EP1-12.
第二ゲートから第一ゲートへ繋がる通路で、壁に備え付けられた機械類から火が燃え上がっており、通路全体を巻き込むほどに燃え広がっていた。
少し異臭もあって、化学薬品などが燃えているような煙も発生している。
「ガンマ3、ガンマ4応答せよ!…クソったれ!」
燃え広がる通路で叫ぶ男。機動性に優れてそうなアーマーを着て、砲身が短いアサルトライフルを持っている。
隣にも2人の男が立っていて、燃えて塞がれている通路を見つめていた。
「薬品が撒かれていたのでしょう!それに時限爆弾が引火したようです。」
「この煙は毒性が強いはず!また私達が着ているアーマーでは、この熱に耐えれそうではありません!」
撒かれていた薬品の量が多かったのか、燃え広がっている炎は絶える事なく、さらに広がってきていた。
「こちらガンマ5!ガンマ1、聞こえますか!」
「ガンマ5!こちらガンマ1、聞こえてるぞ!」
「ガンマ5、6は生存。ガンマ3、4は炎の中です!こちらからもアクセスは出来ません!」
「そっちに消火設備は無いか!?」
「近くに見つけましたが、機能を切断されており使用不可です!」
「なんだと!?なんて用意周到なんだ!お前達だけで先に行かせるわけにはいかない!作戦は中止、各自、退避可能箇所から脱出せよ!」
「ガンマ5、了解!」
「こちらガンマ1!アルファ聞こえるか?聞いての通り、爆破物により通路が切断されて行動不可!脱出を試みる!」
ガンマ1とコードネームが付いている男は、日本支部の待機本部に通信を入れた。
「こちらアルファ、作戦中止を許可する。安全路を確保して脱出せよ。」
「了解した!ガンマ3と4に関しては、ご家族に顔合わせ出来ると良いがな…。」
「こちらで新たな救出方法を検討する。」
「了解!頼んだぜ!」
ロボットメーカーへの救出部隊との通信を終えた日本支部の待機本部では、すぐに次の作戦を始めていた。
「ここはヒューマン型BDを投入しましょう。」
「新型をこういう形でお披露目するのは考え物だが、やむを得んな。」
「ドッキングシステムもクリアしている、人命救助と考えるしかないな。」
「決まりだ、操縦者に連絡しろ。」
「了解、あちらにも通信を入れておきます。」
こうして、日本支部では第二の救出作戦が始まろうとしていた。
「こちらも新型で脱出しましょう!コンテナを運ばせれば、まとめて脱出可能です。」
ロボットメーカー側もBDでの脱出作戦を決行しようとしていた。
「そうですね。今回は交渉の場で披露する予定でしたが、盗まれる事になったらとんでもないです。」
「第三ゲートに誰かいるようです。しかし簡単には開けられないはず、セキュリティを変更しておいて良かった。」
「ん?熱源反応があるな、爆発物か!」
「ゲートを力ずくで破壊する気のようですね。」
「第三ゲートは人が持てる武器では破られないように設計させた物です。きっと大丈夫かと…。」
「我々が考えられる武器ならな。」
「とにかく、いち早くここから脱出をしよう。少しくらい機密情報が漏れたって、私達が作り上げた技術を解読される事は少ない。」
第三ゲートでは、先ほど第二ゲートで戦っていた男がゲートの破壊行動をしていた。
先ほど使用したレーザー銃や設置型爆薬を使用して破壊を試みるが、ゲートは少し傷が付く程度で、破壊するにはほど遠い様子だ。
「なんでテーマパークでこんな堅物を用意してやがる!まあ、それだけの重要機密を隠してるって事だよな!」
男は担いでいる大きなバッグをおろして、中から腕型の機械を取り出した。とても重厚そうで、色々な機能がありそうなパーツが腕の周りに取り付けられている。
「ここを回避しようと思ったが、まさかダクトも無いとは、中はどうなっているんだ?」
男は腕の機械を自身の腕に装着し、電源をONさせる。機械は青白く光り出し、ブンッという起動音を鳴らした。
「こんな形で使用したくはなかったけどよ。お偉いさん達から許可は取っているし、どこで使おうが俺の勝手だな!」
ゲートの方向に腕を向けてしっかりと構えた男は、別のスイッチを押す。腕の機械から砲身が飛び出し、さらに大きな音が発生し、その砲身から白い光の閃光が放たれた。
放たれた閃光はすぐにゲートへとぶつかり、その衝撃音はとても大きく、静かなフロアに鳴り響く。
先ほどの攻撃では少ししか傷つかなかったゲートは、大きな衝撃を与えられた事で、ハンマーで殴られみたいにへしゃげてしまった。
「もう一発で終わりそうだな!」
男は再度スイッチを押して、次の衝撃に備える。少しチャージタイムが必要なのか、砲身はすぐには光らなかった。
「他にも武器は用意している、中に何が潜んでようと大丈夫なはずだ。」
「残念だが、ここでチェックメイトとさせてもらう。」
「なっ!?」
首元にヒヤリと冷たさを感じた瞬間に、男は首を切り刻まれ抵抗する事なく絶命した。
「調子に乗りすぎて、周りが見えてなかったのがお前の敗因だ。」
腕パーツを装備した男を殺害した男性と思われる人物は、ドラキュラのような仮面を付けていて、顔を確認する事は出来ない。殺害する時も自身に血しぶきがかからないよう、体勢に気を付けた動きをしていた。
「ここでどれだけの勢力が動いている?」
仮面の男は持っていたナイフを捨て、背中に背負ってる剣を手に構え、ゲートに向かって一振りした。
ひしゃげていたゲートは斜めに切られ、綺麗な三角形二つになって床に転げ落ちた。
「この男の仲間も数人いるはずだが、任務を全うするのみだ。」
仮面の男はゆっくりとした動作でゲートの先を進んでいった。
「咲原君から連絡あった?」
パークからの避難を終えた三人は駅に到着していた。洋人の状況を智里は浩二に確認する。
「いや、何通かメッセージは送ったけど、一言あってからは何も無いな。」
「まあ、大丈夫とだけだけど、連絡は来たんだしきっと大丈夫よ。」
「そうだね、また来週元気な姿で学校で会えるといいね。」
「しかし、ここまで混雑しているとは予想できなかったなぁ。」
「ほんとよ、一体いつになったら電車に乗れるのよ~。」
三人は駅には到着したものの、改札口に人がぎっしりといる状況で、中に入れないでいた。
パーク内の事件に周辺の住民にも避難指示が発令されたので、駅に人が集中してしまった形だ。
あれから大きなトラブルは無かったので、駅内は混乱している様子は無い。
「駅員に聞こうにも前に進めないね。周りについていくしかないかな…。」
「歩いて帰る距離でもないからなぁ。じっくりと待つしかないか。」
「その間に何もなければいいけど…。」
と、話していると、アナウンスが聞こえてきた。
~お知らせします。只今、日本支部からエリア38にて武力衝突が発生したとの連絡が入りました。周辺の施設はセーフ機能に移行及び人命最優先の対応をします。繰り返します~
「え、それって電車が動かなくなるって事だよね?」
「まさか、訓練していたけど実際に起こるなんてな。」
「と、とりあえず外に出よう。ドミノ倒しとかになったら危険だし!」
「さすがちさ!すぐに考えられるその頭が欲しいよ。」
三人はアナウンスが繰り返し流れている途中で駅から出て、広い所を目指した。




