とある夜の勇者さん
この小説は小説初心者が書いた下手糞素人小説です。
ダメダメな文章でもOKという方のみ読んでください><
いつの間にか、時計の針は、もう十一時をさしていた。
冷たい空気が俺の体中にまとわりつき、窓の外は漆黒の世界になっている。このあたりは、道路が密集しているため、昼間はエンジン音、クラクションが頻繁に聞こえているが、静けさを取り戻していた。
さっきまで、隣の部屋の妹が、今時流行りのイケメンアイドルグループ主演の恋愛ドラマの音が聞こえていたが、もう寝たのだろうか。全く聞こえない。
そんな中、俺の部屋では、ボタンを押すような音、いかにも古いピコピコという機械音、剣で斬る音が、何回も木霊されていた。
無心でDSiの画面を見つめ、作戦を考え、素早く仲間に指示を出す。そして、敵を葬る……今の俺は、これに夢中だった。
最近発売された、DS専用RPGゲームソフト「LIGHT or DARKNESS」……名前はかっこいいのだが、時代遅れなビジュアル、戦闘システム、ほぼ全てが現代ゲームではないような、あまり良いとは言えない。
雰囲気としては……ゲームボーイバージョンのドラクエとか? そういう感じだ。
だが、所々現代的要素がある。
アバターシステム。自分の分身を作り、まるで自らゲームが入ったような感覚になれる、という最近話題のシステムだ。
あともう一つ。マルチエンディングシステムだ。物語の途中にある選択肢の結果により、物語の内容が変わるという、やりこむのが好きなRPGファンには堪らないシステムだ。
まあ俺は、古めかしい方が好きだったから、簡単にはまったけれど。
剣でモンスターを葬る快感、魔法で仲間を補助したり、敵がどんな攻撃をしたりするか、冷や冷やしたりする……RPGの醍醐味が揃っていれば、文句は言う必要はないと思う。
そして俺は今日も、DSiの画面を睨みつけ、光の国を守るために戦うのだ。
「おお、真珠ゲットー!」
RPGでよくあるアイテムゲットなども、時々嬉しくて声をだしてしまう。
……それが問題で。
「もう、弘樹! まだ起きてるの! 早く寝なさい!」
俺の世界と家の廊下を繋ぐ扉が開かれたと同時に、甲高い女の声が聞こえてきた。
肩ぐらいある栗色の髪、ビー玉のように透き通った瞳、色白の肌、ピンクのキティちゃんのエプロン、その下に真っ白のTシャツ、ブランド物のジーンズ……お袋だ。
「もうすぐ中間テストでしょ? ゲームしてる暇があるなら、テスト勉強しなさい!」
もう、口癖になりつつあるこの言葉。耳にたこができそうだ。
「はーい」
気だるそうな返事をして、俺はDSiを閉じ、ベッドに寝転がった。
「おやすみ、お母さん」
「おやすみ、弘樹」
お袋は微笑みながら、優しい声で扉を閉めた。
さっきの恐ろしさはなんだったんだ。
そう思っている間に、俺の世界はもう闇しかなかった。