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神様の誕生日  作者: スマイリー
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第53話 性能実験って感じ

 そこは何も無いだだっ広い空間。

 床は白と黒の市松模様で、空は雲ひとつ無いような綺麗な青空が広がっている。

 太陽は休みなのか、はたまた日頃の業務に嫌気が差したのか、その空間には恵みの象徴と言える彼……いや、彼女か?…………まぁそれはどうでも良い。その太陽は存在しなかった。


 そんな奇妙な空間を破壊せんと、一頭の龍が暴れ回っていた。

 ブレスや魔法を乱れ撃ちながら佇むその姿は、見る人が見れば世界の終焉を感じさせるのに十分過ぎる迫力と威圧感を持っている。

 そんな終焉から少し離れた所に二人の男が立っていた。

 一人はフードを被り、暴れ狂う終焉を見ながら何やら呟いている。


 フードのせいか顔色は伺えないが、雰囲気は楽しそうで。

 その隣で同じ様に呟きながら手をわちゃわちゃと動かしている者は、フードこそ被ってないが、全身を某アメコミヒーローの如くピッチリとした衣装に身を包み、顔にはピエロの仮面を被っている。

 直ぐ近くに行けば、二人が会話している事に気付くだろう。


「じゃあ形状はこれで?」

「もち。それがベストでしょ。変に人型にしたらやれ手がもげたとか、足がもげたとか、頭が無くなったとかでデメリットしか無いし」

「でもコレだと、その()()()付いてないけど?」

「そんなん生やしたら良いじゃん。例えもがれようと瞬時に生えるように。しかも前後左右関係なく、どこからでも。何本でも」

「んー。まぁ、その方が効率は良いか。メンテも楽だろうし」

「だろ?」


 そんな会話をボソボソとやっていたが、フードの男が右手をかざし、隣にいたピエロへと先程よりも大きな声で告げる。


「じゃあ、イビルナットの初戦!派手に行こうぜ!」

「はいよーっと」


 ピエロの男がわちゃわちゃ動かしていた手を止め、前方にサッと腕を振るうと、幾何学模様の魔法陣が複数クルクルと回転しながら展開される。

 一つ一つの大きさは約3メートル程だが、途中で幾つも分裂し、最終的には視界を埋め尽くす程になった。

 魔法陣の回転が早くなり、一際強い光を発すると、その魔法陣から丸い球体上の物体が現れた。


 見た目はパチンコ玉をデカくしたような、金属質の球体。

 フワフワと無数に浮かぶ様はどこか幻想的な雰囲気を併せ持つが、次いで起きた現象にその幻想は無残にも打ち砕かれ、代わりに奇妙な雰囲気が辺りを包んだ。

 その球体の表面が波打ったかと思うと、そこから細い腕が生えてきた。


 左右両方の腕が生えた球体は、次いで目が生えた。

 見た目は完全に悪魔のイビルアイ。だが、その目や腕は固定される事は無く、球体表面を滑る様に移動している。

 そうして暫くキョロキョロと辺りに視線を向けてた球体の目玉が、一斉に一つの方向に固定された。

 その先には一体の龍が居た。


「行け!」


 フードの男が腕を振り、合図を出した。

 約3割の球体がその形状を変化させ、弾丸の様に龍へと殺到する。

 その形状はドリル。全てを貫くロマンを詰め込んだ物。

 残りの球体はその場から消える様に龍の周囲に転移した。

 こちらに気付いてない龍にドリルが当たると思った瞬間、ギャリギャリと何かに拮抗する様に全ての進行が空中で止められた。


「あらら。意外と硬いねー。…………でも、ロマン兵器を舐めちゃイカンよ」


 ピエロの言葉通り、進行は止まってるがそのドリルの回転が急に早くなる。

 同時にドリルからは甲高い音が鳴り始めた。


「……ブースト」


 ピエロから言葉が呟かれた瞬間、それまで響いていた削る様な音が消えた。

 変わりに聴こえたのは龍の咆哮。いや、叫びだった。


「Gaaaaaaa!!!」


 一瞬で障壁を突き破り、龍の体さえも貫いたドリルはそのままのスピードで旋回を始め、次なる突撃を敢行する。

 だが、それはさせぬと周囲に雷撃を放つ。

