも正義とか悪とかにもこーだわって言ってんの?」
ふと、櫻は違和感に気づいた。そしてそれは、そういえばさっきから感じていたらしかった。
何となくだが、少年と、何かが噛み合っていないような、気がする。
「……なんだよ、さっきからもったいないって」
「あぁ、……え?」なんと少年が拍子抜けしたようだった。そんなだから櫻は一瞬呆然とした。
「……いや、……そんなに、もったいないかな? 最初からさ、使える時には使えるし、こっちが必要な時に使えるんだからそれでよくない?」
「……ぃ、いやっいっ、ややちょっと待てっ。何も言うなよ撃つっぞ撃ちゃっうからなぁっ?」
が、駄々をこねて脅しているようにしか聞こえなかった。少年の口調は、さっきとは違って裏に隠された幼さが外に現れたようだった。
……調子が狂う。櫻はどこかげんなりした気分になった。
少年が目を閉じて露骨に落ち着こうと深呼吸を始めた。吐いて、吸って、吐いて目を開けた。
「ぃいーいーいかいよ? 再現化された本心にはイグズィスティンクスってっていっててって急激に増え続ける特性もあるエネルギーを必要とすんだけど知―ってるに決まってるよーな?」
ん? と櫻は眉根を寄せ上げた。
「何で『あ』ってなんねぇの!?」
「し、知らないからに決まってんだろ!?」
……少年がフリーズしていた。完全に予想外の反応を食らったらしかった。目を見開いて、今にも冷汗まみれになりそうで呆気に取られている。
何がどうしてそうなったのかは分からないが、櫻は、そんな少年が少し嬉しかった。笑いが込み上げてくるのを抑えられなくて、鼻で笑うように一瞬だけ吹き出した。
少年が口をあうあうガクガクさせながら何かを言おうとしている。
「んぐぉぅぁじっ、じゃあ、じゃあ! さッ!! ルニ・オーソナーからどやっ、どうやって、ってゆーかぁどぉーゆぅータイミングで出てたったのよー!?」
「…………いや……母さんが出かけた時、とか、僕しかいない時に入空間移動してたんだけど」
というか、入間すると肉体も一緒に移動して、その場から一瞬で消えてしまうからそういう時にしかやれない。
「それに予め退空間移動するまでの時間を設定して自動退間してたし」と言い切っても少年が喉に餅でも詰まらせたかのような顔のままだ。
返事がこない。くる気配がない。
それは変わらない。何秒経っても変わらない。




