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特攻娘Jチーム  作者: 加熱扇風機
第一話 特攻娘Jチーム
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3-2 suicide attack

 俺は上の服を脱ぎ、メタボになっている腹の皮を剥いでペリペリと割いていく。


 腹の中は袋状になっており、チャックを開けると中から20センチメートル程のクモの様な6つ足の機械と、それを操作する折り畳み端末を取り出した。


 これらは金属で出来てるが、先ほど金属探知機に引っかからなかった。それはこの腹になっている所は特殊樹脂で出来ていて、中に金属が入っていようが検知されない。


 こんな物が出たお蔭で、空港の荷物検査はさらに厳しくなり、中身を必ず確認されるぐらいになっている。大変な物がクロムテクノロジーから応用されて、作られたものだな。


 まぁ今回はそのお蔭で、犯罪を取り締まる事への利用に使えている訳だが……。要は人間の使い方で、道具の良し悪しは変わってくるってものだな。


 っと、コイツを使う前に、さっき手に入れたタブレットに、シマリスちゃんに頼まれた物を繋いでおくか。


 俺は腹の中からメモリースティックを取り出して、それをタブレットに差し込んだ。


 すぐに画面が起動状態になり、暗証番号が解析されてその中に侵入した。


 色々な物が自動で表示されていくが、分かる事はハッキングしてるなーって事ぐらいしかわからなかった。


 このタブレットを媒体にして、施設内のコンピューターにシマリスちゃん特製のウイルスを感染させると言う事だ。


 後は全て自動でやってくれるから、俺はタブレットを置いて、こっちのクモの方を使う事にする。


 コイツはスパイダーウィジャットと言われていて、あらゆる壁、天井だろうが張り付き、移動が出来る機械だ。


 そしてコイツには様々な機能が備わっているのと、オプション部分を色んな機能に変えて、その時に見合った機能に付け替える事もできる。


 今回は施設内部構造を把握すると言う事もあって、丸いおしり部分の機能を、特殊なミリ波を使用して壁の向こう周囲10メートル以内の構造を把握する装置も取り付けてある。


 これを使ってこの建築物内部を徘徊して情報を集めていくことが、今回俺に与えられたミッションだ。


 だったら外からこれを使って操作すればいいと思うが、施設内部に繋がる通路やダクトには、妨害電波が発生しており、外から内部への遠隔操作が不可能だった。


 なので内部に直接侵入して操作しなければいけなかった。


 さて、それじゃやりますかね。


 ここに入る時に、トイレの入り口に換気口があった。そこにウィジャットを移動させていく。


 換気口の前にやってくると、マイナスドライバーのネジがある。別にどんな形状のネジ穴だろうが関係はないけどな。ウィジャットからドライバーを選択して、磁力の力でそれをキリキリと素早く回転させて開けていく。


 換気口を前足のアームで掴み、そして中に入ってフタを反対側から閉めた。


 そして磁力操作機能を選択し、外にあるネジを宙に浮かばせて角度を調整し、換気口のネジを締めていく。手間のかかる作業だが、こうしておけば侵入したことがバレズに居られる。


