第3章
ケンは目を覚ました。今日も父親が工房で革細工を作っていた。
ケンは学校に行く準備をした。
ケンの家は父子家庭だった。母親はケンが幼いころに亡くなっていた。
ケンは学校に行っても楽しくなかった。成績も悪く、いつもテストで酷い点ばかりをとっていた。またいじめられっ子で、いつも他の子のカバンを背負わされていた。
ケンはある日学校をズル休みした。その事に対して父親はなにも言わず、知らん顔していた。
ケンは部屋で横になり、テレビを見ていた。
ケンの父親は言った。「なあ、ケン、無理して学校に行かなくてもいいんだぞ。それよりもお前うちの家業を継がないか?お父さんがお前に革細工を教えてやる」
「俺、革細工なんか興味ねえよ」
「じゃあ好きにするんだな!」
ケンの父親はお茶を飲み干すと、再び工房に向かっていった。
ある日、ケンの父親は落ち着かずに部屋をウロウロしていた。何かに怯えているようだった。
「なあ、ケン、お父さんと一緒にこの家を出ないか?お父さんはもしかしたら命を狙われるかも知れないんだ!」
「何かあったのかよ」
「お父さんが秘密結社に入っていることは知っているだろ、その結社にとって重要な秘密を知ってしまったんだ」
ケンの父親は世界的な秘密結社スリーメイソンのメンバーだった。
「今夜決行する、お父さんと一緒に逃げよう!」
ケンはただ茫然としていた。
ケンの父親は荷物を纏めだした。
ケンは何故かウキウキしてきだした。これから大冒険が始まろうとしている。
「ケン、夜の11時にここからでるぞ!今のうちににしっかり食事して寝とくんだ!」
やがて日もとっぷり暮れ夜になった。ケンは胸がドキドキしてきた。
ケンと父親は大きなリュックを背負い、外に出た。電車の最終便に乗り込み、父親と並んで座席に座った。
「いいか、ケン、これからは大変な生活になる。これからはホテルに寝泊まりする生活が続くと思うが、お前も覚悟しとくんだ!」
ケンは訳が分からず、ただ眠気眼を擦るのだった。