表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の誕生日  作者: スマイリー
9/77

第8話 初めての敗北な感じ

今回はスライム視点の話です。

 プルプル、俺は悪いスライムだ!

 出会った奴は全て倒してきた!

 生まれたばかりの頃は一般的なスライムと同じく、ただの青い最弱モンスターだったけど今は違う!

 そのスライムは油断していた。

 最初は弱かった。だが、そのスライムは運が良かった。

 そのスライムはスライムである事を誇りに思ってた。

 スライムと言うのはとにかくなんでも食べる。

 それこそその辺に落ちてる石ころや土、雑草から死体まで。

 マナや魔力のこもってる物なら更に喜んで食べる。

 食べてきた物や育った環境によって色や特性が変わるが、基本的には掃除屋(スイーパー)として認識されていた。


 街や国ではそんなスライムを利用してゴミ処理をしてたりする。

 このスライムもそんな掃除屋として湖周辺にある色んな物を食べて生きていた。

 そんな湖にある日、冒険者グループがやって来た。

 そのグループは立派な鎧や装備を持っていたが、何かに襲われたのか酷くボロボロで中には腕が無い者まで居た。

 冒険者はそのスライムを見ても警戒することなく、湖で休憩し始めた。

 スライムも最初は襲おうかと考えたが、何か嫌な感じがして近づけなかった。

 その冒険者の中の一人が魔物避けの道具を持っていたからだ。

 そして冒険者達が来てから数日後に仲間の一人が死んだ。

 腕が無かった奴だ。おそらくその怪我が原因で死んだのだろう。

 スライムは相変わらず様子を見ながら湖の周りの物を食べたり、冒険者が投げてくるゴミを食べていた。


 冒険者は仲間が死んだ事に酷く悲しんだ。

 スライムにはそれが理解出来なかった。

 生まれてから目につくのは全てご飯でしかなかったから。

 そして冒険者は死んだ仲間を火葬して荷物を纏めて湖から居なくなった。

 スライムは少しでもご飯が残ってるかと思い、冒険者達が居た場所に向かった。

 そこにはここらでは食べられない色んな物が落ちていた。

 冒険者達が持って行けなかった物や、数日寝泊まりしていた時に出たゴミ。そして火葬された冒険者の死体。

 この世界では火葬して、骨になったら砕いて地面に埋める。

 スケルトンにならない様にと大地に還ってまた新しく生まれ変わるようにと願いを込めて。


 その骨の埋められた所の土もまた、スライムにとっては滅多に食べられないものだった。

 そんな中に1つの石が落ちていた。

 薄っすらと光るその石は鉱石の様にゴツゴツとしていて、青かった。

 スライムはごちそうだと思い、その鉱石を取り込んだ。

 その瞬間、スライムは激しい痛みに襲われ、辺りにあるのを手当り次第に食べた。痛みを紛らわすように。

 痛みが完全に無くなるのに10日かかった。

 スライムはその鉱石の事も痛みで暴れていた事も覚えていなかった。


 湖周辺にはスライム以外に生き物は居なくなっていた。

 数日は湖の水や周辺の草や石を食べていた。

 そんな時にまた人がやって来た。

 今度はグループではなく、もっと多勢。

 しっかりと鎧を纏い、剣や槍、弓や杖を持ち、しっかりと整列してスライムの周りを取り囲んで。

 スライムは敵が来たと思い逃げようとしたが既に逃げ道は無かった。

 そして周囲の人達から魔法が浴びせられた。

 燃える火の玉や冷たい氷の塊、青い電撃や大きな岩。

 スライムはそんな攻撃を時には避け、時には耐えて、何とか逃げようとチャンスを待った。


 そんな魔法が止むと、今度は矢が飛んできた。

 その次は剣や槍を手にした人達がこちらへやって来た。

 剣で斬られたり、槍で突かれたりして。

 囲まれ、多くの攻撃を浴びせられてスライムは今にも死んでしまいそうだった。

 それでもスライムは諦めなかった。

 薄れていく意識の中で思った。

 まだ死にたくない。まだ生きたいと。

 なぜ自分が死なないと行けないのか。

 なぜ生きられないのか。


 …………弱いからだ。


 自分が弱いから死なないといけないんだ。

 自分が弱いから長く生きる事が出来ないんだ。

 弱いから。なぜ弱いのか?

 スライムだから?……違う。

 強くなろうとしなかったから?……違う。

 先に逃げようとしたから?……違う。

 だったら!なんで自分はこんなにも弱い!

 なぜ強くなれない!

