第36話 初詠唱って感じ
(そう言えば、何でこの世界の神が一柱じゃなくて一人って呼ばれてるか分かる?)
そんな事を索敵君が言ってきたのは、ニールが魔法の練習と実験をする為に、厨2心を刺激する呪文を考えていた時だ。
何故唐突にそんな事を?と思わないでも無いが、長い呪文が思い浮かばない為話に乗ってみる。
(そりゃ、単純に人だからじゃない?)
ただ何と無く。何も考えずに言った事だったが索敵君からは驚きの声が返ってきた。
(え?知ってたの?)
(いや、知らんけど)
(マグレかよ!まぁ、正解だね。コレだけ騒ぎを起こしてるのに覇者が動かないのがオカシイと思って調べたらそうだった)
(て事は、覇者が神って事?)
(うん。代替わり制みたいだね)
これまた面倒そうな情報を……。そう思い呪文を考えるのを再開する。
そんな面倒な事にコッチから首を突っ込む事は無い。そんなのより呪文だ。
短い呪文なら簡単に出来るが、長いと語彙の少ない自分には同じ言葉が度々出て来てアホらしくなってくる。
あれこれ考えた結果出来上がった呪文を早速使ってみる。
因みに、今ニールが居る所は暇人君に作らせた隔離空間だ。
暇人君曰く、念の為だそうだ。
そして両手を前に向け、呪文を唱える。
『焔よ踊れ。暗く昏く、闇よりも暗い焔よ踊り狂え。深淵すらも灼き尽くす暗き焔よ高らかに舞え。汝の踊りは暗闇よりも暗く、太陽よりも熱く、全てを灼き尽くす漆黒の踊り。決して終わることの無い絶望、果てし無く続く暗黒。神をも魅了する地獄の焔舞。その踊りで全てを魅了し、灼き尽くせ。無限焔舞!!!』
その瞬間、ニールの魔力の半分を消費して災厄が現れた。
最初は小さな黒い炎。
失敗したかと思ったが炎がユラユラと舞う様に動くと、周囲からから徐々に暗い闇が広がっていく。それに合わせて炎の踊りも勢いを増していき……。
ニールが認識出来たのはそこ迄だった。
気付いたら名もなき村の自宅前に居た。
「え?……あれ?さっきのはどうなった?」
ポカンとして辺りをキョロキョロしているとレトが駆け寄って来た。
「おかえり!早かったね、魔法の練習は終わったの?」
「いや、始めたばっかりだったんだけど……あれ?」
どうなったのか再度閉鎖空間に行こうとしたが暇人君に止められた。
(ちょっと待てー!アホかお前は!少しは抑えろって言っただろ!何?頭空っぽですか?バカなんですか?)
そんなに罵倒されてもニールには何が有ったのか分からないから答えようも無い。
(あー、うん。で?何があったん?)
だからニールの返事がこんな感じでおざなりに成るのも仕方無いだろう。
…………事情をしる暇人君からしたら溜まったものでは無いが。
溜息を吐きながら暇人君が説明してくれた。
(いいか?お前の魔力の最大値はこの世界全員分よりも桁外れにデカイんよ。その半分を消費して言霊まで使って魔法を行使したんだぞ?今もあの閉鎖空間で燃えてるわ!魔力供給断ったのにだぞ?!意味わからんわ!今は暇人君数人で抑えながら一人がアレと同調して抑え込んでるけど、暫くはあの空間には立入禁止!神すらも灼き滅ぼすとか言うから入った途端消えるぞ?ゾンビアタックも出来ないからな?リスキルなんて優しいもんじゃなくなってるからな?二度と一人で魔法使わない様に!!)
一気にまくし立てられ、暫しあ然としたニールだが「そんなに魔力あったっけ?」とステータスを見てから暇人君に頷く。
名前 ニール・ド・アシュリス (男)
年齢 26
職業 管理者(上級)
LV 135
HP 36754250/36754250
MP 76320562/76320562
STR 1920 DEX 2600 VIT 2420
INT 20051 AGI 4280 MND 10545
LUK 7000
(………あー、すまん。ここ迄とは思って無かったわ。暫くレベル上がってなかったし……)
(熟練度説明したよな?もしここで使ってたら皆死んでたぞ?滅ぼすから復活も出来ないからな?)
(注意します)
舌打ちを残して暇人君は閉鎖空間の様子を見に戻った様だ。
何故HPやMPが桁外れに上がっているか。
その理由は簡単だ。自分自身を破壊したから。
自動全回復を超えるダメージを一発で与える為に黒き穴を魔力で補強して最小サイズを複数同時発動した為にMPとHPがかなり鍛えられる結果になった。
…………運に関しては上げ方か分からない為意味不明だが。
そんな理由で魔法の練習はお預けとなった為暇になったニール。
どうしようかと考えるが特に何も……いや、1つあった。
「服取りに行ってくるわ」
以前オーダーメイドで頼んだ服を取りに行く。
そう言うとレトは何故だが嬉しそうな反応を返してくる。
「ならあたしも行く!」
「いや、お前は皆の世話があるだろ?」
「そんなのリリトに任せておけば良いじゃん!ね?いいっしょ?」
そうは言ってもなー。と考えていると。
「私なら大丈夫ですよ。お二人で行って来て下さい」
微笑みながら歩いて来るリリト。その周りには小さな子供たちがワラワラと集まってる。
手を繋いだり、コチラを見てリリトの後に隠れたり、服の裾を掴んだり…………何気に恐れられてね?オカシイ。昔から子供には好かれてたハズなんだが……。
(アレは恐れてるって言うより、好感度上がり過ぎて近寄れねーって感じだよー)
(あ、そうなの?何でわかったん?)
(心言で見たから)
なるほどねと納得したニールの裾を引っ張られる感覚に視線を向けて見れば、キラキラした目でコチラを見上げるレト。
「まぁ、それなら良いか。迷子になるなよ」
「やったー!ニールにぃが迷子になるなよ!」
レトと二人で街に行くのが決定してさて行くか、と言う時にニールは閃いた。
(暇人君!良い事閃いたぞ!)
(あ?何?)
(聞いて驚け!いいか?アレをこうして…………こうなるじゃん?…………それを…………)
(お前…………天才か!)
(だろ?早速やってみ?)
ニールと暇人君の悪巧みは続く。
呪文のとこだけ何回も書き直しました。
難しいですねー。
お読み頂きありがとうございます。




