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聖剣になってしまった少女は、勇者になれますか?  作者: 風間 蒼月


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聖剣の姫さま、大儲けするぞ

 しばらくして、スキーナはようやく胸の激しい動きを鎮め、無力な口調でつぶやいた。

「今さら言っても仕方ないわ。正直に言いなさい。そんなに借金して買った物資は、どこに保管してるの? いくら貯まってるの?」


「倉庫を借りて、そこに保管しています。鎧が三十着、剣が七十本、乾パンが二台分、あと火油が二十トン、銃が三十挺あります」


 スキーナの表情はいくらか和らいだ。

 だがノヴァとセリアの悲観的な顔を見て、彼女は自分だけはくじけてはならないと悟った。

 こんなときリーダーが崩れたら、誰がチームを率いるのだろう。


「セリアは頼りないけど、完全に失敗したわけじゃないわ。鎧三十着に剣七十本だって! 食料も火油もたっぷり」

 スキーナはさっぱりと笑った。

「これ、馬鹿にならない量よ! 今は一時的な窮地にすぎないの。この物資を活かせれば、借金を返すどころか、大きく稼ぐことだって楽勝よ!」


 彼女は立ち上がり、皆を励ました。

「みんな、暗い顔しないで。これからは獣潮が来るという噂を流して、黙って大もうけするのよ」


 この言葉を聞き、今まで落ち込んでいた二人は一瞬にして目を輝かせ、スキーナに勇気づけられた。


 ノヴァは力強く頷いた。

「分けて売り出して、緊迫感を演出して、もう一度値段を上げましょう!」


 スキーナは満足げにうなずき、嬉しくなった。


「良いじゃない。やっと才能を正しいことに使ったわ」


 セリアは目を曇らせた。

「それって、悪いことじゃないですか……」


 スキーナは「やっぱりね」という目付きをし、彼女の肩を叩いて、余計な良心を消そうとした。

「これは詐欺じゃないわ。市場の先読みよ」


 ノヴァはすぐに理解し、スキーナと目を合わせて大きく笑った。

 エルフだけは白けた様子で、ひそかにつぶやいた。


「反乱でも起こすのかと思ったわ」


「あなたは誰?」


 突然、メンバーに見知らぬ人物が混じっていることに気づいたセリアが不思議そうに訊ねた。

 エルフは、まるでずっと尋ねられるのを待っていたかのように興奮し、布を頭から外した。


 緑色の髪がふわりとほどけ、尖った耳が現れた。

 彼女の口調には、揺るがぬ誇りが宿っていた。


「我が名はエレシア。銀月王国の民であり、風語者の一族の継承者。伝説の高等精霊よ」


 ノヴァは口を開きっぱなしになった。

「す、すごい……」


「風語者って、部署なの?」

 セリアは珍しい点に興味を示した。


 エレシアは冷ややかに彼女を瞥み、質問自体に不満だった。

 凡人は精霊の偉大さと伝説を讃えるべきで、疑問を挟むものではないのだ。


「部署じゃない。血統よ! あなたたちが木の棒で戦っていた頃から、我々は文明を築いていたの……」


「すごいですね!」


 光をまとったような誇り高いエレシアの姿を見て、スキーナの瞳には賢明な光が宿った。


「それならいい。エレシア、ノヴァと一緒に町へ行って噂を流しなさい。

 獣潮が来る、しかもすぐに、規模が大きい、遅れたら命がない――そう言ってきなさい」


 エレシアは一瞬、唖然とした。

 自分が正体を明かした途端、こんな下劣な仕事をさせられるとは思ってもいなかった。

 頬をふくらませ、不満そうに抗議した。


「私に? 銀月王国の風語者継承者が、街中で噂をばらまく? これは私の血統への侮辱よ!」


「侮辱?」

 スキーナは嗤い、彼女の言葉に不快感を覚え、思わず尖った耳をつまんだ。


「や、やめて…… そ、そこは神経が集中してるの!」

 彼女はびくりと身震いし、身動ごとができなくなった。


「精霊よ。こんな狭い橋の下にいることの方が侮辱じゃないの?

