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神様の誕生日  作者: スマイリー
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第2話 絶対に勝てない誘惑みたいな感じ?

少し見やすくなったかと思います。

アドバイスをくれた友人に感謝。

(おお!めちゃくちゃ良い雰囲気じゃん!)

 女の人の後に続いて部屋に入ってビックリ。

 店内に他の客は居ないけど、落ち着いた雰囲気のカフェで入口から左手の方にカウンター席があり、右手側にはテーブル席が3つ程。

 窓際には小さいながらにソファー席が1つ。

 席の数は少ないが、それぞれの席の間には余裕を持ったスペースがある為、他の席を気にせずに落ち着ける空間になっている。

 店内の壁には色んな風景画が飾られていたり、各席や窓際にはオシャレな小物が置かれている。

(これって隠れた名店なんじゃね?良い所見つけたー!)

 そう思いながら店内を見回してたら声をかけられた。


「気に入ってくれた?」

「なかなか…と言うか凄い良い雰囲気ですね。」

 正直な感想を言うと「ありがとう」と言って微笑んだ。

 こんだけ良い雰囲気なら出てくるコーヒーもさぞかし美味いんだろうと期待しながらカウンター席に座る。

「はい。メニュー表。ちゃんと値段も書いてあるから安心してね。」

 少し笑いながら渡してきたそれを確認してみたら値段も高くなく。

 それどころかちょっとした軽食もあるしかなり安い。


 トーストにコーヒー、デザートまで頼んでも1000円でお釣りがくる位だ。

「かなり安いですね。」

「でしょ?お金の事を気にしてたらゆっくり出来ないじゃない?落ち着いて寛いで欲しいから安くしてるのよ。」

 なんか、さっき自分が言ったことが物凄く失礼な気がしてきた。

「さっきは変な事聞いてすいません。こんな場所にあるからてっきりそっち系のお店かと思って…」

「良いのよ。初めて来る人は大体そんな感じだから。」

 そう言って手をヒラヒラと振りながら笑ってくれた。


「じゃあ、コーヒーを2つ。」

「2つ?」

 1人なのに?と不思議な顔で聞き返してくる。

 流石にあれだけ失礼な事を言ったんだから目の前の女性、マスター?にも。と思っての注文だ。

 本音を言えばカッコつけたいのと、個人的にはなかなか美人な人と2人っきりなんだから良い所を見せたいだけだ。

「はい。1人で飲むよりはマスターも、と思って。」

 マズかったかな?と苦笑しながら言ってみたら少しキョトンとした後に


「フフッ。ありがとう。じゃあお言葉に甘えさせてもらうわね。」

 そう笑いながらコーヒーを淹れてくれた。

 我ながらアホな事をしたもんだ。

 決して高くないコミュニケーション能力を総動員して、さらに勢いとノリで言って見たけど後の事を考えてなかった。

 まさかの隣に座って来たのだ。

 最初にOLみたいだと思ったのは、上はYシャツに下はスラックスを履いていたからだ。

 隣に来ると女性特有の良い匂いとか胸の膨らみがハッキリわかる。


「じゃあ、いただきます。」

 こっちを見て微笑みながら言われたから慌てて視線をそらして

「あ、はい。いただきます。」

 と。自分から誘っておきながら何というヘタレ。

(落ち着け。どこぞのギャルゲーみたいな展開には絶対にならん。確実に何も起こらん。あんな展開が許されるのは妄想だからだ。)

 良くあるアニメや漫画の展開。

 あれは現実で考えたらありえなさ過ぎて逆に何かあるんじゃないかと疑うものだ。


 今みたいな展開で女性が「体が疼くの」的な事を言ってきてみろ?

 まず間違いなく(コイツ頭大丈夫か?)と、ドン引きして痴女認定して病院をすすめるかサクッと逃げる。

 もしくは「あ、何かの病気ですか?大丈夫ですか?救急車よびます?」とか言うし。

 あんなのは所詮妄想の産物。

 リアルではあったとしても色々疑う。

 それはさておき。


「そう言えば変わった名前のお店ですね?異世界に興味があったりするんですか?」

 もしラノベなんかを読んでいるのなら話が合うんだけどなと考えながら聞いたんだけど、返事を聞いて一瞬思考が止まっていまう。


「興味があると言うより色んな異世界を管理してるのよ。」


 ・・・うん。もしかして頭が残念な人か?

 色んな異世界を管理?

 ラノベの作家って意味か?

「管理?作家さんなんですか?」

「んー。なんて言ったらいいのか…」

 そう言いながら説明する為に言葉を整理しているのか腕を組みながら上を見上げる。

 もし頭が残念な人だとしてもお店は良い雰囲気だし、空想話として聞けばそこそこ面白そうだから話だけは聞いてみようか。

 そんな事を考えていたら漸く整理出来たのか説明してきた。


「異世界ってのはしってる?」

「ハイ。良くSF映画やアニメとか漫画なんかである、このセカイとは異なる世界ですよね?」

「そうそう。そんな異世界をこの世界含めて管理してるのよ。」

「あ〜。そうなんですね。世界の管理とか大変じゃないですか?」

 もう完全に与太話だと思って適当に話を合わせる。

 だっていきなりこんな事言われたらね?厨2病を拗らせまくった人なわけじゃん?しかもこの世界含めてって事は自分を神とか創造神なんて思ってるわけじゃん?


