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神様の誕生日  作者: スマイリー
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S1話 日常から非日常への緩やかな移行

今回は鋼詩側のお話です。

「お疲れ〜」

「お疲れさん」

 やっと終わった。

 今日もなかなか忙しかった。

 上はアホなのか現場を理解していないのか、仕事ばかり増やして来る。

 人が居ねぇって言ってるのに仕事量増やすとか、絶対に頭オカシイ。


 そっちで出来るやん!何てものまであるから困る。

 はー、さっさと辞めたい。

 トイレのドアから家に帰る。

 最近はコレのお陰で即家に帰れるし出勤出来るしでかなり楽だ。

 女子トイレにも入り放題じゃん!とか思ったそこの紳士諸君。残念ながらこの転移?はドアの近くに無関係の人が居たら発動しない。


 初日に運良くトイレのドアから帰れたけど、出勤する時に試してみたら発動しなかった。何度か試してようやく出来た時にわかった。

 発動したから周囲に人が居ないはずなのに何で気付いたかって?

 簡単だ。

 場所はトイレの大をする所。

 人が居ないのに便器にはホクホクのウンちゃん。流せよ馬鹿タレが!


 超臭かった。他人のウンちゃん程臭いものはない。

 速攻で流した。

 それ以降は出勤する時は息を止めてる。

 リアルだからこの能力だけでヒーロー軍団の仲間入りが出来そうだが、個人的には地味すぎるし応用も考えられないからヒーローの一員って言うよりヒーロー軍団のあっしー(移動手段の足代わり・送迎係)にしかならないと思ってる。

