12 高校1年生 7
「うん、正直もうどうでもいいから。」
「えっ?どうでも…?」
「母さんがどこまでしゃべったのか知らないけど、俺転校しようと思ってるから。もう関係ないだろ?」
「そんな…。」
「最後だから言うけど、ずっと美里の事好きだったよ。だから勉強も頑張れたと思う。まぁ結果は出なかったけど。
でもさ恋人になれなくても胸を張って幼馴染ですって言えるよう頑張ろうと思ってたんだ。美里に『武志が幼馴染なら良かった』って言われるまでは。」
「あっあれは!」
「その時どんな気持ちで美里が言ったのかはわからないけど、あの瞬間俺の美里に対する気持ちが無くなったんだ。」
「いっ嫌っ!私も和也の事ずっと好きだったよ!だから」
「無理だよ。もう美里の事好きじゃないから。」
「わっ私がずっと勘違いしてたの!和也がずっと頑張ってたなんて知らなかったの!
本当に反省してるの!本当にごめんなさい!私和也の事好きなの!」
「もう俺の事はほっといて御堂とかと楽しく高校生活送ってくれよ。」
「あんな奴どうだっていいの!大っ嫌い!だから、ね?勉強なら私が教えてあげるよ?
もう和也を傷つけるようなこと絶対言わないよ?そうだ、毎日お弁当も作るよ!
お昼休みは毎日一緒に食べよう?だから転校するなんて言わないで…。私の事どうでもいいなんて言わないでよ…。」
美里は泣き崩れてしまった。
流れで美里から告白されたが、気持ちは動かされなかった。
入学当初に聞いていたらうれしかったんだろうな…。
しばらくして美里が少し落ち着いたのか、今までの美里の気持ちを語りだした。
今日あった御堂達との件も聞いた。流石に無事で良かったとは思ったがそれ以上の事は思わなかった。
思えば俺もちゃんと勉強が辛いこととか、サッカー部に入らなかった本当の理由とか話しておけば良かったとは思ったが、今更感が強い。
「和也はずっと頑張ってたから今度は私が頑張る番だと思う。
だから私の事好きでなくなったのはしょうがないと思うけど、もう一度私にチャンスを下さい。
また好きになってもらえるように頑張るから。和也の事好きでいさせて下さい。和也のそばにいさせて下さい。」
「美里はモテるんだから俺にこだわる必要はないと思う。他の人と楽しく過ごした方が」
「お願い!そばにいたいの!幼馴染としての縁も終わっちゃったら辛すぎるよ…。」
「でも俺転校するしなぁ。」
「私も転校するよ!」
「そんなのおじさんもおばさんも賛成するわけねぇだろ。」
「説得する!あんな人たちがいる学校なんて嫌だし。」
「でも俺がまた美里の事好きになれるかわかんねぇのに転校までするのは…。」
「いいの!私がそうしたいの!後悔したくないから。もし和也が私の事好きになれなかったとしても頑張りたいの。」
「うーん…。とにかくこれからの事はおじさんおばさんとちゃんと話してから決めろよ。」
「っ!!じゃ、じゃあそばにいてもいいの…?」
「まぁ美里の顔も見たくないってわけじゃないからな…。」
「ありがとう!私頑張るからっ!頑張るからね!」
そう言って美里は帰っていった。