ep14.なんだかんだ異世界生活が気に入ってる勇者は
よし、難しかった勇者編が終わった!
コレでようやくレイナールを書くことが出来る!
あのキャラは大好きなのですw
コレを読んでくださってる皆さんはどうなんでしょうね?
どのキャラでも良いから好きって言ってくれると嬉しくなりますw
では、部屋を明るくして画面から40cm位離れて御覧下さいなっ!
「進む」意味としては前方に向かって歩くという意味や、物事の程度の度合いが増すなどの意味がある。
さて、こんな良い意味として取ることの出来る「進む」だが、今の状況が進んだ結果なのだとしたならこれは良い意味なのだろうか。
わざわざ四つのベッドのある部屋を取ったのに同じベッドで姫さんとエンヴィーの二人が寝て、朝起きたらベッドと壁の隙間に二人が絡まって嵌っている。
そしてコレは何かの陰謀だと叫んでるエンヴィーに溜息を吐いてるアリアさん。そしていつも通りヒステリックな姫さん。
さて、このカオス度が進んだ状況を良い意味で取れる輩はいるのだろうか。
「はぁ、どちらかが動かずにゆっくり絡まってる身体を引きはがしていけば良いじゃあないかよ」
「……お、お前に言われなくたって解ってる!!」
「解ってるなら早くしろ、馬鹿」
「キィイイイ!!」
「何、姫さんみたいな叫び声上げてんだよ……」
因みに寝起きはすっごく機嫌の悪い俺は今テンションが下落し続け限界突破しかけている状態である。
折角急いで日が暮れる前に街にたどり着き、俺が走り回って宿を探し、ゆっくり眠れて、さあ一日を機嫌良く始めようかて時にこれだ。イライラが凄い。
アリアさんは普通に寝てた。流石アリアさんやでぇ。なんで関西弁なのかはおいておいて。
「……頭に響くから止めて、ホント」
俺が姫さんに似てると言ったらコレである。
近所迷惑甚だしい。馬鹿である。付き合ってられないので顎の先端を蹴って寝かせた。
「あー、なんでコイツはいつもこうなのかねぇ……」
「……悪かったわね」
「別に姫さんにゃあ言ってないよ。なんだかんだで姫さんは後方支援とかしてくれてるし、働きとイコールだからまだ笑ってツッコめるんだが……」
「使えないですもんね」
「そ、そんなことはないのよ!この子だって……」
「……あー、悪い。機嫌悪いってだけで姫さんの恋人貶しちまったな」
「恋人ではないわよっ!!……小さい時から唯一側にいてくれた子だから」
ふむ、姫さんには姫さんなりの経緯があったわけだ。
人間に歴史あり、とはこのことか。こういうヒステリック嬢になるまでには色んな辛い目に遭ってきたんだろう。
もっと暖かい目で見て上げなければいけないかな。
「そんな目で見るな!変態っ!」
「ははは、そうだなー」
「そうですねぇー」
なんかアリアさんまで乗っかってきたことに驚きを隠せないでもないが、まあ良い。
兎にも角にもこの姫さんはDQNなのだから仕方ないと諦めることが出来るようになったしな。
「今、失礼なこと考えたでしょっ!!」
「エ?何ノコトデショー?」
「何よ!その片言イライラするわねぇ!!」
「ちょ、ひ、め、さん!?く、首をっ!」
「ストップです、姫様。勇者様が……」
「ッチ、アリアに感謝しなさいッ!」
……アホか。
いや、まあ、兎に角飯だ。既に起きてから30分も経ってしまった。
向こうの世界で俺は基本的には起きて10分で飯を食っていたからな。
アッチの習慣の所為で起きて直ぐに腹が減るのである。おお、勇者よ、情けない。
さて、エンヴィーを担いで食事をしに下の階に降りる。
「なんだかんだ言ってアンタって優しいわよね……」
「先輩のしてたことを真似てたら身についただけだぜ?」
「アンタのいつも言う先輩ってどんな人なのよ?」
「……それを聞いてくれるのかっ!?先輩はだな、学校一の良い男で、誰かが困っていれば直ぐさま助けにはいるようなそんな人だ!それでだな、先輩の名前はその地域では割と有名で、不良に絡まれてる女性を何も持たずに助け出す、そんな素晴らしい心を持っている人なんだよ!!ああ、不良ってのはコッチでいう賊みたいなものでだな!先輩の素晴らしい所は、どれだけ凄いことをしても鼻にかけずに謙虚に……」
「ああ!もう!良いわよ、面倒だわっ!!」
「面倒ってなんだっ!先輩の素晴らしいところは……」
「五月蠅い!五月蠅い!五月蠅ぁい!!黙れ!私の優雅な朝が消えてしまったじゃないの!」
「聞いたのは姫さんだろ!さぁ、俺の先輩リスペクト心を聞けっ!!」
「……勇者様。周りの方が迷惑がっていますよ?それでは姫様やエンヴィーと同じではありませんか。ストップです。自重しましょう」
「そ、そうだな」
……自分の仕えている相手をそういう風に言うってのは如何なもんかと思わんでもないが、正論だからなあ。
俺自身姫さんやエンヴィーみたいなのにはなりたくねぇし。
「アリア、悪かった。ついつい先輩のことになると熱くなってしまって……」
「いえ、良いのですよ。誰でも譲れないことはありますし、熱くなってしまう時もあるに決まってますよ。人間ですから」
「なんという名言」
「なんという迷言よっ!アレは熱くなってる所じゃあなくて、狂ってるわよ!!」
「……あ?」
「ひぅ!?ご、ごめんなさいぃいいい……」
ふぅ、まだ先行きの長い一人の少女の命が奪わずに済んで良かったぜ。
あの方のことを貶すのは許せないからな……。
「今のはその『先輩』という方では無く、勇者様のことの気がしないでもないですが」
「そ、そうだったのか……」
「……怖かったんだからねっ!謝っても許さないんだからっ!」
「ス、スマン……」
「……べ、別に良いわよっ!」
「いや、謝っても許さないと言ったばかりじゃあないですか……。まぁ、別に良いんですけど」
なんか気づいたらボケの立ち位置になっていた。
まあ、別に良いか。そんな損するわけでもなし、いつもツッコミだと疲れてしまうしな。
それにしてもリアルツンデレは最後に先輩を見た時以来だな。
先輩、俺が色々教えて貰って有り難うございましたって言ったら、俺の理解を深める為だからな、勘違いすんじゃねぇぞ、コノヤローって。
うん、不覚にも萌えたね。男が男に萌えるのは如何なモノかと思わないでもないんだが、うん。正直萌えてしまったからしょうがない。
俺が女だったら先輩に当たって砕けてたと思うんだよね。自信満々に言えるよ。
「んー!じゃ、今日も一日頑張りますか!」
「ですね。頑張って行きましょう」
「フンッ!精々足を引っ張らないことねっ!」
「んぐ……」
「今、物凄くタイミング良く呻いたな……」
ま、なんだかんだで毎日からかいからかわれ、ツッコミツッコまれで楽しいし、頑張ろうか!