……4!?
それで話が終わったが、櫻は、それまでの間、ゾ、と気持ち悪い鳥肌に呑まれていた。
「……だから、ここに戻ってきた時、みんなもっと落ち込んでたんだ……」
そして櫻は、自分が母親から制裁を食らったことなんか、大したことではない、と思った。
藤谷たちが片山から話を聞いている間、櫻は母親に殺されかけていた。
ただ、親をごまかすために予め、初めての練磨が始まる前の準備中で、藤谷と東堂と一緒に、ウソの記念の写真を撮っていた。そのiCPCの画像を見せながら『藤谷と仲のいい先輩の家で、好きな映画を全部連続で視聴しようなんていうあまりやらないようなことをやりに行って、一週間と三日間頑張って楽しかったです』というウソでごまかし切ることはできた。
――が許してもらうためには背中に、竜巻並の飛び回し蹴りを食らわなくてはならなかった。
そんなものと比べるまでもない。背中の痛みはS.I.X.で何とか治ったのだ。
しかし、胸の奥底を抉られて、貫かれたような胸の奥底の疼きはどうにもできない。
――あの、目眩のように視界がブレた直後にもう、破裂が起こっていたのかもしれない。
「櫻のおかげもあって、アンチリファードにとどめを刺せたとも、片山は言っていたね」
「何だって!? それじゃっ、……それじゃあまるで僕も殺しを手伝ったようじゃないかっ!」
「ふざけたこと言うんじゃないよ!! だったらわたしも百合奈も、みんなそうじゃないかっ。勝手に殺したのは片山だ。そのことじゃなくて、アンチリファードを壊滅させられたことだっ」
「そんな……」
――天野さんからの感謝と、高菜からの言葉は、鵜呑みにしてよかったというの?
「でっ、でも片山さんは、ずっとそうしたかったんだろ? あのやり方だってそうだろ!?」
「確かに、あのやり方じゃぁ、考えられないほどの量のイグズィスティンクスを消費するはずだから、思いつきでやったわけではないね。兆も京も、垓もある量だったかもしれない。……けど準備していたのはそれと、自分の戦闘力だけだ。やるべき時だったと見極めたんだろうよ」
「でも、片山さんから『少々マズった』って、……その時って、アンチリファードに捕まると言ってしまった後、片山さんに会って事情を話した時なんだけど、でも……直接言われたんだ」
「それは、……櫻が捕まりにいったことに対してじゃないんだよ」
「そんなっ。……じ、じゃあどういう意味だったんだよっ」
「百合奈の前でなおさら本当のことを言えなかったんだ。百合奈が全身全霊を捧げてまでして櫻を守ったこと、片山は知ってるよ。だけどあの時に本当のことを言ったら、百合奈はもっと落ち込んで、きっと、戦いどころじゃなくなるからね。……百合奈も、櫻と同じことを片山に訊いて、同じことを言われて、謝られて、……ずっと、無言で、酷くショックを受けていたよ」
ガンッ!! と頭の中をぶん殴られた。
そして改めて思い知った。そこまでのことを僕は、したんだと。
思わず唇の裏側で歯を砕かんとするほど食いしばりながら、櫻は両手を握り締める。
――やっぱり僕ってクズだッ!! 恥知らずだッ!!




