第39話 多分説明会?な感じ
「で?キッチリ説明するよね?」
「メンドイからスルーで良い?」
「だめ。リリトさんも知りたいよね?」
「そうですね。何も分からないといざという時何も出来ませんから」
「えー。説明するにしたって、最初からでしょ?クッソたるいんだけど」
「ブルーも知りたそうにしてるのに?」
『いや、俺は別に「知りたいよね!?」……しりたいなー』
「脅しちゃいかんだろ」
「なんじゃ?妾も知りたいぞ?」
「はいはい。今大事な話してるからお子ちゃまはあっちで遊んでなさい」
「妾は立派な大人じゃ!」
客間に着いたニールを待っていたのは、レトからの教えろコールだった。
しかも、どうやったのかリリトやスラメブルも味方に引き入れている。
……スラメブルは脅されてたが。
話さないと余計面倒になるんだろうな、と思ったニールは仕方無しに話し始める。
「はぁー。分かった。じゃあ何から話す?」
ニールが折れたのを小さくガッツポーズをして喜ぶレト。
リリトやスラメブルも多少は気になるのか、ジッとニールが話すのを待っている。
一人、幼女だけは「で?何が始まるのじゃ?」と分かってない様子だが、コイツは自分と同じ位知ってる筈だろうと、完全に無視を決め込む。
「じゃあ、リリトさんも居るし最初から!」
「もっと具体的に」
「えー。普通にこの世界に来るキッカケからで良いよー。転生じゃないんでしょ?」
「どっちかって言うと転移だな」
そうやって話し始めたニールとレトの会話にリリトも混ざる。
「私も気になってたんですけど、マスターとレトさんはどういった関係なんですか?」
リリトがそう聞いてくるのは想定内だったのか、ニールはスラスラと話していく。
「レトは俺の妹なんよ。でも種族が違うって思っただろ?それは今のレトじゃなくて、前世が俺の妹って意味だから」
「前世……ですか」
「でもニールにぃは地球であたしに会えるんでしょ?」
「勿論。ってか、今でも元気にしてるぞ?最初お前を見た時はかなり混乱したけどな」
それを聞いたレトとリリトは共に首を傾げる。
それもそうだ。普通に聞けばおかしな事を言ってるのだから。
血の繋がった妹は既に死んで転生している。それなのにその妹と会えるだけじゃなく、今も元気に生きていると言うのだから。
「そこんとこ分からないんだけど?」
「まぁ、この辺は俺もちょっと前に知ったばかりなんだけどな。簡単に言うと、この世界と地球じゃ時間の流れが違うって事」
あまりピンと来ないのか、レトはまだ分からないと言いたげな顔をしている。
リリトも似たような感じだが、何と無く理解はしているようだ。
「あー。多分分からないと思うけど、具体的に言うとだ。時間って概念が先ず存在しないんよ。例えば、今俺が死んだとしたら生まれ変わるのは未来になると思うじゃん?でも実際は過去で生まれ変わる事も有るって感じ。そもそも、時間ってのは人が作り出した物差しで、長さとか重さを測るグラムやメートルと同じなんよ。過去も現在も未来も確かに存在してるけど、言い換えればそれらは全て過去であり、現在であり、未来でもあるって感じ」
「…………あー、余計わからん」
「タイムトラベルが簡単に出来るぜヒャッホー!的な感じで良いと思うぞ?」
「でも、それだとタイムパラドックスがどうとかならない?」
「その辺はまた他の話にも掛かってくるからそん時にな」
理解が追いついてないのか、うんうん唸りながら首を傾げている。
ニール自身もまだしっかり理解している訳では無く、今も確認作業中なのだ。
「さて、次の話に行きたいんだが……その前に」
ニールは黙ってクッキーを頬張る幼女に視線を向けた。
それに気付き、はて?と首を傾げる幼女。何かしたかな?と。
「…………いい加減自己紹介位したら?」
「おぉー!そう言えばまだじゃったな!」
そう言うと幼女はおもむろに立ち上がった。
「妾は異世界アルトリウムの管理者、アリスト・アルトリウムじゃ!」
何故か勝ち誇った様に腰に手を当てて威張る。
それを聞いたレトとリリト、スラメブルも「管理者!?」と驚く。
スラメブルが驚いたのは、コイツもニールと同じ常識知らずか!?との理由だが、レトとリリトは些か違ったようだ。
「管理者って……何人も居るものなの?」
「他にもまだ異世界があるんですか?」
二人の疑問は最もだが、それに答えていては話が進まない。
どのみち次の話題はそこにも触れるのだから。
「で、アリスト。お前らが最初に現れた時話をするとか言ってたが……内容はお前の世界を救って欲しい、もしくは地球に行きたいって事か?」
言い当てられると思ってなかったのだろう。僅かに驚いた顔をした。
