13 高校1年生 8
翌朝家を出ると美里が立っていた。
「おはよ!」
「おぉ、おはよう。今日部活は?」
「休んじゃった!いろいろあったし!」
声は元気だが目の下のクマが…。
「寝れなかったのか?」
「あぁ、わかっちゃう?昨日ね、あれから全部両親に話したの。最初は千賀高校で何とかならないかって言われたけど、ちゃんと自分の気持ちを話してわかってもらえたよ。」
「そっか。なら俺からは何もないよ。」
「うん!それでね?あの…。早速なんだけどお弁当作ったの。食べてくれる?」
夜両親と話し合いをして朝弁当も作ったのか…。だから寝不足ってことか。
「まぁ俺はいつも購買だからいいけど…。美里料理出来たっけ?」
「こっそりお母さんから教わってたから、そんなに胸張って出来るって言えるレベルかはわかんないけど、不味くはないと思うよ。」
「そうか。じゃあもらうよ。」
「あっ、い、一緒に食べるのはダメかな?」
「教室ではちょっとな…。」
「じゃあ違う場所で食べようよ!ね?」
「わかったよ。」
今までの美里とあまりにも態度が違うので少し戸惑ってしまう。中学時代に戻ったみたいだ。
教室に着くと、美里も緊張しているみたいだった。
「よお美里、ダメ男になんかされたのか?急に一緒に登校するなんてどうしたんだよ?」
御堂が話しかけてくる。昨日の事は無かったことにするみたいだ。まぁ証拠もないしな。
「気安く名前で呼ばないで!3人でグルになって私を騙したくせに!」
「何のこと言ってんのか全然わかんねぇんだけど?やっぱりダメ男に何かされたんだな?」
「和也の事ダメ男だなんて呼ばないでよ!」
「美里が言い出したんだろ?何言ってんだよ?」
「っ!それは…。私が勘違いしてただけなの!ダメなのは私だったの!和也はダメなんかじゃない!」
「みんな、聞いてただろ?ダメ男がなんか美里に吹き込んだみたいだぜ?美里がおかしくなっちまった。」
「ねぇ、美里どうしちゃったの?何かされたの?」
「違うの!何もされてない!私がバカだったの!私ずっと前から和也の事が好きだったの!
でも勘違いしちゃって今まで和也に酷いこと言っちゃってたの!」
おい、皆の前で言っちゃうのかよ…。
「えぇ?!」
まぁ、そうなるよな…。
「ダメ男の事散々馬鹿にしといて今更何言ってんだよ?なぁ美里、今なら昨日の事無かったことにしてまた遊んでやってもいいんだぜ?」
「ふざけないで!あんた達なんか大っ嫌い!2度と遊ばないし口もききたくないし名前で呼ばないで!」
「…っちっ!好きにしろよ、ダメ男と一緒に教室の隅で大人しくしてろ、バーカ!」
「えっ、美里ぉどうなってんの?」
クラスメイトが美里の周りに集まってくる。
美里は興奮が治まらないようで息を荒くしながら昨日の事を説明しだした。
「えぇ、そんなことがあったんだ…。アイツら最低…。本当に谷口君に何かされたとかじゃないんだよね?」
「されてないよ!ただ私が謝って告白して振られただけ。」
「えぇ?!振られたの?」
「うん、それは私が悪いからしょうがないよ。でも諦めないよ!」
何とか落ち着いたみたいだが…。俺が落ち着かないよ…。