表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
町の片隅で  作者: 那海晴
12/13

終わりの日

ついに、来た。

ついに、この日が来た。

終わりの日。

メールのチェックをする。彼奴から、メールが来ていた。辻が、駅に着いたようだ。

青年は、あんこ玉の墓にカルメ焼き入りタッパーを供え、エプロンをして、何時ものように開店の準備をして……、

「……え、……?」

青年は、目を見開く。なんで?なんでっ……。

沢山の、人、人、人。

「やあっと開店かよー。時間、間違ってたじゃん。」

「うるさいなぁ。覚えてなかったんだもん。」

「うわぁー、懐かしいっ!」

「お菓子の国だーっ!」

お店が、戻ってきた。

昔の、俺の大好きなお店が、戻ってきた。

色がつく。

鮮やかになる。

駄菓子屋だ。婆ぁちゃんの駄菓子屋だ。

「……なんで……?」

「おう、もう賑わってんじゃん!」

後ろから燕の声がした。青年は振り向く。

燕。

咲歩。

梨絵。

彩。

奏舞。

兄貴。

「お前等……。」笑顔が、青年の好きな笑顔が溢れている。「お前等が……?」

「ちょっとした、恩返し?みたいな。」梨絵が目を逸らしながら呟く。

「この駄菓子屋が、店員さんは好きだったんだろ?」兄貴の爽やかな笑顔。

「私達も沢山お世話になったし。」咲歩がふわりと笑った。

「彩もこの駄菓子屋さん、好きだよーっ。」彩が青年を見上げた。

「……思い出の場所だし。」マスクの下で、多分奏舞は笑っている。

「と、いうわけ。」してやったり。燕はそんな顔だ。

全く……。

良い奴等すぎるんだよ。

目の前が、少し歪んだ。慌てて目をこする。六人は笑っていた。

「ほら、はやくレジ行きなよ。待ってるよ、皆。」

頷く。

あんこ玉と遊んでたんだー。

駄菓子屋さんに寄るのが楽しみだったんだよな……。

懐かしいっ!

いままで有難う。

有難う。

有難う。有難う。有難う。

その言葉一つ一つに声を返してゆく。

「そうだったの?」

「それは嬉しいな……。」

「此方こそ、有難う。」

六人はすみで青年を見ていた。

「あんな笑顔、初めて見たね……。」

「兄ちゃん、すげえ嬉しそう。」

青年は、笑顔だった。これぞ満面の笑み、という顔。

さて、と梨絵は伸びをする。「金平糖、買おうっと。」

「あ、俺もザラメ煎餅買うーっ!」

「かりんとう、沢山買っとこ。」

「そうだなぁ……。糸引き飴でも買おうかな。」

「お面、まだ残ってるよね。」

「彩も飴ちゃん欲しーっ!」

「麩菓子、残ってるかな。」

固まった。

麩菓子?それが好きな奴なんて、彼奴しかいねぇじゃん。

六人は、そっと振り返る。

「よっ。」

辻。

大切な、大好きな幼馴染。

「辻っ……⁈」なんで⁈、と叫ぶ。

「まぁいろいろとあって。……あの兄ちゃんが、呼んでくれたんだよ。」

ばっと、青年を見る。レジが丁度落ち着いたらしく、ピースをしてきた。

全く……。

久しぶりの、七人。

「……買うか!」

笑顔が弾けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