終わりの日
ついに、来た。
ついに、この日が来た。
終わりの日。
メールのチェックをする。彼奴から、メールが来ていた。辻が、駅に着いたようだ。
青年は、あんこ玉の墓にカルメ焼き入りタッパーを供え、エプロンをして、何時ものように開店の準備をして……、
「……え、……?」
青年は、目を見開く。なんで?なんでっ……。
沢山の、人、人、人。
「やあっと開店かよー。時間、間違ってたじゃん。」
「うるさいなぁ。覚えてなかったんだもん。」
「うわぁー、懐かしいっ!」
「お菓子の国だーっ!」
お店が、戻ってきた。
昔の、俺の大好きなお店が、戻ってきた。
色がつく。
鮮やかになる。
駄菓子屋だ。婆ぁちゃんの駄菓子屋だ。
「……なんで……?」
「おう、もう賑わってんじゃん!」
後ろから燕の声がした。青年は振り向く。
燕。
咲歩。
梨絵。
彩。
奏舞。
兄貴。
「お前等……。」笑顔が、青年の好きな笑顔が溢れている。「お前等が……?」
「ちょっとした、恩返し?みたいな。」梨絵が目を逸らしながら呟く。
「この駄菓子屋が、店員さんは好きだったんだろ?」兄貴の爽やかな笑顔。
「私達も沢山お世話になったし。」咲歩がふわりと笑った。
「彩もこの駄菓子屋さん、好きだよーっ。」彩が青年を見上げた。
「……思い出の場所だし。」マスクの下で、多分奏舞は笑っている。
「と、いうわけ。」してやったり。燕はそんな顔だ。
全く……。
良い奴等すぎるんだよ。
目の前が、少し歪んだ。慌てて目をこする。六人は笑っていた。
「ほら、はやくレジ行きなよ。待ってるよ、皆。」
頷く。
あんこ玉と遊んでたんだー。
駄菓子屋さんに寄るのが楽しみだったんだよな……。
懐かしいっ!
いままで有難う。
有難う。
有難う。有難う。有難う。
その言葉一つ一つに声を返してゆく。
「そうだったの?」
「それは嬉しいな……。」
「此方こそ、有難う。」
六人はすみで青年を見ていた。
「あんな笑顔、初めて見たね……。」
「兄ちゃん、すげえ嬉しそう。」
青年は、笑顔だった。これぞ満面の笑み、という顔。
さて、と梨絵は伸びをする。「金平糖、買おうっと。」
「あ、俺もザラメ煎餅買うーっ!」
「かりんとう、沢山買っとこ。」
「そうだなぁ……。糸引き飴でも買おうかな。」
「お面、まだ残ってるよね。」
「彩も飴ちゃん欲しーっ!」
「麩菓子、残ってるかな。」
固まった。
麩菓子?それが好きな奴なんて、彼奴しかいねぇじゃん。
六人は、そっと振り返る。
「よっ。」
辻。
大切な、大好きな幼馴染。
「辻っ……⁈」なんで⁈、と叫ぶ。
「まぁいろいろとあって。……あの兄ちゃんが、呼んでくれたんだよ。」
ばっと、青年を見る。レジが丁度落ち着いたらしく、ピースをしてきた。
全く……。
久しぶりの、七人。
「……買うか!」
笑顔が弾けた。




