表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちら有限会社異世界ハンター社  作者: ロンヤス
第1章 オープニング
2/7

2話 惑星アーム ラクーム王国

=惑星アーム ラクーム王国 王の間=


「ラクーム王国ももう終わりじゃ!」

「我が王国騎士団はどうしたのじゃ!」

「とっくに討伐に行ったが、やられてしまった!」

「えーい!冒険者ハンター社とやらはいつ来るんじゃ?」


今このラクーム王国は重大な危機にさらされている。突如空が暗闇に変わり天から一匹の光輝く龍が舞い降りたのだ。龍はそのまま天を徘徊しひとつの村の上にたどり着いた。村の上空で止まった龍はその光輝く体から突然雷を落とした。


ドコォォォォォンッ!


激しい落雷が村の一部を抉りとった。その雷は一発だけではなかった。何発も雷を落とし村の畑、民家をひとつ残らず焼き付くした。


僅か数分の出来事であった。たったの数分でおおよそ100人規模の村を消滅させたのだ。


龍はそのまま天を徘徊し始めた。途中で村や街を見かければ雷を落とし消滅させた。住んでいるほとんどの人間が雷に落とされ命を落とした。運良く生き残った者は必死の思いで逃げ出し近くの街に逃げ込んだしかしその逃げ込んだ街にも龍はやってくる。段々と広がる脅威にラクーム王国の住民は恐怖を覚えた。


王家とてバカではない。その脅威を知りすぐに王国騎士団を100名編成し、龍の元へと送り込んだ。しかし空を飛ぶ龍を相手にほぼ大半が剣と槍、そして幾ばくかの弓隊を擁した王国騎士団が敵う事はなかった。指揮官らしき馬にのった男に雷が落ちそのまま男は馬からズルリと落ちていった。


「指揮官がやられたぞ!このバケモノは雷を放つようだ、槍を持っている者は気をつけろ!」


そんな注意事も気にせず龍は雷をドンドン落としていった。弓矢隊の弓は頑丈な龍の鱗を傷ひとつつけることができず、剣と槍に至っては攻撃が届きすらしない。抵抗もできぬまま一人また一人と雷に打たれていった。


「うあああああああっ!助けてくれーーーっ!」

「弓が効かない・・・どうすればいいんだっ!」

「逃げろーーー!」


なすすべなく王国騎士団はやられていく。それを見ていた住民達は絶望しかなかった。もう終わりだ、そんな事しか頭に浮かばなかった。


そんな絶望しかない状況、もう死を待つしかない状況、龍がもう目前に来た時、城から一筋の光が住民と龍の間に落ちてきた。


「少しばかり遅かったか、でもまだ最悪じゃあない!」


そう言って天斗は龍の前に立ち龍を睨み付けた。


=====


今からおよそ10分前、王の間に光の球体が突如現れた。


「なんじゃ!龍が攻めてきたのか?」

「近衛兵は何をしておるっ!早くやっつけんか!」

「王を守れ!」


急な光の球体の出現でパニックになる王の側近達。その球体から光が消えていきそこからひとりの青年が現れた。


「ふぃ~。着いたか。あー、すいません、ここはラクーム王国で間違いありませんか?」


天斗は辺りを見回しながら、王座らしき場所に座る男を見つけ、そう質問した。


「そ、そうだが、お主は何者だ?光の中から現れたが、龍の遣いか?」

「いえ、違いますよ。申し遅れました、わたくし異世界ハンター社から参りました、瀬ノ内 天斗と申します。ご依頼の天災級モンスターの討伐をしにやって参りました。」

「おおっ!お主があの異世界ハンター社の者かっ!待ちわびたぞ!ワシはラクーム王国国王ラクーム=ヴァン=ポルナレフである。しかし、はて?お主しかおらんようじゃが他の者はどこにおる?」

「え?いや~来たのは私1人ですが?」

「なんじゃとっ!お主1人であの巨大な龍を倒すと申すのかっ!戯れ言を抜かすでないっ!」

「えっと・・・あれが今回の標的の龍ですかー、大きいですねぇ、ん~まぁあれくらいなら私1人で充分ですよ。あっ、忘れておりました。これが契約書です。こちらにサインをいただきまして、契約となります。」

