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日記

作者: Apricot

八月一日

 まず制服を支給された。化繊の白いブラウスと紺色の膝丈のスカート、それとお揃いのベスト。山ノ中商事 総務部 タナカミドリの誕生だ。ヒールは少しあった方がよいというので、愛用のショッキングピンクのピンヒールを履いていったらカチョーという人にじろじろ見られた。不敬罪ものだが、いたしかたない。


八月七日

 オーエルとはオフィスレディの略だそうだが、ここでのオーエルの扱いはレディとは程遠い。たとえば任務のひとつの『お茶出し』。お茶を淹れてもてなすのはオ―エル側だ。きょうのお茶出しのときに「お盆はどうするの?」とカチョーが訊いてきたので、「ふきんで拭いてきれいにします」と返した。カチョーは時々すごく変な顔になる。


八月十二日

 日本人は渡り鳥のように集団行動に駆り立てられる時期がある。季節によってゴールデンウィーク、盆、正月と使い分けると知った。じいやにも教えねばなるまい。明日から週末まで出社しなくて良いと言われたので、集団行動に倣って城に帰ってみるか。夕方、大雨が降ってきてピンクのハイヒールが泥まみれになる。カチョーが「ゴリラ恐怖にはまいるね」と言っていたが、なるほど凶暴なゴリラなみにおそろしい勢いだった。


八月三十一日

 調査最終日。何事もなく終えた。貧乏くさい制服ともきょうでお別れ。どこの国でも私の正体はあかされない。


お読みいただき、ありがとうございました。


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