表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/221

4!

「ただ、(おう)が捕まりに行ってくれたおかげでアンチリファードを良い気にさせたんだ。それは逆に余裕を与えたってことなんだよ。ビオナフィラキシーのように、この戦いは楽勝だーとか思えば、その分イグズィスティンクスは守る必要がなくなる。そう思った分、防御力が減るんだ。そこに極大な一撃を与えられたからもっと確実に、大一(たいち)玲奈(れいな)を助けられた」

 そこまで聞いた時、櫻はハ、と目を見開いた。力を入れることを忘れていた。

「だからわたしも高菜(たかな)も、東堂(とうどう)も、百合奈(ゆりな)も、みんな櫻に感謝してる。……ありがとうな」

「そ、そんな……ほ、本当にか、感謝されて、――そもそも感謝していいことなのかよっ!」

「いいんだよ。そもそもお前が一番死ぬ思いして頑張ったんだぞ? 感謝くらいされなきゃよ」

『櫻はちゃんと百合姉(ゆりねえ)の力にも、みんなの力にもなってたんだからなっ』

 そう言ってくれた高菜の言葉が、また彷彿(ほうふつ)された。

「……そう、……だったんだ……」

 涙が目に熱く(にじ)んでくる。

「無駄、じゃ……なかった……」

 ――今すぐ藤谷(ふじたに)に会いたいっ。そして謝りたいっ!!

 その気持ちが急激に込み上がってきた。だから櫻は自然と(うつむ)き加減になっていた顔を上げた。

 真梨(まり)の表情が穏やかそうだったが、なんだか微笑んでいるようにも見えた。

「……でも……藤谷は、……僕が戻ってきた時にはいなかったけど、どこなんだ?」

「……家に帰ってんだろうよ。……昼寝する前くらいにはいたからね」

「なんだと!? じゃあ真梨はっ、藤谷がそこまでだと、分かってる上で眠そうによろよろ歩」

「そっちかい! ……あーあーそうかい。もっぺん食らわないと身にも心にも()みないのねえ」

 櫻はガッと目を()いてガッ、と強烈な生命(いのち)の危機を感じた。

「ったく、……あまりなことだと一人になりたいもんだろうが」と真梨が不機嫌そうに言った。

「……それでも……昼寝できるって……」

「わたしじゃないっ。百合奈のことだ! まさか、無神経だと誤解してんじゃないだろうね!」

「ご、ごめん! 真梨、自分のこと言ってんのかって……」

「誤解させたのこっちかい……。ただ! あーいう時の百合奈は一人になって泣き尽くしたいのさ。……きっと自分だけなんて嫌なんだよ。……それとも泣き虫なのを見られたくないのか」

 櫻は一瞬間(いっしゅんかん)、分からなかった。自分だけ、のところが。ただ、今は一つなら分かる気がする。

 真梨は藤谷の方が傷ついていることが分かっている。しかし、真梨たちも傷ついている。

 ……僕も、自分だけが辛いと振る舞うのはしたくない。

 もしかして藤谷は、自分の中だけで処理しようとしている?

 ……いや、そうじゃない。今までだってあまりなことだったんだ。余裕なんてないはずだ。

 それなのに一人になるなんて……もしかしたら何か……。事情? 理由?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