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暗闇を見る
窓を閉め、カーテンを閉じ、敷き布団に寝転がり、かけ布団を頭から被り、目を閉じる。
そうすると、たとえ昼間でも暗闇を再現できる。
見えるのは、どこまでも続く暗闇。正確には瞼の裏だが、暗くて見えていないのだからやはり見えているのは暗闇だ。
目を開けてみる。
けれど目に見えたのは、同じ暗闇。
今見えているのは布団の裏側のハズだが、同じく暗くて見えていないのだから暗闇でしかない。
目を開けても、閉じても、半眼にしても、見えるものは変わらない。
その暗闇を、「見て」みる。
暗闇はどこまでいっても暗闇だが、目を凝らせば先が見えそうな気がする。
とはいえ暗闇の先を見ようとしても、そこにはやはり暗闇があるだけだ。
そして、暗闇を見ているのだから、私は何かを見ているのだ。
何も無いような淡い空間と思えるが、そこには暗闇がある。
光が無いから脳が映像を感知できない。で終わらせるのではなく、見えない何かを見ている、としたほうが面白いとは思いませんか?