5 高校1年生 3
御堂から呼び出しがあったあたりから、御堂が美里に近づいて行った。
御堂の友達と美里の友達が付き合い始めたのもあって、御堂と美里を加えた4人で行動することが増えていった。
呼び出しの際のヤツの態度や内容の事もあり、御堂の中学時代を知る生徒に聞いてみたところ、女性関係ではあまりいい噂を聞かなかったと聞いた。
とても不安だった。美里が弄ばれるんじゃないかと。
そんなある日曜日、いつも通り勉強していると夜8時位に俺の家の前を美里と御堂が二人で歩いているのが見えた。
美里の家は向かいの少し離れたところにあったので、御堂が送ってきたのだろう。
気になって見ていると、特に何かあるわけではなく、美里は御堂と別れて家に入っていった。
俺は居ても立っても居られなくなり、美里の家へと向かった。
「こんばんは、お久しぶりです、おばさん。」
「あらぁ、和也君じゃないの!久しぶり、たまにはウチに顔出してくれてもいいのよ?」
「あ、ありがとうございます。その、美里は居ますか?」
「居るよ、ちょっと待ってね。」
しばらくして美里が2階から降りてきた。
「何?和也どうしたの?」
「悪い、ちょっと話せるか?」
「まぁいいけど。」
玄関のドアを閉め、面倒臭そうに美里が外に出てきた。
「あのさ、御堂の事なんだけど。」
「うん、武志がどうしたの?」
美里も御堂の事呼び捨てしてるのか…。
「あいつの事ちょっと聞いてみたんだけど、あんまりいい噂聞かないから、話すなとは言わんけどあんまり仲良くするのもどうかと思う。」
「は!?武志と話したこともないのに何でそんな事いうの?」
「いやだって、この間」
「武志がどうとかいう前に自分の事どうにかした方がいいんじゃない?自分の事棚に上げて人を貶めるなんて最低!」
「いやちょっと待っ」
バタンと扉を閉めて美里は家に入ってしまった。
御堂の噂のことを伝えようとしたが、聞く耳持たなかったな。
俺は暫く呆然と立ち尽くしていた。