第30話 初の会議って感じ
そこは酷く落ち着いた……いや、色が無くなったモノトーンの世界だった。
そこにはテーブルと椅子だけが置かれており、円卓のようにも見えた。
その椅子に一人の男が座る。
「さて。じゃあ、皆思い思いの姿で集合ー」
両手を広げながら言った言葉は何処までもお気楽なものだ。
誰も居なかった椅子にはチラホラと座りだす者が居る。
殆どが地球で見た事がある人……或いはキャラクター。
中には人ですらない奴が居るが。
そんな周りを見て呆れたような、恨めしい様な感情を乗せながら溜息を吐き出す。
「お前ら……まぁ、いいさ。じゃあ始めるか」
周囲を見回しながら気持ちを切り替え、笑いながら告げる。
「第一回!調べて分かった事を確認しよう!の会!」
男、ニールはそう宣言した。
そう、そこはニールの脳内。周囲の様々なキャラクターはニールの分身、暇人君達だ。
「ネーミングセンスなさ過ぎ」
「自分で有り得ないと思うわー」
「うん。無いな」
「それよりも何だこの夢の共演ってかカオスっぷり」
「完全に中の人が被ってる奴も居るし」
「それにもびっくりだけどお前……ネコって」
「いやいや、どうせなるなら人以外でしょ?むしろ何で男のイケメンになってんのか意味わからんし」
「は?このイケメンがわからんとは……これはあれじゃん。海外ドラマのあの俳優」
「いや、知ってるけどな?わざわざ人を、しかも同性を選ぶ意味がわからん」
「アレじゃね?野獣先輩的な」
などなど、好き勝手に話しだした自分の分身を見て再度溜息を吐き出す。
自分の事ながら自由過ぎるなと考えながら。
それでも先に進めたい為、手を叩きながら声を上げる。
「はいはい!雑談は後!さっさと報告会始めるぞー!」
雑談を止め、そうだったと言う感じで向き直る。
それを眺めてさて何から話そうかと考えてる時に。
「じゃあ最初の報告ー」
そう言って手を上げたのはまん丸の青い国民的なロボット。
声も違うし表情や動きが完全に馬鹿にした感じな憎たらしいロボットになってるが。
これがホントのネコを被ってたって事か…………冗談はさておき。
「こっちは地球と他の異世界の差異などを調べてたんだけど、結果としてはどっちも変わらないって事が分かったよー。地球でも魔法は使えるし、何ならモンスターを沸かせることも可能。ただし、現状だとそれは容量不足で出来ないしその容量空ける為には今の人口を半分以下に減らして、生物をほぼ死滅させないと厳しいけど」
「それは不可能と言うのでは無いかね?」
「然り然り。この程度を報告とは……全く、片腹痛いですな」
「いや、キャラになりきらんで良いからな?逆にムカつくからな?」
中々重大な報告をキャラになりきるのを優先してぶった切るとかアホなのか?と思って頭を抑えたニールは1番まともなのだろう。
…………そのアホもニール自身だから更に頭が痛くなるが。
「脱線しない内に今度はこっちが報告しよう」
そしてまだまともな奴が手……前足?を上げて報告する。
「あぁ、そのキャラはやっぱり男爵か。そっちは地球についてだっけ?」
男爵と呼ばれた二本足で立つ貴族の様な格好をしたネコはコクリと頷くと話し始める。
「さっきの報告とも関係してるんだが、魔法だけなら今でも使える。ただ、地球だけはどうも根幹?と言うかシステム?がかなり特殊なようでかなり使い難くなってるみたいだな」
「特殊?具体的な事は分かった?」
「一応、向こうに居る鋼詩に協力して貰って林さんと初代管理者に話を聞こうとしてる所。詳しくは話が聞けてからだ」
地球でも魔法が使える。
それ自体はそんなに驚く様な事では無かった。
現代でも黒魔術や呪術、様々な伝承が残っている為そうなんだろうな、位には考えていたからだ。
そうして考えていたら他の奴が話し始めた。
「じゃあ次は俺が報告するか」
そう言って手を上げたのは、某有名な人型決戦兵器が出てくるアニメの赤いヒロインだ。
「そのキャラで俺とか、完全にキャラ崩壊なんですけど?」
「いや、逆に私とか言った方がキショいでしょ?」
それもそうか。と思ってしまうのは中身が自分自身と分かっているからだろう。
「で、こっちは管理者と神の違いを調べたんだけど分かったのはまず、神はその世界のシステムの一部って考えたら分かりやすいかな。管理者の仕事を分散してやってくれてる感じ。管理者はそれらを含めて世界その物を管理する。神を入れ替えたり、環境変えたりシステムを変更したり、ゼロに戻したり。ただ、こっちもややこしい事が有って、ゼロに戻したら少なからず他の世界にも影響が出る見たい。自然に滅びるなら問題無いけど無理にリセット掛けようもんなら確実に地球では災害が起きるね」
その報告もある程度は予想済みだったのか、ニールはやっぱりか。と思いながら溜息を吐き出す。
そもそも、管理者となればほぼ不老不死になれる。鋼詩が試したように特殊な力も使える。それなのに管理者の立場を林さんが軽い感じで渡して来たのがオカシイ。
美味い話には裏がある。
まだまだ面倒い事があるんだろうな、と思いながら何度目になるか分からない溜息を吐き出す。
「で?ここまで来ると他の報告も似たようなもんで何か裏があったんだろ?」
そう言って周りを見渡せば皆一様に頷く。
「まぁ、しゃあないか。なる様にしかならん。それよりも転生系はこっちでやっても問題無い?誰かそれを管理してる神って居ない?」
「それなら獣人の国に居る神が担当してるな」
ニールの質問に答えたのは有名な仮面を被った赤い星の人だ。
隣には隻腕の赤い髪の海賊が居るからファンとしては嬉しい限りだろう。
…………肝心の声が違うが。
「それならそっちから挨拶に行って排除しとかないとな」
何故排除する必要が有るのかと言われれば、信用出来ないってのが1番の理由だろう。
裏が有るのが分かったんだから元々居た奴を信じれる程バカでは無い。
そもそも、こうやって脳内会議を開いている時点で周囲を信じていないからだし、管理者能力を活用してこの空間への全ての干渉を遮断しているのがその証拠だろう。
万が一と言う事も考えられるからだ。
そうして一通りの報告と確認が済んだ辺りでニールは元に戻るべく立ち上がる。
「さて。皆には引き続き警戒と調査を頼む。緊急時ならこっちに言わないでスキルとか使っても構わんから」
「りょーかい」
まさかの素早い更新。
たまたまなんですけどね。
次は遅れます。
お読み頂きありがとうございますm(_ _)m