「あれを見て、まだそんな事を申すのかっ!あのバケモノはこの王都に来るまでに幾つもの村や街を消滅して来たのだぞ!」

「それはヤバいですねぇ、急がないと、早く契約書にサインを下さい!そうしないと動けないので。」

「・・・わかった。これにサインをすればいいのだな?・・・・これでよいのだな、もしこれで出来ませんとか抜かすのは許さんぞ!」

「・・・はいっ、確認致しました。これで契約成立となります。」


天斗は王との契約を交わし、契約書をウエストポーチにしまった後、軽く柔軟体操を行った。


「何をしておるっ!早く行かんかっ!」

「もちろん行きますよ。すぐにでも。天駆けろ〈流星〉」


軽く体をほぐすと天斗はそう呟いた。すると天斗の体を光が包み込みまるで夜空を駆ける流星のように龍の元へと光となって飛んでいった。


それを見ていた王達は目を丸く見開きその場から動けなくなった。


========

「ずいぶん、暴れてるようだなぁ?今からでもおとなしく帰ってくれれば、見逃してやってもいいぞ?」


天斗は龍の前に立ちそう呟いた。


「グギャアアアアアッ!」


龍は何をバカな事をとでも言うように天斗に向けて吠えた。


「まぁ、そうだよな。そんな事を簡単には聞かないよな?じゃあしょうがない、さっさと終わらせてもらおうか!」


そう言って天斗は鞘から日本刀を抜き正眼の構えをとった。


「はぁぁぁぁ!」


天斗は気合いを入れて龍と相対した。


「ユニークスキル『天下無双』発動!天駆けろ〈流星〉!」


天斗が叫んだ瞬間天斗の体を金色の光が覆う、そして〈流星〉で一気に龍との間合いを詰め、


「秘技「無双乱撃」うりゃぁぁぁぁぁあ!」


龍の首を一気に切断し、そのまま目にも止まらぬ早さで龍の胴体をなます切りにしていった。その間僅か10秒程度、天斗が尻尾まで到達し、そのまま地面に着地、そして鞘に刀を戻した瞬間、


チンッ!


という音と共に龍の体が輪切りに切れていった。

あまりの早業に龍は声すらも出ず、地面に無惨な姿で絶命していた。


「よしっ、終わり!」


天斗はふぅと一息吐くと体の金色の光が消えた。


その一部始終を見ていた住民や、王国騎士団の生き残った少数の人間はあっという間の出来事をただ放心状態で見ていた。


天斗は王国騎士団の生き残りの所へ行った。


「なぁ、この龍が現れてどれくらいの時間が経った?」

「んっ?あっ、あぁおそらく今から3時間ほど前に空が急に暗くなったんだ。天災級のモンスターは空から召喚される。だから恐らくそれくらいのはずだ。」

「3時間か・・・。それならまだ余裕かな?」


流也はそう言って龍の死体の所に行き、ウエストポーチの中から懐中時計を取り出した。その懐中時計には一本の鎖が取り付けられており、鎖の先端は矢の矢尻のように尖っていた。


天斗は龍の死体に向けて懐中時計の鎖の先端を突き刺した。


『リターンタイム』


天斗はそう呟くと懐中時計の針が逆方向にくるくる回り始めた。1周、2周、3周と針が逆方向に回ったあと、ピタッと止まった。


すると先ほど龍の雷にやられていた王国騎士団の面々が立ち上がった。


「!!!!!!!!!!」


王国騎士団や住民達は言葉にならない声を上げた。まさか死人が生き返るなんてありえないと思った。しかしそんなありえない事が実際に目の前に起こっている。


「これできっちり今から3時間前までにこの龍に殺された人達、建物は元に戻ってるはずですよ。うちはアフターサービスも充実しております。機会がありましたら是非異世界ハンター社をご利用ください!」


しっかり営業もする天斗であった。


2話目です。

これからこの会社の全容が少しずつ明らかにしていきます。お楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