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超適当な話

作者: ハル

潜入捜査で"龍亭会"へ潜り込んだ黒瀬。


黒瀬はシュウという子を拾った。



女が走るのは暗い暗い地下水道。

男が歩くのは暗い暗い地下水道。


女は汗を流しながら必死に走り、男は肺に開いた穴を苦し紛れに抑えながら必死に女を探す。


「はぁ、はぁ……っ!?」


突然現れた遠くに光る灯りに男の顔は強ばる。



「どっちへ逃げたっ!」


「分からんがここに潜んでいるのは間違いない。シュウが撃った弾は確かに奴に当たった」


「そのシュウはどこに行った」


「知らねぇよ、何でもかんでも俺に聞くな」


「フンッ、まぁいい。とにかく早いとこ裏切り者を捕まえよう。竹中総長の怒りが俺達に向く前にな」



遠ざかっていく足音、完全に消えた灯り、再び戻ってきた静寂と暗闇の中男はホッと安堵した。


「行ったか……ゲホ、ゲホッ!ゲホッ!ゴボッ…」


咳き込みと共に吐き出される血は残された時間が少ない事を男に(しら)せる。


「ゲホッ!ゲホッ!…ハァ、ハァ……ちくしょう」


口の血を拭うと壁に寄りかかるようにして立ち上がる。そして男は歩き始める。


黒い血の跡をポタリポタリと滴らせながら……



男はとある潜入捜査で三大組織の一つ"龍亭会"に潜り込んでいた。目的は―龍亭会の組総長【竹中誠】の逮捕。その為に彼に近付き信頼を得た。努力と実力で最高幹部の1人にまで登りつめた。


全てが順調だった。シュウという子を拾ったあの日までは……


☆☆


その日は土砂降りの雨が止む事無く降り続いていた。部下の佐藤が差す傘の中へ入りながら男は黒の外車へ乗り込もうとした。


ふと細い路地に目をやると薄汚い子供がうつ伏せで倒れている。


「……佐藤、あの餓鬼死んでるのか」


佐藤は雨に濡れながら面倒そうに子供を見やる。


「あぁ、あいつなら昨日もああやって倒れてましたよ。親に捨てられた孤児でしょう。さ、黒瀬さん。早く車へ」



これ以上雨に濡れたくない佐藤は急かすように後部座席に黒瀬を押し込んだ。


バタンッ……ブロロロッ


車のエンジン口から吐き出された黒煙はまるで嘲笑う様に子供に降り注いだ。



「………あ……あ……」


遠ざかるエンジン音が耳障りに気を失っていた子供を起こした。


「かあさん……おかあさん……」


か細い泣き声は雨音に消され、勿論子供への興味を無くした車中の黒瀬にも届くはずがなかった。





「あぁ〜、旨かったな。今日のフグ刺し。今度は美香(みか)(とし)にも食わせに連れて来てやるか」


竹中の妻は三年前に事故で死に、唯一血の繋がった竹中の子供達だ。この国の闇社会で悪名を轟かせる男も我が子の前ではただの父親だ。


「では、来週にでも席をお取りしておきましょうか?」


「あぁ、そうしてくれ。お前もどうだ?俊が喜ぶ」


「ええ、そうしたいですが、緑風(りょうふう)会との取引準備が間近に控えてますので」


「んん……それなんだがな、黒瀬」


和やかだった竹中の顔つきが悪に変わった。隣に座る黒瀬の身体も強ばる。ここから彼の本当の【仕事】が始まる。



プルル…プルル…ガチャ「だれだ?」


「間違い電話」


そこから5秒間の沈黙を行う。


「黒瀬です、伴田さん」


「久しぶりだ。ひと月ぶりか」


「はい、やっと竹中が動き出しましたので報告を」


「ちょっと待て、場所を変える――いいぞ」


「3日後の午前2時、片橋港の第三倉庫で緑風会と麻薬取引が行われます」


「ほぅ、緑風会か……久々にでかい大物が釣れそうだ」


「ですが、本題はここからです。麻薬取引というのは表向き、竹中は麻薬を餌に緑風会の奴等を(おび)き出し殲滅するが狙いです」


「竹中が?緑風会を?……なんでだ?奴等は長い間協定関係だったはず。何故いきなり潰しにかかる?」


「ここ最近、緑風会の組頭 金縛蒼士(かなしばそうし)の勢力が龍亭会の縄張りに手を伸ばしつつあるんです。数日前、北事務所が原因不明の火事で消滅してます。恐らく、金縛の仕業でしょう」


「ふぅん、なるほど。疑わしき者は早めに潰せって事か……。分かった、こちらは特隊(特殊部隊)を張り込ませる。お前はいつもの様に姿をくらましとけ」


「はい、では」


プツリと電話を切ると黒瀬は雨宿りしていた古アパートの階段口から土砂降りの雨の中へと歩き出した。


「痛いな、今日の雨は」


小石の様な雨に黒瀬はたまらず背広を頭から被りパーキングに止めてある車まで走った。信号を待つのも面倒でひしめくビルが作りあげた迷路の様な路地裏を黒瀬は全速力で駆け抜ける。彼にとっては自分の庭の様なものだ。


タッタッタッタッタッタッ…ドカッ!!「うわっ!?」


何かにつまづいた。背広で視界まで覆っていたからだ。黒瀬の身体はそのままコンクリートの壁に叩き付けられた。


「いってぇ……」


服は土でドロドロ、waxで整えていた髪も水でびしょびしょ……何とも汚らしい姿になってしまった。


「チッ、何に一体躓いて――あっ」


黒瀬が見る先にいたのは、裏路地に倒れていたあの子供だ。黒瀬に腹を蹴られたのか、苦痛に歪んだ顔で腹をギュッと小さな両腕で押さえている。雨に濡れた顔なので泣いてるのかどうかは分からない。


「おい、大丈夫か?」


「…たい」


子供の声が僅かに聞こえた。


「え?」


「痛いよ……なんで、なんで僕だけがこんな目に…ウッ、うゎー……」


そう言うと子供は小さいながらも声をあげ泣き始めた。



これが黒瀬とシュウの出会いだった。


この後、黒瀬は幼いシュウを育てる事になる。自分と同じスパイに育て上げ、シュウには並外れた才能があった。


シュウは黒瀬を裏切り龍亭会に黒瀬の正体をバラした。黒瀬は逃走中にシュウに胸を撃たれ地下水道へ逃げこんだ。




どうしてシュウは黒瀬を裏切ったのか――


黒瀬が地下水道で追い掛けていた女の正体は誰だったのか―――


瀕死の黒瀬はどうなったのか―――



そんなこと誰も知らない。

私も興味ないしね。


あ、でも誰からか聞いた話だけど……


とある港で男の変死体があがったって。

龍亭会の竹中は佐藤って部下に刺されて死んだんだって。残された2人の子供は誰も引き取ってくれないから孤児院に入れられたんだって。


うん?シュウ?ああ、あの子。

何処行ったんでしょうね?



自分で考えてみれば。





























適当でごめんなさいね。


なんだかストレス溜まってたもんですからwww


読んで頂きありがとうございました

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