3 高校1年生 1
入学式当日。
「和也、3年間またよろしくね!」
「おう、よろしくな。制服似合ってるじゃん。」
「おっと、ありがと!和也もカッコいいよ!」
着慣れない制服に少し戸惑いながら一緒に登校した。
「ところで和也は部活またサッカーやるの?」
多分俺は学校以外勉強しないとついて行けない気がする…。
「俺は帰宅部かな。サッカーはもういいかな。」
「えー、もったいなくない?和也結構上手かったのに。」
「いいんだよ。中学で満足したから。美里はどうすんの?」
「うーん、テニス部入ろうかなって思ってる。中学では文化部だったから、運動部入ってみたくて。」
そんな会話をしてたら学校に着いた。
「あっ!クラス一緒じゃん!」
「そうみたいだな。」
教室に入り、周りの何人かと自己紹介や挨拶を交わす。
美里の周りには既に人だかりが出来ていた。
流石のコミュ力だな。
「へぇー、戸倉さんと谷口君は幼馴染なんだぁ。一緒に登校してたから彼氏彼女なのかなと思ったけど、どうなの?」
「えっ、つ、付き合ってないよ?今までずっと一緒だったから…。」
「ふーん、そっかそっか。」
そんな会話が聞こえてくる。胸を張って美里は俺の彼女だって言えるように頑張って、告白するのが今の目標だ。
入学から3か月もすると自分や美里のクラスでの立ち位置が見えてきた。
俺は雑談をする程度の友人はいるが、放課後は全て勉強に充てているため、友人と放課後遊びに行くようなことはなかった。
美里はテニス部に入部し、交友関係も広い。
「和也も一緒に遊びに行こうよ!放課後すぐ家に帰っても漫画とかゲームしてるんでしょ?」
本当は授業についていくのに必死だから勉強ばっかりしてるなんて、みっともなくて言えない。
「まぁそうだけど、あんまり気乗りしないから。」
その後、テストがあったが、その結果に絶望した。
あんなに勉強してたのに、順位は散々だった。勉強の仕方に問題があるのかもしれないが、人に聞けなかった。
「ねぇ、和也もっと頑張んないとヤバイよ。部活もやってないのに成績下から何番目とか格好悪いよ。」
「わかってるよ。」
「中学の頃はサッカー頑張ってたけど、高校に入ってからの和也は努力が足りないと思うよ。」
努力はしてるさ!家に帰ってずっと勉強してるのに…。
この頃から美里の俺に対する態度がキツくなっていった。