第7章
サブローの家は外観は大理石で出来た豪邸だった。中も広く、掃除の行き届いた清潔な空間だった。
「君達には二階に住んでもらう。キッチンやバス、トイレも好きに使っていいぞ」サブローは2人に説明した。
「夕食は午後7時だ」
「オッサンが作るのかよ」とケンが訊いた。
「勿論だ、私の30年にも及ぶ独身生活で培った腕前はプロ級並みだぞ!」と腕を折り、誇らしげに言った。
「で、オッサンはどんな能力を持っているんだ?」
「私は手に触れた人物の中に入れ込み、人を操作するという能力だ」
「へぇ~、そりゃまた凄い能力だな、いつか俺の瞬間移動と勝負しようぜ」
「まあ、そんな時がきたらな」
ケンとサラは二階に行き、夫々の部屋のドアを開いた。そこはベッド、テレビ、テーブル、タンス、机等が揃った広いスペースの清潔な空間だった。
「ステキ、あたし以前からこんな部屋に住みたいと思ってたの。施設にいたころとはぜんぜん違う」
サラは目を輝かせた。
「まあまあだな」とケンは少しケチるように言った。
「おいサラ、無断で俺の部屋に入って来るんじゃねえぞ!」
「何よ、あなただってあたしの着替え中に瞬間移動して入ってこないでね!」
「しね~よ、バカ!」
やがて7時になった。
2人はダイニングに行き、テーブルに着くと2人は目を見開いた。テーブルには古今東西から選りすぐられたようなご馳走のオンパレードが乗ってあった。
「すげーな、これみんなオッサンが作ったのか?」
「ああ、今日は特に腕によりをかけて作った」
2人は食事に手を伸ばした。味もスパイスの利いてるものや、濃厚でジューシーな風味の食感のものが鱈腹あった。
食費中にテレビのアナウンスが、ある事件の内容を告げた。それはメリカン共和国大統領グルジの暗殺事件だった。
食事中のケンは、ゲホッゲホッと食事を喉に詰らせ、グラスの水をググーっと飲んでテレビに見入った。
「グルジ大統領がジェシカの街を凱旋中に銃撃され死亡した事件について詳しくお伝えします」とニュースのアナウンサーは告げた。
「そう、暗殺されたのだ」とサブローは言った。
「今日の午後1時過ぎの出来事だが、こういう衝撃的な一報が伝えられて世間はざわついている」
その時テレビの画面が切り替わり、クリルの顔を映し出した。
「グルジ大統領は我々との密約を公開しようとして暗殺されたのだ!」
一同は驚いた顔をした。
「撃ったのはスリーメイソンのメンバーで、この銃撃者はレプティリアンの手によって国外に逃亡している」
「なんで公開しようとしたの?」とサラが訊いた。
「グルジはこれ以上隠し通せなかったのだ… 今の世界は宇宙人の存在など知られていない、まさか自分達が、宇宙人によって創生されたなど誰も思っていない。そんな大それた事を一般人に隠すなど、以ての外だ、という考えに辿り着いた。しかしそれはレプティリアン達には都合が悪い事だったのだ…」
「その理由て?」
「今は話せない、話せば長くなる、とにかくレプティリアンはそれを忌み嫌ったのだ」
「まあ、こういったショッキングなニュースを聞くと私たちの責務を重く感じるな」
「まあ諸君は取り乱さないでくれ」クリルの顔は消え、いつものテレビ画面に戻った。
「あたしたち、て大変な事に関わっているのね!」とサラが怯えたように言った。
咳払いしたケンが言った。「グルジ大統領がなんだって?それよりもメシの途中だろ、メシメシ~‼」