第43話 戦争?開始……的な感じ?
前半はニール視点になります。
「何なん?覇者って只のクソじゃん!」
あれから理由を聞き、時折俺が補足して。
その後のレトの言葉を聞いたニールはバツが悪そうに苦々しい笑いを零すしか無かった。
そして無事に依頼を受けてもらって、ゼルファー達は帰って行った。
レトは何やらずっと不機嫌だが。
「それよりマスター、彼等に上げた腕輪は何です?」
スルーされたレトが、あ゛ぁ?と威圧感タップリに睨んでるが、それもリリトは流す。
「まぁ落ち着けって。あの腕輪はこっちから指示を出す為のもんだよ。スマホって言えばレトは分かりやすいんじゃないか?」
「え?あ、うん。分かるよ」
リリトの足をゲシゲシと蹴ってるけど、只の駄々っ子だな。
リリトは今一分かってないみたいだけど、その辺の説明はレトに丸投げだな。うん。メンドイし。
「依頼の内容も今ひとつ分からなかったんですが、あれには何か意味が有るんですか?」
「ある。すんごく大きな意味が」
勿体ぶるように言ったらリリトがメッチャ期待した目で見てる。
レトは察したのか溜息をついてジト目で見てくる。
何この差。
「リリトよ、俺は可能な限り引き篭もってダラダラしたい。だが、たまには外に出たくなる時もある。ここまでは良いか?」
神妙な面持ちでこくりと頷くリリト。
溜めも作ったし話そうかと思ったら…………。
「どうせ外に出るのがめんどくさいとかでしょ?」
この妹は……。よし、スルーしよう。
「でも外に出るのもめんどい。なら、変わりに外に出てる奴を使えば良い」
「ほらね。ってかスルーするなし!」
煩い妹は無視だ。
まぁ、今後の方針としてはここでグータラしつつ、冒険者を使って世界旅行だな。
「てか、どうやってここに居ながら外に出るの?」
「それは簡単だ。冒険者の五感をコッチも受けるんだよ」
「そんな事も出来るの?!」
「全く問題無い」
ドヤ顔で返したら睨まれた。
「……あたしの裸とか見てないよね?」
「妹の裸なんてわざわざ見る必要あるか?昔は一緒に風呂も入ってたのに?」
「…………なーんか納得いかないけど、まぁそうだよねー」
「いやいやいや、お前変な想像してるだろうが逆に考えてみ?俺がお前の裸見てハァハァしてたら引くだろ?」
「うん。無いわ。てか、そんな事してたら潰すわ」
「だろ?幼女に興奮すんのは2次元だけで良いって。3次の幼女とか無理」
「それはそれでサイテー」
そんなどうでも良い会話をしていたら家のドアが勢い良く開けられた。
「ボス!大変です!」
「ボスって呼ぶなアホ!」
そのままズカズカと入って来るし。
このアホはどうしてくれようか。
奴隷達を上手く纏めたからリーダーとして家に入るのも許可したが……。名前は…………まぁいいや。
「で?何が大変なん?」
そいつは慌てた様子で近くまで来ると外を指差しながら言った。
「村が……壊れそうです!」
その言葉にリリトとレトは分かって無い顔をして、俺とアリストは『で?』と言う反応を返した。
実際、さっきから揺れてるのは知ってるし、その原因も分かってるから、だから?って感じになるんだけどねー。
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その頃の白樹の森の外は…………。
「族長!流石にやり過ぎです!人族の王から苦情が来ますよ!」
「ウルセー!ここにあのクソッタレな神が居るんだろうが!そいつを殺せるなら人族も喜ぶだろ!」
「その前にこの辺が更地になってしまいますよ!」
「あぁ?周辺の避難と結界構築は終わってんだろうが!これ以上ガタガタ抜かすな!」
…………龍族に囲まれていた。その数一万以上。
以前、ニールがわざわざ南西の山に居ると言ったのにこの森に来ているのか。
その理由は簡単だった。
白樹の森は人畜無害な森で、狩人や新人冒険者が薬草採取や狩り、野営のやり方を学ぶ為に使われていた。
そんな森にいきなり結界が張られたら怪しく思うのは当たり前。
しかも時期が、ニールがこの街に来て騒ぎを起こして直ぐ。
……ここに何か有りますよと宣伝している様なものである。
ついさっきまで森に入ろうとしていた冒険者は、周囲の警戒と避難を手伝っていた。
ゼルファー達守銭の魔狼は、この事態を察知したニールによってドワーフ王国との国境付近に飛ばされていた。
そして龍族の族長こと、龍王は頭上に掲げた両手の先に力を貯めていき……。
「龍王の息吹!!!」
それを一気に解き放つ。
開放された巨大な気は上空に打ち上げられ、そこから無数のレーザーが森目掛けて降り注いだ。
その威力は凄まじく、周囲に居る者はその爆風から身を守るので精一杯だった。
森の木々も吹き飛んでいくが…………。
「これでもダメか!?」
吹き飛んだ端から木々が生い茂っていき、龍王の攻撃が止んだ頃には、先程までと変わらない白樹の森がそこにはあった。
……いや、正確には一部だけ変わった所が有る。それは…………。
「人ん家になんちゅー事してくれてんの?いったーふりてないか?何?ふらーか?やーのちぶるもトカゲ並みか?用があるなら先ずは呼ばんか?普通よ」
そこにはフードを被ったニールが居た。
それを見た龍族の動きは早かった。
ニールを取り囲み即座に動ける様に戦闘態勢をとった。
「……で?何しに来たん?」
「この状況で現れるとは……バカか、蛮勇か。どちらにせよ潔し!クタバレ!クソッタレが!!!」
言い切るのが早いか、周囲の龍族から様々な攻撃が飛んでくる。
ブレス、魔法、投槍…………。
それらを前にニールは……笑うだけだった。
次々と襲い来る攻撃がニールに届かずに消えて行く。
何かに吸い込まれる様に。
攻撃が止んだそこには、変わらずにニールが立っていた。
「……チッ。邪魔なスライムめ!」
どうやら龍王はそれがメタルスライムの仕業だと理解したらしい。
次も遅れそうです。
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