37話 遺品?
ソニアはミニマリストのようだった。
この土地ではそんな考えはブームになってはいないようだが、画材を除いてあまり物を持たない生活をしていたようだ。二階の洗面所、風呂場、キッチンを見てみたが、必要最低限のものばかりだ。二階にはろくに手がかりになりそうなものがない。
手がかりになりそうなものは犯人が持っていってしまったのかもしれない。希望は途絶えるが一階に行き、画材を見てみた。
「ソニア、ごめんなさいね。でもどうしても自殺に思えないのよ」
私は一応謝罪をした後、画材を見てみる。不思議な事に書きかけの絵はもりん、スケッチブッにあるラフも見られない。ソニアはいつも「落書きしないと落ち着かない」と言って、よくそうしていたのに。
絵に何か犯人にとって都合の悪い事が描かれていたのだろうか?
ソニアを殺したのは、証拠隠滅目的?
モニカも何かを知って殺された?
犯人はこうして証拠を隠しているようだし、突発的な犯行では無いようである。
本棚も見てみる。資料として使っていたのかデッサンやきのこ、話の絵の本が多く詰め込まれている。ものを持たない女ではあったが、絵に関しては例外のようだ。この世界の美術史の本もある。めくると、この世界画家として成功するのはとても大変らしい。もともと宗教が強く根づく国ではあるし、芸術は二の次とい印象だ。
男尊女卑の国ではないが、女性の画家もほとんど存在しないようだ。結婚後の出産や家事もハードルになようだ。また画家の感性も出産後に衰えるケースもある事など科学的根拠もない事だが、堂々と書籍に乗っている。表向きは女性も社会進出している国のようだが、完璧ではようだった。ソニアが書いたと思われるメモ帳もこの本に挟まっている。
『画家で稼ぐのは夢のまた夢ね。いっそ金持ちにパトロンにでもなってもらおうか』
メモの言葉は、私の心もぎゅっと締め付ける。ヘクターが言っていた金目当てにソニアは結婚した事も現実味を帯びる。おそらくヘクターの言うことは事実だろうが、ブラッドリーの態度を見る限り、完全に割り切った関係でも無さそうである。
ただ、こんなメモをみる限り、ソニアが悩んでいた事は事実だろう。遺書に見えるあの紙もソニアの筆跡だ。それは偽造の跡がない。
本は一通り調べたが、ほかに手がかりは見つけられそうに無い。
結局私は手がかりは見つけられなかった。
牧師さんは、混乱状態のブラッドリーやアラン保安官をようやく宥めたようで、上の方は静かだった。
二階に再び行き、牧師さんはこれからソニアの遺体を教会に運んだり、葬儀の準備で忙しくなるそうで、落ち着いたアラン保安官と共に再びどこかへ行ってしまった。
ブラッドリーもソニアの親類に連絡しないと出ていき、残されたジェイクと私は二人で帰る事になった。
「はぁ、まさかこんな事になるなんてさ」
ジェイクは顔を押さえて、深いため息をついた。