その横でレトは「え?無視?無視すんの?酷くない?」とリリトに愚痴を溢している。
「そうじゃが……何故分かったのじゃ?」
「お前が持ってきた手紙にそう書いてんじゃん。それに、ある程度は地球の事も分かってきたからな」
「いつ読んだのじゃ!?」
そう驚く事も無理はない。
手紙を受け取ってからニールはずっと一緒に居るのだ。手紙を仕舞ったのは見ていたから分かるが、読んでる所を見ていないのだ。
ただ、それに関しては簡単な事だ。
インベントリにこっそり収納して、暇人君に確認してもらっただけ。
それを言うつもりはニールには無いが。
「そんな事より。そっちの世界を救うって言ったって何をしたら良いん?」
種明かしがされないのは納得いかないが、自分も裏道の事はまだ話していないのだから、自分を渋々納得させる。
「まぁよい、地球の事も知ってると言っておったが、どこまでじゃ?」
「地球が全ての世界の元になってるってのと、地球が無くなる、正確には人類とその文明がキレイさっぱり無くなると他の全ての世界も無くなるって事だよな?」
レトもリリトもいまいち話に着いてこれてないようだが、こればっかりは仕方が無いだろう。
二人共色々端折りまくって要点しか言ってないのだから。
「そこまで知っておるなら話は早い。やる事は簡単じゃ。地球で妾の世界を広く認識してもらうか、数万人分の魂を妾の世界に渡して欲しいのじゃ」
「魂は却下だな。今地球じゃアホな国がアホな事やらかしまくって全世界から大顰蹙買ってるから、戦争自体はサックリ起こす事が出来るだろうけど。それだと数万人どころか、下手したら数百万人の人間が死ぬだろうし」
「なんじゃ。それなら簡単ではないか。何故ダメなのじゃ?」
ニールは呆れたように溜息を吐き出し、アリストに理由を話す。
「恐らく他の連中も同じ様な話だろ?……別に助けてやっても良いけど、毎回魂送ってたら人類が居なくなるぞ?そうなったら全世界が滅ぶ事になるけど?」
アリストもそれは分かっていたのだろう、すまなそうに納得した。
「お主の言う事は最もじゃ。なれば、地球に妾の世界を認知させるのはダメかの?」
上目遣いで見上げてくるが……生憎とニールは子供が大嫌いだった。
他のロリコンなら1発で落ちてるだろう。
何せ、前屈みになってるから服の隙間から見えそうなのだから。
…………絶壁が。
ハッと鼻で笑うニールには逆効果のようだが。
そもそも、何故地球に認知させたら世界が助かるのか。
それは、地球以外の世界、つまり異世界は人類が妄想、空想によって生み出しているからだ。
漫画やアニメ、映画や小説と言った空想の世界は、様々な人が認知する事によって現実と成る。
個人で空想した世界も現実になる事はあるが、それは稀だ。
まず作者が様々な設定や登場人物を思い描く。それがテレビやネット等で不特定多数の人に認知される。それだけで世界の大まかな形等は出来上がる。そこから設定資料集や一部のファンによる考察や二次創作、番外編等でその世界の存在が確たる物に変わる。
そうなると新しい世界の誕生となる訳だが、問題はその後だった。
初めのうちは管理者が付くこともなく、自由に世界は成長していくのだが、その世界が忘れ去られると徐々にエネルギーが無くなっていき、次第に崩壊が始まる。
そして完全に忘れ去られた時にその世界は消えて無くなる。
大体はその世界を創り出した作者が、死後に管理者としてその世界を見守って行くことになる。
ただ、一度管理者になってしまうと、二度と転生や生まれ変わりと言った輪廻の輪に戻る事は無くなってしまう。
世界が滅びると管理者も死んでしまう為、それが嫌で管理者になる事を拒み、輪廻転生の輪に戻る事を望む者も少なからず居る。
そうなるとその世界はどうなるか。
一部の熱狂的なファンに管理を委ねるのだとか。
そして、崩壊が始まった世界でも完全に滅びる前なら、再び地球で認知されればその崩壊は止まる。
良くあるリメイクやオマージュがその手法だ。
リンさんのとこに送った暇人君からそんな情報が送られてくるのだ。
確かめる為にこっそりと有名なアニメや映画の世界に暇人君を送って確認もした。
それを知った暇人君数人が歓喜して、エロゲの世界に突貫したのはご愛嬌だろう。
さて、話が逸れてしまったが、アリストが言いたいのは自分の世界が忘れ去られようとしているから、思い出させてくれと言うものだ。
それだけなら簡単な為二つ返事で了承しても良いのだが…………。
暫く考えたニールはアリストに告げる。
「…………条件付きでなら良いよ」
年内にあと1話書きたい。
間に合うかな?
お読み頂きありがとうございます。