 早いとこニールの後を追いたい。


 さて。最近は家で寝る事が少なくなってる。

 家に帰ったら風呂に入ってそのまま異世界館に行ってモニター眺めながらニールを観察してる。

 このモニターを弄りながら取説?みたいなのを画面に開いて読んでたんだが、どうも見れるのは現在だけでなく、過去や未来も見れるっぽい。

 アイツは取説読まない派だから多分この事は知らないだろう。

 読むより実際にやって覚えるタイプだからな。

 俺も適当に流し読みしつつ、色々弄りながら覚えていってる。

 ただ、取説読めば読むほど実際に行ってみたい気持ちが大きくなっていく。


 もう仕事なんてサクッと今月で辞めますって言おうか考えるぐらいに。

 マジで異世界に行ったニールが羨ましい。

 1回爆発したら良い。寧ろ爆ぜろ。そして目茶苦茶痛い思いをしたら良い。て言うか痛い思いをしろ。具体的には四肢が吹っ飛ぶぐらい。

 そして早いとこ帰ってくれば良い。

 そしたら今度は俺が行くのに。

 まぁ、ここで愚痴っててもしゃあないし。

 ニールが向こうに行った頃からの映像見ながら他の機能調べときますか。


 暫くモニター弄りながらニールを見てたけど、草原で突っ立ったまんま一向に動かない。

 暫く見てたが、いつの間にか寝落ちしていた。

 やっぱ疲れてたのかね。

 モニター見てみても相変わらず草原を歩いてる。時折刀?で近くの木や草を切ったりしてる位。

 せっかく異世界行ったのに実に楽しくなさそうに散歩してる。

 さっさと街なり国なり行って異世界テンプレを発生させたり、ハーレム作ったりしたら良いのに。

 何をやってんだか。


 ニールを見てても詰まらないし、ニールの未来でも見ようかな?と思ったけど、何かネタバレする感じがして面白くないからコラスィの映像見ながら時間を潰してた。

 そんな時に職場から電話がかかってきた。


「はい、もしもし」

「あ、鋼詩?起きてたか?」

「はい、どうかしたんですか?」

「すまん、お願いなんだけど。今日早めに出勤出来ないか?上村がインフルで人が居ないんだよ」

「あー、マジですか。これで3人目ですか?」

「いや、後、朝木と沼田も体調悪いってんで早退してる。下手したら5人だな」

「うっわ、ヤバイじゃないですか。店閉めれないんですか?」

「オーナーが他にも人居るんだから大丈夫だろ?ってさ」

「あのアホ、マジかよ」

「マジ。一応俺も残るけど、明日も朝からだから夜には帰って良いか?」

「寧ろ今から行くから早めに帰って良いですよ。俺らがインフルになったらヤバイっしょ」

「スマン、助かる。じゃあ後で」

「はーい」


 終わった。

 今日もハードワーク確定。

 皆インフルにかかり過ぎだろ。

 本音では俺もかかって休みたいけど全然かからん。

 上村がインフルって…………。

 昨日確かに咳き込んでたけど一緒に飯食ったじゃん。

 缶コーヒーの回し飲みとかもしたじゃん。

 何故に俺はインフルかからないんだよ。


 流石に俺か多岐浦(たきうら)がインフルになれば店閉めるしか無いし、そしたら他の連中も少しは楽になるのに。

 いっそ勝手に閉めちまうか?24時間営業と言っても夜は酔っ払いや学生ばっかりだし、閉めても売上に影響無いっしょ。

 でも、後で目茶苦茶どやされるんだよなー。

 はぁー。適当に客捌いてサッサと終わらそ。

 サクッと着替えて外に出てちょっと一服。


 早過ぎたら変に思われるからな。

 そして、家のドアから職場のトイレに移動。

 息を止めてたが、今回は大丈夫だった。

 そこから事務所に行き、PCにログインをしてメールをチェック。


「お!おはよー!早いな」

 多岐浦が半ば死んだ目で事務所に入って来た。

「おはよー。結構忙しい感じ?」

 目新しいメールは無かったから、着替えながら聞いてみた。

 着替えと言っても制服の上からパーカーを羽織ってるだけだから簡単だ。

 昔の制服は可愛いとか言われて人気だったけど最近のは、オシャレにしたいのかビシッとしたいのか中途半端で余り人気が無い。


「良い情報。さっき電話で内藤がインフルでキャンセル」

「は!?マジで?てか、全然良い情報じゃねえ!寧ろ最悪やん!」

「メッチャ大流行中やね」

 力鳴く苦笑している多岐浦。

「オーナーに閉めていいか聞いてみた?」

「頑張れ、の一言で片付けやがった」

 あー、うん。そうか。

 よし。俺も今ので吹っ切れたわ。

 お望み通りお店は開けててやろう。

 但し、客は待たせまくるけどな。クレームは上に直接言ってもらおう。


「じゃあ代わるわ。多岐浦は帰って良いよ」

「サンキュー、助かる。流石に休憩無しでやるのは疲れた」

 苦笑している多岐浦とハイタッチをして事務所を後にする。

「っと。明日は人数大丈夫なん?」

 念の為に聞いておく。

 もし明日もキツイようなら少し残ってやった方が助かるだろう。


「明日からは他の店舗から応援を借りれたから大丈夫」

「オッケー。なら大丈夫だな。お疲れ!」

 軽く手を上げて今度こそ事務所から出る。


 うちのお店は地方産の飲食店で、世界的に有名なバーガーショップをパクってオリジナルのバーガーを作って販売している。

 昔、オーナーが「バーガーなら簡単に作れるしアレンジも出来るから楽勝じゃん」と、その時の勢いで作ったお店だ。

 それだけなら他のお店と変化は無いが、うちのお店は変わっている。

 まず、決まったバーガーが無い。


 と言うのもシステムが特殊で、お客さんが様々な具材から自分でトッピングを選んでいってオリジナルのバーガーを作る。

 その為、通常カウンターがある所には色んな具材が置かれている。具材一つ一つの値段も安く、普通の肉と野菜の挟まったバーガーを作ってもたった100円。

 学生にはそのシステムが大受けしたらしく、中には肉を何枚も入れてギガ盛りバーガーとか言って食べたり、野菜を大量に挟んでギガベジバーガーと言ってSNSに写真を載せてたりする。

 この近辺では24時間営業がうちの店とコンビニだけで、おまけにバーガーが地元の特色がかなり出まくったやつで安い。

 直接地元の農家から仕入れている為に安く済んでいるんだとか。


 そのおかげでそこそこ知名度はあり、店舗数も最近増えてきている。

 オーナー曰く、「簡単なアイディアでこれだけ儲かるなんてボロい商売だな」との事。

 そんなのが言えるのは一部の才能のある人だけだと思う。

 実際、アイディアが有ってもそれを形にする行動力や判断力、そして資金力が無いとただの妄想止まりだろうし。

 ……もしかしてステータスとか見れたらそんなスキルを持ってるんじゃないか?

 試しにその辺に居る客を見てみても全くステータスなんて表示されない。

 やっぱリアルはクソゲーだわ。


「あれ?鋼詩さん今日は20時からじゃなかったですか?また出勤時間間違えたんですか?」


 そう言って話しかけて来たのは高校生でバイトの呉屋藍夢(ごやあいむ)さんだ。

 高校生らしくない、落ち着いた雰囲気のちょっと可愛い女の子。

 まぁ、高校生らしくないのは趣味を聞けば納得する。

 絵を書いてるらしいんだ。BL系の。

 うん。腐女子の分類の子。

 でも社交性は高く、色んな人と分け隔てなく接する事が出来るぐらいのコミュ力の持ち主。コミュ力53万です。


「インフル流行ってるでしょ?それで早めに来たんよ」

「あー、なるほど。リーダーは大変ですね」

「マジでよ?なんなら変わってくれても良いよ?」

「学校があるんで無理ー」

「ですよねー」


 そんな話をしながら厨房の状況を確認していく。

 肉などの焼かないといけない物は基本的に注文が入ってから焼く。

 野菜類は前もって準備しているので、足りない物や少ない物が無いかの確認だ。

 そうしながら中を歩いてると、他のバイトの子達から「おはようございます」と言われるのでそれに「おはよう」と返しながら、作業をしていて気付いてない人には肩を軽く叩きながら「おはよ」と声をかけて回る。


 そして確認が終わったら今度は退社時間になった子達に「お疲れ様、後はこっちでやるから上って良いよ」と声をかける。

 さて、今日もやるかと意気込んだ時にニールから念話がきた。


『おいーっす、今大丈夫?』

『今から仕事』

『話しながらでもイケるっしょ?』

 まぁ、電話みたいに片手が塞がるわけでもないから大丈夫か。

『どうしたん?早くも交代か?』

『いや、ちょっち聞きたい事があって』

 そう言って色々聞かれて、時折話の内容の性で手を止めながら時間は過ぎていった。

明日が金曜だと思ってた。

夜勤やってると曜日感覚無くなるよね。


次は少しばかり遅れます。



お読み頂き有難うございます。

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