11話 良い知らせです
ブラッドリーは、タキシード姿だった。かっちりと髪の毛をオールバックにしていて、イケメンだが妙に隙のない雰囲気が溢れている。
いかにも営業用といった張り付いた笑顔を見せていた。目鼻立ちの整ったイケメンではあるが、どうも胡散臭い。
その隣にいるソニアも白いワンピースを着込み、首や耳、腕や指にジャラジャラとアクセサリーをつけていたが、あまり楽しそうではない。緊張した面持ちだった。
まずブラッドリーが挨拶をし、馴れ初めをくどくスピーチ。どれだけ新妻を愛しているか話していたが、かえって嘘くさい。
会場にいる女性達は意外と冷ややかな視線でブラッドリーを見ていた。
「ウザい男!」
近くにいる女がぼそっと呟いているのが耳に届く。思わず彼女の方を見てしまう。焦茶色の髪の毛の背の高い女性だった。かなり美人である。
「あの人はブラッドリーの秘書のモニカね」
クラリッサが私の耳元で小さく呟いた。
「嫌な雰囲気な女性ね。こんなパーティーで言わなくても良いじゃない」
「まあ、クラリッサ。無視しておきましょう」
モニカの事も気になるが、ここで気に留めても仕方がないだろう。そういえばソニアがモニカについて美人で心配と言っていたが、確かにそうだろうと思う。自分の立場で置き換えて考えると、夫の部下が美人とちょっと性格も悪そうというのも良い気分はしないだろう。
ブラッドリーのスピーチが終わると、ソニアも話し始めた。
「実はみんなに良い知らせがあります」
ソニアの表情が、相変わらず緊張感に満ちていたが、その声は少々浮かれていた。
「実は、私の絵の新作が大きな賞をとりました!」
会場はソニアのこの発言で、ザワザワとし始めた。
一体どういう事?




