十円玉が表か裏かで勝負が決まる! あなたの幸運を確かめるため、相手の女子を一枚ずつ脱がす。これは夢の中に現れた女神様から依頼されたことで実現した、究極のゲームなのである!
いわゆるコイントスだと、慣れない人がやったら成功しないでゲームが進まないと思ったので、このお話では置いて隠す方式にしました。少なくとも作中の相手は多分、運動神経が悪いほうです。
今日のあなたは幸運だった。
十円玉を使い、裏か表を言い当てて、外したほうが制服や上履きを一つずつ脱ぐという勝負をすることにした。負けたほうには拒否権が与えられないという、勝者が絶対のルールを定めた。
なぜこんなことになったかというと、あなたが幸運の女神が現れる夢を見たからだ。夢で告げられたことが本当なのかを試してみたいと言って、相手が応じたのである。もっとも、勝負もルールもあなたが独断で決めたのではあるが。
あなたは女子高生で、相手も同じクラスの女子高生。
彼女は、よくネットゲームを一緒にプレイする、同じクラスの友人だ。黒い髪をゴムで一つにまとめている、クラスでもあまり目立たない部類の女子だと言える。地味な女子ではあるが、あなたに寄り添ってくれる良い子でもあった。
あなた達がいるこの場所は、放課後の今の時間であれば誰も来ないであろう旧校舎三階の空き教室。ある程度スペースが空いている、教室内の後ろ側。
仮にあなたが幸運になったのであれば、邪魔する輩は誰もここに来ないということになる。
これは、あなたから言い出したゲームだ。公平を期すため、初手は相手に譲ってあげた。
彼女は背を向け、十円玉を右手の甲に置き、左手で隠してからあなたのほうに向き直した。
あなたは裏と言った。
「あっ、当たった……」
驚く相手は左手を離して答えをあなたに見せた。裏だった。
十円玉が本物なのは確認済みで、ちゃんと裏と表がある。
あなたは女子から十円玉を受け取った。
「じゃあ、脱ぐね……」
女子は紺色のブレザーを脱いだ。近くの机に畳んでから置いた。
勝負に負けて、疑いなく本当に脱ぐとは、あなたも思わなかった。これは本当に、幸運が味方しているのかもしれないと思った。
次はあなたの番だ。相手と同じように十円玉を手で隠した。
「表?」
聞いてきた相手は……答えを外す。あなたは裏だというのを明かした。
「えっ、また負け? でも、二回連続で負けることぐらい、普通にあるよね。そう言えば、昨日はゲームでも負けが続いたなぁ……」
相手が脱いだのは、片方の上履きだった。
あなた達の高校の制服には、リボンやネクタイがついていない。ならば、次に上履きを脱ぐのは当然だろう。まじめな女子なら、上履きよりも先にスカートやブラウスを脱いだりはしないものである。
きれいではない床に靴下で立たせてしまう点については、あなたも申しわけなく思った。
二週目。相手の隠す番。
あなたは表と言い当てる。
「また負けちゃった……」
彼女は、まだ履いていた左の上履きを脱いだ。
その後も彼女は負け続け、黒いロングソックスを右、左、と脱いだ。
「嘘……やっぱり本当に、幸運の女神様っているのかな?」
またも相手は負けた。あなたの隠した表を裏と答えたのだ。あなたは喋ってないで早く脱ぐよう言った。
「うん……」
対戦相手は膝丈まである紺色のスカートを脱いだが……下には体操服を着ていた。そのため、彼女にはまだ余裕があった。次の敗北でブラウスを脱いでも、下には体操着を着ているから大丈夫だと安心していたはずだ。
しかし、彼女の隠す番であなたが言い当てて、向こうはまたまた負けとなる。ボタンを外して、ブラウスを脱いだ。彼女の緊張感は一段と上がった。
紺色ハーフパンツの中に白い半袖シャツの裾を入れている女子は、――次もあなたに敗北した。表が正解だったのに、裏だと答えてしまう。
「ねえ、もう幸運の女神様がいるって分かったから、この辺でやめない?」
あなたは相手の申し入れを拒否した。上か下かを選ぶよう急かした。
「うぅ……」
迷った彼女は、上の半袖体操着を脱いだ。白い質素なブラジャーを身に着けていた。胸部はあまり大きくない。
今度は彼女が十円玉を隠す番。ここでも負けた。もはや彼女に選択肢は無かった。
「うん、脱ぐよ、脱げばいいんでしょ……っ」
ハーフパンツを脱ぐと、白いショーツが露わになった。
ブラジャー姿になった時点で、すでに相手は恥ずかしそうにしていた。上下ともに下着姿になった彼女は両手で胸部を隠すものの、白い下着を完全には隠し切れず、逆にいやらしい。
ブレザー制服姿のままでいるあなたは十円玉を手の甲に隠す。下着姿の相手の前へと、重ねた手を出した。
「表!」
違った。裏だった。
相手は青ざめた。なんと十連敗。こんなに連続で負けるなんて思っていなかったに違いない。
「ごめんなさいっ、これ以上はムリだよ! もうやめよう。ね?」
女子は泣きそうな顔で懇願する。