 なぜただ生きる事が出来ない!

 なぜ……なぜ……強く無い……弱い……生きられない……死んでしまう……死ぬ……死ぬ?


 ……嫌だ……死にたくない……嫌だ!……死にたくない!


 その瞬間、スライムの中で何かが弾けた。

 今まで斬られていた剣が徐々に弾かれていく。


 ……俺はスライムだ……だけど。

 貫かれていた槍や矢が弾かれていく。

 ……俺は弱い……だけど。

 焼かれたり凍らされたりしていた魔法が吸収されていく。

 ……スライムを……俺を……。

 そして全く攻撃が効かなくなった時。


 ナメルナ!!!!


 スライムから周囲に閃光と共に強い衝撃が駆け抜ける。

 その衝撃に周囲を囲んでいた人達は吹き飛ばされる。

 そして閃光が収まるとそこには変わったスライムが居た。

 今まで水の様な青だった体は、果てし無く続く空の様に蒼く、鋼鉄の様に光り。

 そしてスライムは動き出す。

 自分を殺そうとした奴らを狩る為に。

 ほんの一瞬。

 刹那の時が過ぎた時、周囲に居た人達は消えていた。

 スライムは運が良かった。


 そこから敗北することは無く。

 壁にぶつかる事も無く。

 更に強くなる為に色んな物を食べてきた。

 そして更なる強さを求めて色んな所に行った。

 そんな時、おかしな奴に出会った。

 一人で歩いている。武器も持たず。

 こんな所に人が居るとは思えず。

 それでも見つけたから食べてしまおうと襲いかかった。

 いつも通りすぐに終わる。

 そう思ってたら攻撃が弾かれた。

 何かをされた感じはしない。

 でも今までこんな事は無かった。

 おかしい。自分は強くなったはずだ。


 更に攻撃を続ける。弾かれる。

 おかしい。自分は弱くない。

 全力で攻撃してみても弾かれる。

 人が何かをしてる感じはしない。

 ただ、ぼーっと立っているだけだ。

 なんでだ?なんで攻撃が効かない?

 こんな事は今までに無かった。

 それでも攻撃を続けていたらそいつが反応しだした。

 急に俺を目で追い出した。

 徐々にこちらの動きについてきている。

 そして目があった。

 その時スライムは耐え難い屈辱を感じた。

 こんなヒョロっとした奴を倒せないのが悔しかった。

 自分が何も出来ないのが悔しかった。

 あの頃の、弱くて死にそうだった頃の自分を思い出して。

 自分がまだまだ弱いとそいつに言われてる様で。


 なんで攻撃が効かない?

 1回でも当たればこんな奴。

 クソッ!なんで効かない!

 自分は強くなったはずだ。

 弾かれる。弾かれる。弾かれる。

 クソッ!クソッ!なんでだ!

 そいつは相変わらず何もせずにこっちを見ている。

 見るな!俺は弱くない!

 弾かれる。弾かれる。弾かれる。

 何なんだこいつは!なんなんだよ!

 ふいにそいつが話しかけてきた。


「えーっと。俺の言葉は通じるか?とりあえず俺は敵対するつもりは無いから落ち着こう?」

 ウルサイ!攻撃が効かないなんて卑怯だ!

 当たれば絶対に倒せる。俺は弱くない。弱くないんだ!

「出来ればカッコイイし話だけでもしたいんだけど……」

 なら1回位喰らえよ!なんで効かないんだよ!

「んー……1回喰らえば話を聞いてくれる?」

 ウルサイ!さっさと喰らえよ!

「…………オッケー。じゃあ約束な?」

 そいつを黙らせたくて頭を狙って攻撃をした。

 今までは弾かれた。でも今回は当たった。

 ……え?当たった?

 そいつは頭が無くなり、その場に倒れる。


 スライムには理解出来なかった。

 自分から死ぬ奴の考えが。

 何なんだこいつ?なんで?

 そして攻撃が当たる前にこいつが言っていた事を思い出す。

 話をする為に食らったのか?でも死んだら話は出来ないだろ?

 何してんだこいつ?バカなのか?

 そして暫くそいつを見ていると倒れた身体が動き出す。

 首から肉が盛り上がり、徐々に元の頭に戻っていく。

 スライムにはもうわけがわからなかった。

 動き出したそいつは地面に座る。頭は完全に元に戻っていた。

途中で寝落ちして半分ほど消えた。

再度書き直したけど凹むね。

うまくかけてるかわからないけど。

次回の投稿は金曜になります。

読んでくれてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