第64話 エルフの女王参戦って感じ
クッソ遅れますた!
地上にて龍族を纏めていたドラコは怒りと喜びに打ち震えていた。
上空には自らの族長を倒した仇が浮かび、今しがた地上に現れた龍族全ての仇が居るからだ。
代々龍族に昔話として語られている話があった。
それは、龍族を絶滅に追いやった悪鬼の話。
世界で最強と言われた龍族を、事もなげに切って捨てる悪鬼の話。
仇を前に、冷静さを無くしているドラコは気付かなかった。
その体の内で脈打つ物を。
人族を纏めていたマルコ・アートラム将軍は、空から降ってきた鬼武者を最大限警戒しながらも、全体を冷静に見ていた。
彼は武力では無く、その冷静さ、そして指揮能力の高さから今の地位まで上り詰めた。
そんな彼が傍らに居た部下に伝言をだす。
「魔法部隊に龍族を援護させろ。その後撤退する。斥候は周囲に散らせ。急がせろ」
「はっ!…………シーガン殿はいかが致しますか?」
「…………放っておけ」
部下は急ぎ全部隊に指示を出していった。
『グガァァァァァァ!!!』
大地を揺らし、大気を震えさせ、聞く者の心を折る深い、深い怨嗟の声。
部隊の前方に居た龍族は、その姿を様々な龍へと変化させていく。
ある者達は飛龍になり、空へと羽ばたく。
ある者達は地龍となり、大地に君臨する。
ある者達は風龍となり、風を切り一番槍となる。
そんな龍族において、異質な変化を遂げた者が一人。
その姿は限り無く人に近く、だが明らかに変わっていた。
背中からは身長の2倍はある翼を生やし、全身を漆黒の鱗に覆われ、太く長い尾が大地を叩く。
胸には脈打つように、血の色をした宝玉が埋まっていた。
「我等龍族、その先祖の無念!今日この時をもって晴らす!!」
『ーーーーー!!!!』
その叫びは、もはや衝撃波となり周囲を穿つ。
人族は障壁を張り耐える。
なおもその場から動かない鬼武者に、風龍と成った者達が突撃した。
他の龍族は皆、その口を開き力を溜める。
風を纏い、その身でもって憎き敵を討ち滅ぼさんと。
「悪食・乱」
鬼武者が刀に手を掛け、呟きざまに放ったのは、居合切り。
ほんの刹那に斬り付けたのは、自身を狙う風龍。
カチン、と鞘に収めた音が響いた時には、風龍は影も形も無くなっていた。
ただ、そこに風龍が居た事を表すように一陣の風が鬼武者を撫でた。
果たしてその事態も想定済みか、人族の魔法部隊から大量の支援魔法が残った龍族に降り注ぐ。
次いで動いたのは残った龍族……では無く。
ドゴッ!と、大量の土煙と共に覇者、シーガンが鬼武者へと斬り掛かる。
「良い!良いぞ!今回は楽しめそうだ、な!!」
振り下ろされた巨大な剣を片手でもって受け止める鬼武者、カートス。
その手に当たった瞬間、カートスの足場にクレーターが出来上がる。
「硬い硬い硬い!!お前ら最っ高だ!」
「避けぬのか?」
カートスから呟かれた言葉に、シーガンはただ笑うだけだった。
彼等の背後、龍族達がブレスを一箇所に溜めている光景がカートスの視界の中に入っていた。
諸共に焼き払うつもりなのだろう。
白樹の森を攻撃した龍王の玉の何倍もデカイそれは、次第に小さく収束していく。
それに合わせて、上空に居た飛龍達がバタバタと落ちて行く。
力を出し過ぎたのか、地龍達も体を横たえて行った。
拳大に収束した頃には、立っているのはドラコのみだった。
その玉は、黒く、どこまでもドス黒く濁っていた。
「貴様等には地獄すら生温い。我等の怨みに貫かれて焦熱に焼かれろ。焦熱龍皇閃」
黒い玉をドラコが握り潰した。
黒い光が弾け、無数のレーザーとなってシーガンを避けてカートスとニールに向かって降り注ぐ。
カートスは未だにシーガンの剣を握り、身動きが出来ない。
だが、空いている手で刀の柄に手を掛けて呟いた。
「悪食・飢餓」
