11 美里side 3
カラオケから逃げ帰った後、和也に謝ろうと思った私は和也の家に向かった。
「あっ、こんばんは。おばさん、お久しぶりです。」
「久しぶりねぇ!美里ちゃん奇麗になって!最近ちっとも顔見せてくれないからおばさん寂しかったのよ?」
「すっすいません!部活とか忙しくて…。」
「そうよね!美里ちゃんはテニスやってるんだっけ?部活もやってるのに成績もトップなんてすごいわね!」
「いっいえ、そんな事ないですよ。」
「和也なんてねぇ!毎日勉強ばっかりしてるのにぜんっぜん成績上がらなくてねぇ!まぁアタシと旦那の子だからしょうがないか!」
「…えっ?毎日勉強ばっかり?」
「そうなのよ!高校受験の時からね!毎日6~7時間はやってるかしら?」
「…そんなに?」
「小学校の頃美里ちゃんがくれた指輪覚えてる?あの指輪大事にしまっててねぇ、あれがあったから頑張れたのかな?」
あっ…。あった…。思い出した。そんな…。和也はずっと努力してた?高校受験の頃から?私の勉強時間の倍の時間を…。
そういえば和也は勉強大嫌いだった…。私と同じ高校に行くために頑張ってた?高校に入ってからもサッカーやらなかったのも勉強するため?
「だけどごめんね?頑張っても無理だったみたい。聞いてると思うけど、4月から和也のレベルにあった高校に行くことになると思うの。」
「えっ…。ちょっ、ちょっと、待って下さい。転校するんですか?」
「そうなの。あっ、今日編入試験だったからまだわかんないけどね。あれ?聞いてないの?」
「すいません、聞いてないです…。」
さっきから衝撃的すぎて理解が追い付かない…。和也が転校しちゃう?そんな…。
ずっとあの指輪を大事にしてくれて、大嫌いな勉強頑張ってたのに転校するの?どうして?
兎に角和也に謝らなきゃ!
「あっあのっ!和也部屋に居ますか?」
「うん、いるから上がって頂戴。なんでか知らないけど、和也、美里ちゃんに何も話してないみたいだからちゃんと話してくるのよ?」
「はい、ありがとうございます。お邪魔します。」
階段を上がりながら和也の事を考えていると、罪悪感と後悔で涙が止まらなくなった。
和也、本当にごめんね…。