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22話 日本人は意外と不作法かも知れない

 英語には、モテ期やモテるとダイレクトに現す単語がない。


 日本にいた頃いくら探してみてもこれと言った単語はなかった。近い言葉は、「popular」だが。「Many men like her」と文章で言ってしまった方が良いだろう。単語で説明できない事も噛み砕いて言えば、中学生レベルの文法や語彙でも会話自体は可能である。むしろどうでもいい語彙をつけすぎたせいで話せない日本人も多いのではないだろうか。


 そんな事を考えながら、クラリッサの屋敷の庭の雪かきをする。


 プラムは、謎の暗殺者の調査でずっと電話中だし、クラリッサを働かせるわけにはいかない。今日のジミーの仕事までまだ時間もあった。


「手伝ってあげるよ!」


 クラウスがニコニコ顔で近づいてきた。思わず「げっ」という顔をしてしまう。モテ期なのかも知れないが、クラウスには珍しい動物に興味を持たれたような気がする。本気にはまるで見えないし、逆にからかれているような気もしまう。


「まあ、ありがとう…」

「雪降ると大変だね!」


 そうは言っても一応男手ではある。クラウスと一緒に雪かきは順調に進んでいく。


「ところで、あなたはモニカを殺して居ないわよね?」

「なんで?」


 クラウスはキョトンとしている。クエラウスは命を狙われていて逃げているばかりだと思い混んでいたが、逆の場合も考えられるだろう。こに状況でも呑気そのものだし、天真爛漫だが、物事に情熱が無いというか、若者らしく物事を斜めに見ているような雰囲気がする。中ニ病というより大二病。初めから努力や情熱と言ったものを否定し、逃げ前回っているような雰囲気。生徒にもこんなタイプが一定数いたので、よく分かる。


「僕がモニカを殺してどうするのさ」

「それは知らないけど」

「マスミ、ひっどー!」


 大袈裟に感情を表すクラウスはちょっと女子っぽい。しかし、それを指摘するとさすがに不機嫌になりはじねた。


「酷いよ、マスミ。僕は男さ」

「そうね。ごめんなさい」

「そうだよ、女の間違われて嬉しい男なんてよっぽどさ!これは、お詫びに僕とデートをすべきだ!」

「いや、どうしそんな展開になるのよ」

「いいじゃん」


 クラウスは子供のように顔を膨らませていた。それを見ているとちょっと言いすぎたと反省する。


「仕方ないわね。町のカフェに行くのはどう?」

「いいの?」

「その代わりモニカの事件について知っている事は全部はなすのよ」

「えー、でもいいか!」


 再びクラウスは笑顔を見せる。だんだん日が昇ってきた。今日はよく晴れていて昨日の雪が嘘のようであった。


「で、いつカフェ行くの?」

「今日の午後とかどう?」

「いいよ!」


 クラウスは私が呆れてしまうほどに天真爛漫に笑っていた。


 結局今日の午後にデレクのカフェで会う事になった。気は進まないが、クラウスに失礼なことを言ってしまったのは確かだし、今のは完全なる失言である。この土地は全体的に性別と容姿については言ってはいけないような暗黙なルールがある。むしろ日本は性別はともかく容姿や年齢について他人に礼儀のない人が多く、日本にいたときのアメリカ人に同僚は「女性に年齢を聞くなんて!」と怒っていたのを思い出す。こう言ったカルチャーのギャップにどこに地雷が埋まっているかわからないものだ。


「マスミは素直でいい子だね!」


 最後にクラウスはキラキラした目で褒めて居たが、やっぱりちっとも嬉しくなかっt。

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