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9話 楽しみな小旅行

 数日後、私とクラリッサ、プラムは朝から大忙しだった。

 今日は王都でソニアの婚約パーティーがあるのだった。


 服やメイク、髪の準備をする。主役はもちろんソニアであるが、田舎もの丸出しの格好では行けない。クラリッサが薄い紫色のスーツ、プラムも黒いパンツスーツ、私もプラムと似たような格好で挑む事になった。クラリッサはもう少し華やかな格好にしたらとも言われたが、マナー的には問題がないし、今日はソニアを引き立てる格好が良いだろうと言う事で落ち着いた。


 準備ができたら王都に向かう。


 コージー村には列車は通っていないので、隣のハードボイルド村に通ってる列車を使う。日本の昭和時代のあるような鈍行列車で、王都の出るまで2時間もかかるが、普段全く列車も車を使わない生活をそているので、新鮮だった。


 それにクラリッサが優先車両の座席を用意してくれたので、ゆったり座っていける。普通の席だったら座れるかどうかもわからないので、その点はラッキーであった。しかも優先車両では、ちょっとしたお菓子やパン、飲み物が出るので私はワクワクとした気分で列車に乗り込む。


 ボックス席で、他の客もあまりいないので静かだ。これで子供が大騒ぎしていたら、ちょっと不満だがそんな事もないのでつくづくラッキーである。


「マスミ、王都の行くのは楽しみなようね」


 若干はしゃいでいる私にクラリッサはちょっと呆れている。私はわざわざ図書館で王都のガイドブックを借り、持参していた。写真もなく、イラストもほとんど使われていないガイドブックなので余計に想像力が掻き立てられる。


「王都といっても別に貴重な建築物もないですし、がっかりすると思うわよ」


 プラムも呆れている。実際王都に行く人の感想は、「がっかりする」が多く、そんな期待はしていないわけだが、やっぱり気になる。


「でも、ミシェルの話だとリコの茶のカフェもあるようだし、映画館もあるとか。映画はちょっと気になるわね」


 クラリッサは映画に興味深々だった。ついにこの国にも映画が出来たようで、クラリッサは連日その話題をしていた。元いた世界では、映画なんて当たり前でスマートフォンで動画を見放題なんて言ったら驚く事だろう。そんな事を言っても、上から目線にとられる可能性もあるし、そもそもあちらの世界の文明は私が作ったものでは無いので黙っておく方が吉だろう。


「ソニアの婚約者のブラッドリーも映画にかなり出資しているそうですよ。やっぱり相当な金持ちですね」


 プラムは車窓を眺めながら言う。まだまだ呑気な田舎の牧場や畑の風景だった。


「やっぱり金目当てでソニアは結婚したのかそらね」


 クラリッサはケラケラと無邪気に笑っていた。


「ジェイクはお金がないですね」

「そうよ、プラム。お金は大事よ」


 実際に金を持って居るクラリッサが言うと何とな笑えない。


 ちょうどその時、車内サービスとしれお茶やお菓子が配布された。リコの茶と恐らくパンウンドケーキのようなケーキを配られた。


「こういうのは嬉しいわね」


 クラリッサは無邪気に笑っていた。


「そうね。この旅も何もなければ良いわね」


 プラムは笑顔でリコの茶を啜った。


 こうして2時間はあっと言間に過ぎ、王都に着いた。

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