片手で刀を振り抜き、シーガンの剣を切り裂き、同時にシーガンを上空へと弾き飛ばす。
迫るレーザーも次々に切り裂き、その都度小さな破裂音が鳴り響く。
ニールへと向ったレーザーにシーガンを当てるつもりで上空に飛ばしたのだが、全て覇者を避けて更に複雑な軌道となってニールに殺到した。
カートスはそれをチラリと一瞥しただけで、視線を前へと戻した。
そこには撤退する人族と、こちらに歩いて来るドラコ。
その横に落ちて来たシーガンが、のそりと立ち上がり、半ばから無くなった剣を投げ捨てた。
「何だ生きていたか。貴様も逃げて構わんぞ」
「だっはっはっ!!こんなおもしれぇのを前にして逃げれるかよ!貴様こそ尻尾巻いて逃げたらどうだ?ん?」
「……先ずは貴様から消してやろうか?」
「おいおい。出来ねぇ事は言うもんじゃねぇぞ?」
カートスに向かって歩きながら、互いを牽制し合う2人。
それを眺めるカートスはジッと待っていた。
ただ、カートスは2人を眺めながら別の物を見ていた。
その視界にはドラコとシーガンのステータスが。
「コレは余り意味が無い物ではないか?」
小さく呟いたその言葉に、ストークから返事がある。
『そうなんよねー。数値だとかスキルだとかはアクセサリー程度に見てた方が良いかもねー。てか、何でこんな無意味な物を作ったのかマジ意味分からんねー』
カートスが見た2人のステータス。それは全ての数値が千未満と言う、低過ぎる物だった。
加護やスキルに関しては空白。
信じられるのは名前や種族位だが、それもどれだけ信用できるか。
『あぁ、一応ステータスの意味は有るから注意ねー。無意味になるのはあそこまで強くなった場合と、特殊な事例だけだからねー』
カートスとストークが話をしていると、頭上で派手な爆発音が鳴り響いた。
ドラコの攻撃がニール達に命中したのだろう。
だが、そちらを見る暇も無く、ドラコとシーガンの2人が一息に距離を詰めてきた。
そんな3人の頭上から「ダイナミック・エントリー!!!」と、馬鹿でかい声を発しながら落下する人物。
カートスは手に持った刀でドラコに向き、シーガンと声の主はその意識から外した。
その事に苛立ちを覚える前に、その身を後ろへと飛ばした。
直前までシーガンの居た地面が大きく爆ぜる。
「……んだ?アンタはお呼びじゃねぇんだが?」
「念願の覇者との手合わせよ?呼ばれてなくても来るわよ」
そこには、拳を地面へとつき立てる格好のマーサ女王が居た。
立ち上がりながら拳を払い、周囲の煙を吹き晴らした。
「おいおい。アンタエルフだろ?遠距離から魔法放つしか能がねぇのに、こんなとこに来て良いのか……よ!!」
言いながらシーガンは、その鋼の様な拳を振り抜いた。
大砲の砲弾と見間違うようなそれは、マーサ女王の顔目掛けて放たれ、直後にはパンッ!!と大きな破裂音を響かせた。
マーサ女王の頭が弾けたのかと錯覚する程良い音を響かせたが、シーガンの拳はマーサ女王の手によって止められていた。
「ある人に言われた言葉を貴方に送るわね。『いつからエルフが魔法しか使えないと錯覚していた?』……あぁ、なるほどね。確かにコレは面白いわ」
軽々と拳を掴んだまま、もう片方の手で未だに驚き、固まっているシーガンへと拳打を浴びせる。
ボコボコにされ、吹っ飛ばされるシーガンを見ながらエルフの女王は笑っていた。
いやー、ね?
忘れてなかったですよ?
ただ、面白いゲームにハマったり。
2期が放送されるあのアニメを見ながら原作を読み直してたり。
新しいラノベを発掘したり。
ラジバンダリ?
…………はい。すいません。
次も遅れるかもしれなくもないかなー、と思ったり思わなかったり?
気長に待って頂けると幸いです。
次話は半分ほど出来てるので早めに上げれるかと。
お読み頂きありがとうございます。




