3.4!
「百合奈のお父さんは小さい頃に死んで、お母さんも、今も近くにいないんだよっ。大一だけなんだ! なのに大一さえもいなくなったっ!! 百合奈は極限状態なんだよっ。だからっ! ……なのに百合奈に払い除けられて、嫌がられた!! 自分だけなんて嫌だからってっ!!」
「嫌がっ……で、でも、藤谷に大一しかいないなら、なおさら行ってやらなきゃじゃないか! それに、真梨の時はそうだとしてもそれはっ、昔の藤谷だからかもしれないだろ!?」
「知ったかぶるんじゃないよ!!」
「違うッ!! 藤谷だって少しずつ変わってるんだ。真梨だって少しは変わってるんだろっ? 僕だって少しずつ変わってるはずだ。でもそれって、誰にだって共通していることのはずだ! 今はどうか分からないじゃないかっ!」しかし言い切ったが早いか、真梨に鼻で笑われた。
「じゃあどうやってしてやれるのさ? お前が近寄っても、ただ払い除けられるのが終いだね」
「……一人が辛い時に、頼んでなくても来てくれたのを理由もなく鬱陶しがるのなら、それは辛いフリをしてるだけなんだけどね」――そんな甘ったれを藤谷がするとは思えない。
本当はすがりたいはずだ。どんな何事でも理由が、記憶が必ずある。それがないと思うのはまだ見えていないだけだ。藤谷はそれを分かっているから、僕の話を真っ向から聞いてくれた。
そうしてくれた時、本当に、自分の内側の軸に絡みついていたような漠とした重みがまるで水に洗い流されて消えた。楽になった。それが嬉しくて、嬉しくて泣かずにはいられなかった。