 雷撃によって進行方向をズラされたドリルはあらぬ方向へと飛んでいく。

 その雷撃は周囲に浮いていた球体にまで及ぶ……が。


「はっはっは!効かんよ!」


 フードの男が面白そうに告げた言葉通り、球体への雷撃は全て弾かれていた。

 ドリル郡は元の球体に戻り、龍の周囲に浮かぶ。

 全くダメージが無かったのか、周囲の球体と何ら変わらない見た目で。

 次の瞬間には、全ての金属球から様々な魔法が放たれていた。

 炎や水、石礫に風刃、雷撃や光の矢。更には重力で龍を叩き落としにかかり、地面からは真黒い影が棘の様に伸びて串刺しに。

 時折混ざる虹色に輝く槍と漆黒の焔は、一際派手に龍の体を痛め付ける。


「こりゃ、強過ぎたんじゃね?」

「……俺もそう思う」


 二人の眼前には可哀想になる程の蹂躙劇が繰り広げられていた。


 ドリルで貫かれ、様々な魔法を撃ち込まれ。

 そこには見るも無残な龍の死に体が横たわっていた。

 あれ程の攻撃を受け、体の至る所が消失してもなお辛うじて生きている龍を凄いと思うべきか。

 それとも、一種族の王とも言える()()を完膚なきまでに叩き潰した事に恐怖を覚えるべきか。

 そこに二人以外の人物が居たら間違いなく後者だろう。


「性能実験は大成功って感じやねー」


 ボーッと龍王を見る二人の後ろから近付きながら話し掛けてくる人物が居た。

 見た目は無地のTシャツにGパンというかなりラフな格好なのだが、二人と並ぶとかなり浮いた感じに見える。

 普通に考えれば二人の方がおかしな格好をしているから、唯一の常識人に見えるだろう。

 その人物は、虫の息となった龍王を一瞥するだけで視線を二人に戻した。


 …………常識人では無かったようだ。

 凄いとも思わず、恐怖する事も無く。ただ風景の一つを見ただけ。

 男も十二分にイカれていた。


「おっつー。そっちは終わったん?」


 フードの男が気軽に話しかけた。


「一応終わったけど、結果はクソだぞ」

「うげ。まぁある程度は予想してたけどさー。一番クソなパターン?」

「それの一歩手前って感じ」

「十分クソだな」

「だろ?とりま、やり方変えないと初代は捕まらんわ」

「ストークが探して無理とか殆どお手上げじゃん」

「ニールが変わってくれても良いけど?」


 ニールと呼ばれたフードの男は肩を竦める事を返事とした。


「もう一つの方は順調だけどねー。多分コッチの方が早く見つかるかも」


 ラフな格好をしたストークと言われた男は、そう話しながら会話に入って来ないピエロを眺めた。

 そのピエロは龍王の体やその一部を弄りながら、何やらブツブツと呟いていた。


「……何してんの?あれ」

「……傍から見ると死体を前にドゥーチィームニー(独り言)って、かなりヤバいやつだよな。多分スキルとか弄ってんじゃない?」


 軽くサイコパス扱いをされたピエロは、それから暫くしてから振り返った。

 その姿は両手を血に染め、体のあちこちに返り血を浴び、まさにサイコパスと言わんばかりの風体だった。


「いやー。実に楽しいね!解析やコピーも出来たし蘇生も出来るけどやる必要無いよね?同じの作れるし、オリジナルは消しちゃおう!これを量産ってのも面白いけど、魔改造してそれを量産とか……ん?ストークじゃん。どったの?」


 スキップでもしそうな雰囲気で話してたが、ストークとニールがこっちを見ているのに気付いて首を傾げた。


「その格好だとマッドピエロだな」

「完全にヤバイ悪役だな」

「まあね!新作には犠牲は付き物さ!」

「否定しない辺りパないな」

「……鈴木っていつからこうなったん?」


 ニールとストークは若干引きながらもその場で話を始めた。

早めに書けた!


まだ実体を伴って出て来てないのは、指揮官君のカートス。魔法君のマナジ。肉体君のバルマ。

この3人ですね。

他のニスキーやマークスも暫くしたら出て来ます。


次回こそ遅れます。


お読み頂きありがとうございます。

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