しかし、あなたは許さない態度を見せる。敗北者に拒否権はないと最初に約束したでしょう? と、告げた。
「そ、そうだけど……」
脅える彼女に対して、あなたはずっと怖い顔を向け、ひたすら待ち続けた。
精神的に弱っていた彼女は、次第に負けを受け入れようとしたようだ。つまりは、上と下、どちらを脱ぐかを悩み、ついにはブラジャーへと手をかけようとした。
その時――。
あなたは提案した。
言う通りにしてくれたら、脱がなくてもいい、と。
「えっ、本当?」
相手に笑顔が戻った。
あなたが彼女に出した提案はこうだ。今から先ほど脱いだ半袖の体操服を着て、この用意した紺色のブルマを穿いて、あなたの頭部を挟むというもの。
下着姿でいるのが相当恥ずかしかったのだろう。なんであなたがブルマを所持しているかを不思議にも思わない様子で、彼女は喜んで承諾した。
彼女が着替える間、あなたは汚れている木の床も気にせず、仰向けで横になった。
体操着姿になった女子は、見た目が下着と大差ないブルマを着用しているからか、まだ恥ずかしそうだった。その表情に、あなたは耐え難い快楽を感じてしまう。
「じゃあ……、乗るね? ごめんなさい……っ」
彼女はあなたの体を跨ぎ、あなたは頭を寄せた。彼女があなたの頭を持って、慎重にブルマの真下で挟もうとする。
この時、あなたは女子の両足を逃げられないよう押さえつけて、――ブルマに向かって頭突きをした。
「うあぁっ! ちょっと! やめてよっ!」
抗議する相手にも怯まず、あなたはグイグイと押した。
最高に心地良い。
変態の本性をさらけ出したあなたは、この貴重で素晴らしいひと時に感激してしまう。同性でありながらも、あなたは彼女への愛を、ここぞとばかりに開放させた。
この時には、あなたの興奮以外のことも同時に起こっていた。
あなたにも相手にも『それ』は見えなかったが、確かに『それ』は相手の中に入り、夢の中であなたが聞いた『敵』を捕らえに行った。
その後、あなたは顔をくっつけるのをやめ、強引に平静を装った。女子も元の制服姿に戻り、ブルマをあなたに返した。
彼女は、なんだかすっきりしたと言っていた。
あなたの任務は無事に完了した。
■
その日の夜も、あなたは夢を見る。
緑の庭園が広がり、金髪の美しい女神が登場した。
「ご協力ありがとうございます。あなたのお陰で、彼女に取り憑いていた『敗北神』を捕らえることが出来ました」
この女神は、幸運を冠した女神ではない。本日の勝負は、相手の女子の中に敗北の神がいたからこそ、彼女は負け続けていたのであった。
女神の説明によると、下界でいたずらしようと企てていた、敗北神なる負の神様が、あの女子に憑依していたらしい。彼女の趣味であるネットゲームで連日負けさせて、苦しんでいる様子を楽しもうとしていたようだ。
あの友人の中にいる敗北神を捕えるためには、あなたに憑依した女神があなたを介して、彼女の下半身から入り込む必要があった。本当なら制服スカートの上からでも良かったのだが、せっかくなので、あなたは今回のチャンスを利用する。勝負形式にして、ブルマで挟んでもらうことにした。
あなたは女神に対し、こう答えた。
友人を苦しめる悪人の逮捕に協力するのは当然のことです、と。
「そうおしゃって頂けて恐縮ですわ」
女神は笑顔を見せた。
ちなみにこの女神様も、あなたが脱衣勝負に持ち込むことに賛成だった。神がかった究極のゲームの目撃者になれますねと、興奮さえもしていた。
今回の一件で大損をしたのは、被害者の女子のみだったようだ。
「あの敗北神はきちんと捕らえられ、厳しい罰を受けています。ご安心下さい」
急にあなたの前で浮かび上がった水晶玉には、肌を露出した黒い下着姿の美少女が捕らえられ、はたきのような棒で拷問を受けている様子が映る。かわいそうで、あまりご安心出来なかった。
「では、重ねて感謝を申し上げます。あなたがたの青春に幸運があることを、私は常に天界で祈っていますよ」
夢から覚め、あなたは自室ベッドで目が覚めた。
あの女神は幸運の女神ではなかったけれども、あなたにとっては幸運の女神だった。
友人に恥ずかしいブルマを穿かせて、頭突きをして気持ち良くなれたのだから。それも、相手が大好きな子なのだから、幸運でないはずがない。
敗北神から解放された友人は昨夜、一緒にプレイしたネットゲームで勝ちが多かった。これが彼女の本来の姿だ。
今夜もそうなるだろうとあなたは思った。彼女と一緒に楽しくゲームが出来ることもまた、幸運である。
(終わり)
今回のお話は、当初は脱衣するほうの野球拳にしようかとも思っていました。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。『とんでもなく不気味なキス!』など、変態好みの作品を数多くご用意していますので、良かったらぜひお楽しみ下さい。