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EP1-9.

洋人達四人は人気のアトラクション「ドリームツリー」を楽しんだ後、テーマパーク中央にあるフードコート施設で昼食タイムに入っていた。

「ツリーから皆が出てくるカラクリ、あれだけはどうしても見抜けないのよね~。」

「うんうん、GC映像も巧みに使われていて、リアルな演出を頑張ってるって雑誌で見たよ。」

「だからいつ見ても溶け込まれちゃうよね。咲原君も感動した?」

「そうだな。あのイリュージョン技術を取り込めないかと考えた。」

「何言っているんだ?」

三人は不思議そうに洋人を見る。洋人は少し考えている様子だ。

「例えば強盗に追われた時に、あの技術を使えば囮に利用出来るかもしれない。」

内容がとんちんかんな答えだったので、三人は苦笑いをした。

「確かに、そういう利用方法もあるかもしてないけど…すごい電力使いそうよ。」

「そうだ、そのデメリットを補えれば現実に近づくかもしれない。」

「そう、まあずっと悩んでなさい。さてと、皆の食事は何かしら?」

パーク内の昼食を購入すると皆のお小遣いが大変な事になる為、各自持ち寄って食事を摂る事に事前に決めていた。

テーブルの上では、それぞれ色とりどりの食事が並べられていて、零奈はハンバーガーセット、智里はサンドイッチ、浩二は俵むすびランチ、そして洋人は大きなバゲットを取り出した。

「あんた、その大きなバゲットを鞄の中に入れていたの!?というか、それで午後も動ける?」

「乾燥させたチーズとハムを用意している、だから問題ない。俺の昼食はいつもこんな感じだ。日持ちするから長旅にはちょうど良い。」

そう言いながら洋人は薄く切られたドライチーズとハムをバゲットに載せながらもしゃもしゃと食べ始めた。

「いつも…、味気ない食事食べているのね。」

「まあまあ、ランチなんだし、私達が用意したのもそんなに変わらないよ。」

「そうそう、皆フィンガーフードだしな。」

浩二はあっという間に俵むすびを平らげていた。

「確かにそうだけどね、でもいつもって…。そうだ、咲原君が好きな食べ物って何?」

零奈は手にもっていたハンバーガーを食べ切って話す。

「好きな食べ物?そうだな…、モンゴルで食べたヤギの肉鍋は絶品だった。あれは何度も食べたくなる。」

洋人は自信満々に話す。

「えっ!咲原君ってモンゴルに行った事があるの!?スゴイね。」

洋人の発言に驚く三人。

「あんな草原しか無さそうな所、何用で行ったのよ?」

「確かにそうだぜ、学生が行く所じゃないだろ。親の趣味に付き合ったとかか?」

「いや…。」

洋人は話そうとして言葉を詰まらせた。

「ん?言えない事情でもあるの?」

「そうだよね。一つや二つ、言いたくない事情があるよね。」

「いや、そうじゃないのだが…。」

「ごめんね、無理しなくても大丈夫だよ。」

「いや、ただ気まぐれで行きたくなっただけだ。」

また意外な回答で思考が停止し始める三人。

「え、気まぐれ!?それはそれで驚きだわ。」

「咲原君って旅行好きなのかな?これまで海外は何回行ったことあるの?」

「そうだな、海外へはよく行っていた。フライトも100回は超えている、最近は行けてはいないが。」

「100回以上だって!?お金持ち過ぎないか?」

「そ、そんな事はないぞ。」

まずいと思った洋人の額には、少し汗が浮き出てき始めていた。

「年齢考えると短い期間でのフライトだと思うし、それって大変だよね。」

智里は少し心配そうな表情で洋人を見ている。

「若いし鍛えているから大丈夫だ。色々な所へ行くのは楽しいぞ。」

「でも、今って一人暮らししているって言ってたよね?実家は遠いの?」

四人は用意していたランチを食べ終えて、ドリンクタイムに入っていた。

長い時間フードコートに居座っているのは、この後に控えているパレードが見れる席だからだ。

「いや、小さい頃から親とは離れ離れだ。連絡も無いから、詳しくは分からない。」

洋人の回答に零奈はこれ以上聞いてはいけないと思った。

「…そうなんだ、聞いてごめん。」

「という事はますます海外旅行に行けるのかが分からないじゃないか。」

「う~ん、お金の話は止めようか。」

「そうだね、この話はお終い。まあ、あんたの事情が少し分かったわ。」

「まあ、色々とあるんだ。」

洋人は本当の事が知れ渡る事にならなくて、心の中でホッとした。

〜ご案内致します。この後13時30分より、中央大通りにてドリームスカイパレードを開催致します。もう少し経ちますと、大通りの横断が出来なくなりますのでご注意願います。繰り返しご案内致します〜

スピーカーからパレードのアナウンスが流れてきた。

「おっ、パレードがそろそろ始まるね。皆準備は大丈夫?」

零奈はうさ耳を取り出すと頭に装着する。続いて智里はクマ耳、浩二はキツネ耳、洋人はネズミ耳を取り付けた。

「ちょっと意外、咲原君ってこういうのは苦手だと思っていた。」

普通の表情で付けている洋人を見て零奈が話す。

「イベント事は目一杯楽しむものだ。海外では色々な仮装もしたぞ。」

「そうだ、海外慣れしてるんだった。もっと過激な事してそう。」

「でも、こういう事が出来るのは子供の特権でもあるよな。」

浩二は三人を自分に寄せて携帯端末のカメラでシャッターを切る。

「いいえ、大人になっても全力で楽しむのが良いの。ここはそういう所よ。」

〜まもなくドリームスカイパレードが開始します。ゲストの皆様もご一緒に踊って楽しんでください〜

再度聞こえたアナウンスに周囲の人達も大通りを注目し始めた。

「パレードの開始だね。これも楽しみなんだ♪」

智里はすでにウキウキと手を動かしている。

「よし、誰が素敵に魅せれるか勝負よ!」

「え、いきなりのビックリ提案。」

「それは面白い。望む所だ、南米で学んだダンステクニックを披露してやろう。」


パレードは中盤に差し掛かり、フェスタキャッスルやドリームツリーで見られたキャラ達やスタッフ達が入れ替わりでダンスを披露し、ゲスト達を楽しませていた。

それぞれ、サンバの衣装やクラシックダンスの衣装を身に纏い、華やかに踊っている。

着ぐるみを身につけたキャラ達も軽快に踊っているのを見て、洋人は感心していた。

「(なるほど、あれは欺くのに便利な物かもしれない。)」

それなりに踊りながら周囲を警戒していると、小人達が踊っている列に少し不器用な踊りをしている小人を発見した。

「(カバンを持っているから上手く踊れないのか?他は綺麗にまとまっているが…)」

「ん、どうしたの?もうギブアップかしら?」

隣でクルクルと回りながら零奈が聞いてくる。

「あの小人だが、いつもあんな感じなのか?」

小人はそろそろ洋人達の前を通り過ぎる辺りまできていた。

「んー、どうだろ?新人かもしれないし、きっとついていくだけで必死なのよ。」

「そうか、それも一理あるか…。」

20mほど通り過ぎた小人を洋人はしばらく目で追っていると、小人はカバンを上空に放り投げた。

「まさか!危ない、伏せろ!」

その瞬間に洋人は自身に巻き込むようにして三人の身体をサッと地面に倒した。

「うわっ!」

「キャッ!」

「え?何よ!」

零奈が何が起きているのか分からず洋人に聞いた瞬間、

ドォーン!

と、上空に投げられたカバンは大きな音と共に爆発した。

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