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出現したダンジョンは俺達を飲み込む

 気づけば、あっという間の出来事だった。


 ダンジョンは、突如出現し、その場にいる着の身着のままの人間を飲み込んでいく。

 出現したばかりのダンジョンには出口がない。ダンジョンに飲み込まれた者達は、モンスターと戦い、その回のダンジョンボスであるモンスターを倒さなくてはならない。

 モンスターと戦うための武器防具といったものは支給されず、雑魚モンスターを倒して、モンスターが使っているモンスターウェポンを入手することが重要だ。

 モンスターウェポンにはランクあり、誰でも使用できるが、ランクが上位になるほど使用者に対する攻撃やサポートの恩恵は凄まじくなる。


 そうやって、現地調達必須のサバイバルが始まれば、たいていの場合は、足手まといになる人間、足を引っ張ろうとする奴などもいる。

 その時の組み合わせ(パーティー)で戦略を立てなくてはならないため、どうしても攻略は遅くなる。


 そうやってダンジョンを攻略し、無事帰還できたパーティーの数は――



 ダンジョンの総数百到達時点で、たったの4組だけであった。



「な、なんだここは!」

「落ち着いてください! ここはダンジョンです!」

「俺達、地下鉄に乗ってたよな? どうなってんだよ!」

「ねぇユッくん! あたし達死んじゃう?」

「おいおい、これはやばいでふ。わい達の組み合わせ(パーティー)の力配分おかしいでふ」

「ダンジョンは決まって理不尽な組み合わせが普通だろ! 帰らなかった奴らがどれだけリスクを持ってたかなんて周知の事実だろ!」


 今回のパーティーは、サラリーマンに優等生っぽい学生、半グレみたいな男とその彼女? それにデブヲタと土木系のおっさん。


 そして、俺。


 随分と好待遇じゃないか。


「皆落ち着け。まずは周囲の安全確認が必須だ」


 ここは、ダンジョン開始地点と呼んでいる平坦で広い空間。

 大抵の場合、ダンジョンはこの場所から始まる。


 初めからモンスターが居たという話は、未だ聞いたことはない。

 とりあえずは、状況確認が先決。


 俺は、その大切さが一番よくわかっている。


「え、なんだ君は。随分と落ち着いてるじゃないか」

「おい、お前どっかで見たことあるな」

「ユっくん! この子アレだよ! ダンジョンから生還したっていう!」

「あ!? あいつらの仲間か! よっしゃ! 最強のパーティーじゃねぇか!」

「な、なんでふと!? もう勝ったでふ! 帰還確定! 有名人!」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 他の連中も、なぜか安堵した様子。


「おい、話を聞け。まずは周囲の状況を見ろ」

「おっ、そうだな! 俺でもそうする!」

「うむ。リーダーはぜひ、君にやってもらいたい。君、名前は何と いうんだい? 僕が佐神大臣(さがみだいじん)。サダイジンってあだ名があるよ」


 優等生っぽい奴が、サダイジンね。

 こいつにだけは自己紹介しておくか。


「俺は、母壁幸人(もかべゆきひと)。知っての通り、人類三番目の帰還者だ。だが――」


 俺の言葉を遮って


「俺は鹿島愉快(かじまゆかい)! よろしくな!」

「あたしはまぁちゃんね! よろしく!」


 半グレっぽいカップルが意気揚々と割って入ってきた。


 そのあとは、流れで全員の名前を聞いた。


「俺は下田請密(しもだうけみつ)。シタウケってあだ名でよろしく」


 サラリーマンのシタウケさん。


「わいは錨一寿男(いかりいすお)でふ!」


 デブヲタはイカリさん。


「俺は高木龍也(たかぎたつや)だ。力自慢なんで、そこんとこよろしく!」


 土木系がタカギさん。


 全部で7人のパーティーだな。


「みんなよろしく。とりあえず俺の話を聞いてくれるか。ダンジョン攻略に大事な話だ」

「当然聞くぜ! あんたの話はここで生き残るための攻略に必要だ!」

「ずいぶん利口な奴だな。意外だ」


 おいおい突然何なんだ。


 いきなり、シタウケさんがカジマに文句をぶつけた。


「あ? なんだテメェ! 文句が案なら聞くぞ?おら」

「あぁ、言ってやりたいことならいくらでもある。まず第一に自分のことしか考えてなさ過ぎだ、君は」

「誰が自分のことだけだってんだよ! いってみろやボケ!」

「君は、モカベ君の話に割り込んで、話を遮り、自分の存在アピールを優先した」

「それのなにが悪いってんだよ!ぉおん?」

「彼から重要な話を聞く機会の逃していると言っているんだよ。俺達はすでにダンジョン内に飲み込まれているんだから、時間のロスは計り知れないだろうね」


 正論だが、さすがに最初から言いすぎだ。


「シタウケさん、そのくらいで大丈夫ですよ。幸い、この場にモンスターは来ていませんから。カジマさんもわかってくれますよね」

「・・・ん、ぁ、ああ。すまねぇ。言い分は正しいと今理解した」


 おお。

 意外とすんなりわかってくれたな。


「なんだ、俺が注意するまでもなかったか。すまない」


 シタウケさん、ちょっと不機嫌残ってるが、まぁ大丈夫だろう。


「よかったでふね! わい少しヒヤヒヤしたでふ!」

「俺もだぁ! ははは!」


 カジマの彼女まあちゃんはずっとカジマを応援していた。


「さて、では俺の話を聞いてくれますか、皆さん。ダンジョン攻略作戦会議です」


 俺は、全員を一か所に集めて作戦を伝える。

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