4 高校1年生 2
高校1年の冬を過ぎると、美里は何人かの男に告白されるようになった。
俺との関係は俺が帰宅部、美里はテニス部なので登下校で一緒になることもなく、一緒の時間はほぼ無くなっていた。
辛くはあったが幼馴染としての関係は切れていたわけではないので、俺も努力を続けていた。
それにまだ美里の隣に並ぶことを諦めたわけではなかったから。
「なあ、なんか御堂が戸倉さん狙ってるらしいぜ。こないだテニス部の男連中が言ってたのを聞いたんだ。お前気になんねーの?」
御堂武志、男子テニス部に所属してる成績も優秀なイケメンだ。
気にはなるが、今の俺では告白する勇気が出ない。
「まぁ、気にはなるけど決めるのは美里だろ。」
「そうだけどよ、うかうかしてらんねーんじゃねーの?」
わかってるよ!けど、ちっとも成績上がらないし自分に自信が持てないんだよ!
そんなある日、その御堂に呼び出された。
「谷口、ちょっと話があるから昼休み空き教室まで来てくれるか?」
美里関係の話しかないな。好きなものとかでも聞かれんのかな?
「あのさぁ、谷口って美里と付き合ってるわけじゃないんだよな?」
美里の事呼び捨てかよ…。
「あぁ、付き合ってないけど。」
「幼馴染だか何だか知らんけど、お前みたいな冴えないヤツが美里の周りうろちょろしてると迷惑なんだよ。」
「はぁ?うろちょろなんてしてねーよ。御堂に関係ねーだろ。」
「関係あるんだよ、俺は美里の彼氏になる予定だからな。兎に角邪魔はすんなよ。」
そう言い放って御堂は去っていった。
なんだ?アイツ、好き勝手言いやがって。
この時の俺は御堂に負けないようにと少しモチベーションが上がっていた。