ジョシュアの受難「酒は飲んでも呑まれるな」⑥
ゲイルの声が怒りに震え、グラスをカウンターに叩きつける。近くの客たちが驚いた様子で彼を見つめた。
その中で、ホムズじいさんが立ち上がり、憤りに満ちた声で叫んだ。
「くだらねえ嘘を並べて、何がしたいんだよ! お前の話なんざ、まるで信じられねえんだよ!」
ホムズじいさんの怒鳴り声が酒場に響き渡る。
その声にゲイルも椅子から立ち上がって対峙した。
「お前こそ、何を根拠にワシの話を嘘だと言うのだ! これはワシが体験した真実だ!」
「ふん! 老いぼれが今さら若い者に媚びて話題作りか? お涙頂戴なんて、ほんと、笑わせるぜ!」
両者の間に緊張が走り、周囲の者たちが再び好奇の目を向ける。
おい、また喧嘩か…?
どうしてこう、ここのじじい共は年寄のくせに血の気が多いんだ⁉
「まーまーまー。楽しいお酒の場所なんですから。ここのお酒は全部、ジョージくんが払ってくれるそうなので機嫌直してくださいよ~」
「おおっ? 酒おごってくれるんか!?」
「ゲイルさんも!」
「……そうだな。ワシも少し冷静さを欠いておったわ」
おい、いつの間に俺が金を払う事になってるんだ?
しかし、コイツが喋ることでさっきまで険悪だった空気があっという間にほぐれた。
トビアス……この底抜けの明るさが、コイツの生きる力なのかも知れない。
「おーおー、酒代出してくれるってのはおめえか? トビアスのダチだっけか? ほら、おめえも飲めって! さっきから全然、飲んでねえじゃねえか」
にたにたした笑みを浮かべながら、ホムズじいさんが俺に酒を勧めてくる。
「私は遠慮しておきます。あなた達で……」
「あ゛? 俺の酒が飲めねえってのかぁ、ああん!?」
「いや、その酒の金を払ってるのは俺…もががっ!?」
口の中に思いっきり酒を注ぎ込まれ、身悶えする。
このじじい、覚えてろよ……!!
「ジョージくん、良い飲みっぷりです~! ルッティアさ~ん、お酒じゃんじゃん持って来てくださーい!」
その後、ルッティアや常連の客たちに酒を勧められ、飲まされ続けた。
俺は酒に弱いのに断ることもできず、その結果は……敢えて言うまでもないだろう。




