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EP1-17.

家に向かって歩いていた零奈達3人は、各所に用意されている非常用避難場所「シェルター」に避難をしていた。ここは誰でも利用出来る場所で、結構な爆撃にも耐えられる構造をしている。

「今日中には帰れないよね?」

「それは仕方がない、身の安全が第一だよ。それに明日からの学校もあるかどうか…。」

「すぐそこにシェルターがあって良かったよな。色んな所が戦闘エリアになってるっていうし、本当に助かったぜ。」

シェルターの中は学校の教室程度の広さがあり、この場所では零奈達を含めて10名程度の人達が避難をしていた。

中には水や食料が備蓄されていたり、簡易的だがトイレやシャワー設備もあって、数日は生活出来る機能を有している。

「さっきSNSの通知を見ていて良かったよね。バッテリーを気にして見てなかったら危なかったと思う。」

智里は端末を操作して話す。先ほどそれぞれの端末に、匿名通知で危険エリアの通知があり、それを確認し、先のエリアが危険と分かったので避難したという流れだ。

3人は身体の汗が気になり、シェルターに入ってすぐにシャワーを浴びた。大勢避難しているシェルターでは揉め合いもあり、設備の利用も躊躇する所だが、ここでは公園で散歩していた年配の方々達がほとんどだった為、暖かく迎えてくれた。

「あっ、これ美味しい。ほら、食べてみて。」

零奈は非常食として備蓄されていたクッキーを智里に渡す。

「あっ、ほんと美味しい。こっちも良い味だよ、備蓄食も進化したよね。」

智里はゼリーを零奈へと渡す。それを見ていた老夫婦はニコリと微笑んだ。

「若い方達がいると元気が出てきて良いね。」

「ほんと、ほんと。」

「あはは、ありがとうございます。」

零奈と智里は少し頬を赤らめて、恥ずかしい気持ちになった。

「はぁ、こうなる可能性も予想して常備薬を少し持ってきてはいたが。持たないかもしれんなぁ。」

「私もですよ。」

「明日には出れると良いですけど。」

「…大丈夫です!今回のテロは小規模だって表示されていたから、きっと明日には出れますよ。」

智里は年配の方達に元気いっぱいの笑顔で声をかけた。

「ありがとね、あなたも不安なのに勇気付けてもらって。」

「い、いえ。こんな時こそ互いに協力するのが良いですし。」

「そうだね、今回はあの時より酷い事はないと思う。」

「あの時…、それはこの国が発足前にあった大戦の事ですよね?」

「ああ、あの戦争はもう起こしてはいけないんだ。」

「もう生きているのが奇跡だったくらいです。」

「…あの、ありがとうございます。」

零奈は年配の方達に御礼の言葉を言った。

「え、どうしたんだい?」

「だって、皆様が平和の為に頑張ってくれたおかげで私達が生活が出来ているんです。だから、感謝を伝えたいって思ったんです。」

「こちらこそありがとう。こうして若い人達が平和を考えてくれているんだって分かって嬉しいよ。」

「俺は感謝される人じゃないな…。」

一人の男性がボソッと呟いた。

「え、何かあったのですか?」

「俺は大戦時に人を殺めてしまった。だから悪い男なんだよ。」

「…でも、その時の事を後悔しているのですよね?」

「ああ、たった一つの銃弾で人が死んでしまったんだ。ずっと心の奥に残ってしまっている。」

「でも、そうしないとあなたが今頃いないのかもしれないですよね?」

「そ、そうかもしれない。それでも…。」

「あなたは命令に従っただけです。だから、その時は仕方がなかった事です。」

「そうですよ。あなたはその人の事を今でも想っている、その人に感謝して生きていくしかないんです。」

「感謝?」

「はい。もし、あなたが躊躇していたらあなたが天国にいるかもしれません。だから、あなたの為にその方は旅立ったと想うしか。だから感謝なんです。」

「…そうだな、そういう風に考えられるって素晴らしいな。」

「私達も平和を願っていますので、だから皆さまには感謝です。」

「こちらこそ、ありがとう。」

「あっ、そういえば咲原と通信出来るかな?ここならバッテリーも少しは気にしないで良いしな。」

「あ、そうだね。あいつも大変な目に会っているじゃないかな?」

浩二は端末を操作して洋人と連絡を試みた。数回のコール音の後、相手から反応があった。

「あ、出た。」

「ほんと?スピーカーに変えてよ。」

「ああ。もしも~し?」

「高梨か?そっちは大丈夫か?」

洋人の声はノイズ交じりで少し端末から離れている感じだった。

「なんか聞こえにくいぞ。」

「すまない、少し立て込んでいる。」

「とりあえずこっちは無事だよ、戦闘が激しくなってきたからシェルターにいるの。」

「そうか、無事で良かった。」

「そういうあんたは何処にいるの?立て込んでいるって、避難している状況じゃないの?」

「今はエリア40地点にいる。詳しい話は出来ないが、今は安全な事は確かだ。」

「え、エリア40ですって?私達よりテーマパークから遠いじゃないの!どうやってそこまで行ったのよ?」

「この雑音は、車で移動している感じですか?」

エリア40はテーマパークから10km以上離れている区域である。

「まあ、良い足を拾ったんだ。」

「なんか誤魔化された感じがするんだけど?」

「詳しくは会えた時に話す。そちらのシェルター情報も拾ったぞ。」

端末の向こうでピピピッと音が聴こえてきた。

「どうかしたの?何か電子音が聴こえたけど?」

「あ、ああ。少しトラブルがあったようだ。」

「ねぇ、本当に大丈夫?危険だったらすぐにシェルターに避難するのよ。」

「ありがとう。ちょっとそちらに構っている状況では無さそうになった。すまないが通信を切るぞ。」

「ちょ、ちょっと。咲原君!?」

プツンと声が途絶え、端末の画面は「通信終了」と表示されていた。

「え~、まずい事になっているんじゃないの。」

「でも私達が今どうする事も出来ないから。大丈夫だと信じるしかないよ。」

「そうだな…。」


洋人は跳躍した瞬間に鳴り響いた電子音に反応し、ブースターを逆噴射して緊急回避行動をし、飛んできた銃弾をなんとか躱していた。

「正確な射撃だったから助かったか!次はどうか?むっ、急接近だと!?」

BDの端末から警報音が鳴り響いた。レーダーには速く動く黄色い丸が表示されている。

「ん?通信だと!?」

短距離通信が入ってきたので、洋人は応じる事にした。

「今、射撃してきたのはお前か?」

「ああ、綺麗に避けてくれたことに感謝するぞ。」

「何を言っているんだ?」

「そして、再び出会えた事に感謝するぞ、ヨージン!」

「な!?ヨージンだと…?」

洋人が操縦するBDのモニタには空を飛んでいる銀色の機体が映っていた。

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