 俺にはどうする事も出来ないよ。処置なし。手遅れです。南無ー。

 そう思って心の中で合唱。

「大変て言うよりは凄く暇なのよ。あんまり干渉出来ないし、ちょっと無理に干渉したら地震だとか竜巻だとかの災害が起きちゃうし。」

「そうなんですね。じゃあ見てるだけって感じですか?」

「そうね〜。ほとんど見てるだけね。たまにこうやって干渉したりするんだけど。」

「あ、今も干渉してるんですか?災害とかヤバくないですか?」

「うん。今とある国でそこそこ大きな竜巻が発生してるわね。」

 竜巻…日本では滅多に起きないからアメリカかな?それとも別の異世界かな?


 なんにせよ。

 こんな人達ってそれを信じて疑わないよなー。

 普通に生きてて特別な力とか神になるとかあるわけ無いじゃん。

 魔法とか不思議パワーが日常に溢れてるファンタジーな世界ならいざ知らず。

 リアルでそんな事が起きたら今頃世界中はスーパーヒーローだらけじゃん。

 スーパーパワーのバーゲンセールですか?アホらし。

 この人も見た目美人なのに勿体無いよな〜。

 淹れてくれたコーヒーは美味いのに。


「災害が起きるのに干渉しちゃっても良いんですか?」

「いいのいいの。多少の災害程度なら100年経たずに忘れ去られるから。」

「はぁ。そうなんですね。ちなみに今回はどんな干渉をしてるんですか?」

 普通の人が見たら会話が成立してる時点で俺も同じ部類に入るのかな?

 まぁ、傍から見たらそう見えるよなー。

 他にお客さんが居なくて良かったよ。

「今回は私の変わりをしてくれる人を探してたのよ。流石に飽きちゃってね〜。」

 神(自称)が飽きたとか言っちゃったよ。

 きゃ〜。世界の終わりよ〜。助けて〜。ってか?

 くだらねー。もうちょい面白いかな?と思ったけどそれ程でもなかったなー。

 そんな事を考えながらそろそろ帰るかなと思っていると。


「ね。私の変わりに異世界を管理してみない?」


 まぁ話の流れからしたらそんな感じになるよねー。

「世界の管理って特別な資格とか必要じゃないんですか?」

 とりあえず最後まで話を合わせときますか。

「特に必要ないわよ。」

「そうなんですね。でも仕事があるしあんまり管理してる時間作れないかもしれないですよ?」

「そこら辺も問題ないわよ。一応給料も出るし、私生活の方はドッペルゲンガーでも作って任せる事も出来るし。意外と楽よ?」

「給料出るんですね。ドッペルゲンガー?自分が二人になるんですか?」


 話に食い付いてきたと思ったのかこちらに体ごと向きながら力説してくる。

「そう!給料はあまり高くは出来ないけど最大で月に1000万までなら可能よ。しかも!年2回のボーナス付!ボーナスは7月と1月に5倍の5000万!そしてドッペルゲンガーは性格や思考パターンまで完全に同レベルで、たまに会った時には記憶の共有が可能!それにより、たまにこっちと入れ替わる事も可能!どお!?」


 よし。ちょっと待とうか。

 ドッペルゲンガーとかその辺はどうでも良い。

 月収1000万?ボーナスで5000万?何その超高収入?

 仮に。仮にだ。もしこの収入関係がホントなら年収2億2000万?億万長者じゃん!?

 いや、落ち着け。冷静になれ。上手い話には裏がある。そもそもホントか分からんし只の与太話の可能性がある。

 一瞬びっくりした顔からニヤけた顔になり、冷静になって胡散臭そうな顔になる。


 そんなこちらの百面相を見て、脈アリと見たのかマスターは更にこんな事を言いながらカウンターの向こう側に回り込み何かを取り出してきた。

「今なら前金で500万!それにある程度なら希望も聞くわよ!」

 カウンター席に置かれた物を見てビックリ。

 札束が置かれてる。諭吉さんが沢山。良くドラマなんかで見かけるあれだ。

 考えてみて欲しい。

 現代人の前にポンとそんな大金を出したらどうなるのか。

 与太話?頭が残念な人?そんなのどうでもいい。

 この瞬間から俺の頭にはこの話は真実として認識された。

 主に金銭に関して。

 神?ハッ。そんなのどうでもいいんだよ。

 問題は今目の前にある沢山の諭吉さんだ。

 話を受ければこれが自分の物……。


「…具体的に話を聞いても良いですか?」


 諭吉さんの誘惑には勝てなかった。



ストックはこれで最後。

のんびり書きつつ来週には更新出来るように頑張ります。

読んでくれてありがとうございます。

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