朝
うーーうーーーうーーーあーー……あ!あーーあーーー
朝の一室で不気味な声が流れる。
布団の中から飛び出した手が右往左往するが、当たりをつけたらしく人間の唸り声のような音を出す、目覚まし時計の頭を思いっきり叩く。
そうすることでようやく部屋に流れる呻く声は止まる。
「うーん、あー!!」
布団の上で思いっきり体を伸ばして上半身を起こす。
「毎朝、最悪な目覚めをくれるなこいつは」
そう呟いて人の呻く顔をしたオブジェを見る。
見れば見るほど薄気味が悪く、苦悶の様相をしている、それだけでなく大きさも人の頭サイズもあり暗いところでみたら切り落とされた頭にしか見えないだろう。
眼球の部分に短針と長針があり、かろうじて時計だと分かる。
正直、これをくれた本人の性格もあって嫌がらせだと確信している。
次の誕生日には唐辛子を入れまくったケーキをプレゼントしてやる、そんなことを
考えながら枕元のタバコに手を伸ばし一本取り出し火をつける。
口に咥えて吸って吐く、口からでる煙を見ると何となくだが生きていると実感する。
窓を開けて、煙が部屋に染み付かないようにする。
程なくして一本を消費し終えると灰皿に押し付け火を消し、支給された制服に着替える。
歯ブラシとコップを持ち、ドアを開け、廊下にでるとすぐ傍の流しに向かい歯を磨き始める。
口を濯いでいると下の階からいい匂いがし、その匂いと共に自分の腹の音がなる。
「腹減ったな」
部屋に戻り、コップと歯ブラシを元の場所に置き、一階に続く階段を降り始める。