 噂を流させるのは暇だからじゃないわ。これが高値で捌くための重要な一歩なの!」


 スキーナが手を離すと、エレシアは怒りで顔を赤らめ、軽く息を弾ませた。


 彼女が自分に「納得した」ように見えたので、スキーナは少しトーンを緩めた。

「大儲けのチャンスは目の前よ。セリア、分かるでしょ? 私たちがここまで来るのは簡単じゃなかったわ」


 隣のノヴァはすでにスキーナの勢いと儲け話に燃え上がり、目を輝かせて拳を握りしめた。

「わかりました! スキーナ、今すぐ行きましょう!」


 エレシアは不満だったが、今は厄介な身であることを思い出し、渋々ノヴァに引かれながら、

「精霊の尊厳に汚点だ」などとぶつぶつ言っていた。


「…… これで本当にいいの? 高く売るなんて、不道徳じゃないですか」

 セリアは濃い陰に包まれ、目に輝きが失われていた。


 スキーナは、ここで諭さなければ、彼女は落ち込むか、心に溝ができていずれ疎遠になると分かっていた。


「他の商人たちが定価で売るわけ? 違うわ。三倍にも値段を上げるわ」


「橋の下に誰かいるのか?」

「こっそり何をしてる?」


 スキーナの得意げな気分はぴたりと止まり、目の色が鋭く変わった。

 彼女は将来きっと天下に名を成すのだから、今のみじめな姿を見られたくなかった。


 すぐにセリアに声をかけた。

「ぼうっとしてないで! 誰か来た、逃げて!」


 外に出ても、新たな難題が待ち受けていた。

 天下は広いが、いったいどこへ行けばいいのだろう。

 旅館は取り立て屋に占拠され、スキーナは教廷に指名手配されている。


 幸い、スキーナは前に多くの依頼をこなしていた。

 冒険者協会へ行き、依頼の証明を確認した店員はすぐに報酬を渡してくれた。


 スキーナは金袋を受け取り、指で軽く量って心が少し落ち着いた。

 開けてみると、金貨七枚と銀貨三枚。十分な額だ。

 これでどこかに身を落ち着けられる。


 だが少女は未来に楽観的な分、現在には強く落ち込んでいた。

 彼女はにぎやかな通りを避け、比較的静かな路地裏を選び、小さいながら清潔な部屋を借りた。


「これから外へ依頼には行かない。教廷に私の指名手配が出てる。

 見つかったら私が捕まるだけじゃなく、あなたたちも巻き添えになるわ」


「そんなはずないです。教廷に証拠なんてまだないはずです」


 スキーナはセリアが自分の味方をしてくれて嬉しかった。

 少し軽い口調で続けた。


「私は聖剣だもの。正体がバレたらやはり追われるわ。

 嫌疑者のままの方が、むしろ一番安全なのよ」


 彼女はこの件について、いつまでもくよくよしている様子はなかった。


 部屋に入り、静かな空間になって初めて、彼女は強がりを少し崩すことができた。


「どうしてこんなことになるの。

 最初に挑発してきたのはそっちなのに。

 どうして道理を分からないで、私が弱いからといって好き勝手にできるの?」


 彼女はこれほどまでに、力を強く渇望したことがなかった。


 スキーナは床に座って両膝を立て、ゆっくりと心の騒ぎを鎮めた。

 瞑想をするのだ。


 瞑想は魔術師が精神力を高める主な方法で、本には精神力を「意識の重さ」と記していた。


 人間の思考は元々存在するが、散乱して軽く、風に舞う塵のようなもの。

 瞑想の目的は思考を凝縮し、意識を沈めること。

 それらが安定すれば精神力が増し、水が低い場所に溜まるように集まっていく。


 精神力が強ければ強いほど、捉えられる魔力の量も多くなるのだ。

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