第二章
サブローの両親はサーマン教という宗教団体に入信していた。サーマン教と云うのは古代の予言を成就させようという謂わばカルト団体だ。
この世界にはある恐怖の予言が残されていた。この世界にはバイブルという書物が存在し人々の品行を導こうという古代からの賢人によって書かれた書物である。
この書物によると世界はハルマゲドンという世界最終戦争により世界は滅亡し、選ばれた良人だけが生き残り、この世はエデンの園というパラダイスになるという教えだった。
両親はサブローが中学生になった時、この宗教の洗礼を受けることを勧めた。
しかしサブローは首を縦に振らなかった。
「お父さん、お母さん、そんな教えはまやかしだよ!」と言った。
「神様はそんな選民志向じゃない… 万人の人を救うんだよ!そういった選民志向はサタンの教えだよ!」と主張した。
「それより僕はやりたい事がある、大学に行って弁護士になりたいんだ」
サブローが弁護士になりたいという夢は、ある人との出会いが切っ掛けだった。サブローが小学生の頃、自転車に乗っていて車と接触事故を起こしてしまった。サブローは足の骨を折ってしまった。車を運転していた会社員はサブローがいきなり飛び出してきた、と主張した。しかしこの裁判を担当した弁護士は、この事故現場を捜査し、寧ろ自動車の方に過失があるのではないか、と主張した。やがてこの実況見分が認められ、サブローの勝ちとなった。
この弁護士は、サブローの入院している病院を訪れ、「私が必ず君を必ず勝利に導いてやる、君は何にも心配しなくていいからね!」弁護士はサブローの肩を叩いた。サブローはこの弁護士がかっこいいなぁ~」と思った。
サブローは高校生になると、両親の元を離れ、寮に入った。もうあの両親とは一緒に暮らせない。
それからサブローは勉強に勉強を重ね、法律系の大学に入った。
あれから30年、今は立派に弁護士になり、弱い立場の人を救ってやる毎日だった。