 こんな事が可能になったのもスゴイものだな。


 ダクト内部の様子だが、空気圧の問題もあって、ダクトの中は人一人が通れるぐらいの広さだった。


 可能性は少ないがもしかしたら、ダクト内部の至る所に防犯装置が設置されているかもしれないと言われていた。


 俺はウィジャットを慎重に進ませていった。


 けれどそんな防犯装置は一向にないようだ。防犯装置と言っても値段が相当する物だからな。大量に至る所に設置すれば、それこそ建設費が嵩み、大変な事になる。


 防犯装置は、外と内部を繋ぐ所にしかないようだな。この事実も重要な報告になる。


 しばらくダクトの中を徘徊し、外の光景が見える所を映像に撮っていく。


「……お? これは」


 ある場所に辿り着くと、鉄格子のある部屋に付いた。


 ここに捕まったCAAの人たちが居る可能性があるな。


 操作端末の映像を調べた周囲の構造を立体化した画面に切り替える。


 牢屋は4つある。牢獄の中に2名、それぞれの牢獄に入れられている。捕まったCAA工作員は2名だから、間違いないな。


 後は牢獄部屋の外に見張りが一人いるな。だが牢獄とその見張りが曲がり角になっていて、完全に死角になっているな。


 防犯カメラの配置はここか。換気口から出ると、ウィジャットが丸見えになるな。


 ……シマリスちゃんがウイルスの侵入が完了すれば、防犯カメラの機能も操作が可能になると言っていたな。


 俺はシマリスちゃんのウイルスが入ったタブレットを手に取った。全体に感染したことを報告する画面が出ている。


 画面を操作して、新しく追加されている監視カメラのアイコンを押した。


 そこからずらっと色んなところの監視カメラの一覧が出てくる。


 牢獄の監視カメラを選択して、映像ループボタンを押す。しばらくしてループした画面が映像に流れ、これで良いか選択肢が出てくる。


 決定ボタンを押して、俺はウィジャットの操作に持ち変える。


 反対側からでもその磁力の力でネジを廻し、換気口の蓋を外して出る。そして再び元通りに戻した。


 そして牢屋の中を徘徊していく。


 檻の中を見てみると、CAAから受け取った捕縛された人たちの顔と一致する人物であると確認が出来た。


 よし、これで一つの任務は達成したな。


 彼らから何か情報は得られないだろうか。もし見つけて話が出来そうであれば、会話を試みてほしいとも言われていたからな。


 俺は檻の中に入り、その寝ているCAA工作員に近づいた。そして端末に向けてそっと声をかける。


『静かに対応してください』


 ウィジャットから発せられた声に気が付き、その人が目を開けてこちらを見た。


『そのままの体勢で、小声で会話してください』


「わかった」


『私はCAAに協力して、潜入調査を行っている者です。詳しい事情が説明出来ませんが、ご理解ください』


「あぁ、わかった。それでオレたちの事を助けに来たのか?」


『皆さんが監禁されている場所の特定が出来ました。後は研究施設内をミサイルを置いてある場所を捜査し、この情報を外部に知らせれば、軍の方々が突入とし、二人の救出が行われます』


「そうか……。なら一つ良い情報がある。そのミサイルはまだ完成されていない。そして全く持って使い物にならないって事だ」


『本当ですか?』


「あぁ、確かだ。3日前のオレが掴んだ情報だが、あの様子だとそんな短期間で完成するような事はない。未だに完成するような兆しも、目途は立ってないだろう」


『それはとても重要な事を聞けました。ありがとうございます』


「後はそうだな。兵器のある場所はもうわかっているか?」


『まだ捜索中です』


「だったら教えてやる。この地下施設は2階層になっている。そして地下2階全てがその研究施設だ。行き方は二通り、施設奥にあるエレベーターか非常階段を使うかしか行けないぞ」


『なるほど。わかりました。ありがとうございます』


「あぁ、どういたしまして。そして伝えてくれ。オレたちの事はどうなってもいい。必ず兵器の開発を止めてほしいと。そして暴発なんかしないようにと……」


 暴発か……。完成はしてないけれど、あくまでの可能性だが、ミサイルが暴発してしまう恐れもあると言われている。


 その爆発の威力はわかっていない。施設が丸ごと吹っ飛ぶか。周辺の民家を巻き込むぐらいか。爆破物の取り扱いに、慎重は欠かせないからな。


『わかりました。しっかりと伝えます。それと……。鉄格子とは好都合でした。3本程、焼き切っておきますね』


「なんだって?」


 そう俺は言うと鉄格子に向かって、口元からレーザーを放射した。ジリジリと焼切って行く。上下共にギリギリな所まで切った。


『私たちが突入した際、ここをへし折って脱出してください。ここまで救助へ向かう際に、もしも敵が手を出してきた時の為にとの事です』


 これは七姫の考えだった。いくら捕虜が捕まっている場所が分かって、迅速にその場所にたどり着いたとしても、激怒や錯乱した敵に捕虜が既に射殺されてしまってる例もあるとの事だ。


「わかった。ありがとう。こちらの事は任せてくれ」


『はい。では、お気をつけて』


 俺は元の換気口に戻った。


 さて、下の方へ向かえばいいのか。このダクトで下にまで行くところはあるかな。


 俺は今まで作成できた施設内の3Dマップを見てみた。


 施設の奥と言っていたが、まだ行ってないここだろうな。


 そしてそこまで行くと、階段とエレベーターを見つけることができた。


 その両方の間にダクトが通っている。その中を通って下へと向かった。


 しかしこうしてダクトがあらゆる所に伸びてると、こういった隠密兵器には格好の仕事場でしかないな。まぁ地下であるために、空気を喚起しなければそこで生物は窒息死してしまうから、仕方のない構造だけどな。


 このスパイダーウィジャットの知名度が上がれば、またそれに対応した防犯がされ、それをまた上回る兵器が作られる。イタチゴッコな状況だな。


 そして30メートル程の地下2階へと降りると、随分広いスペースの部屋に辿り着く。


 どれどれぇ、通気口から内部の様子を見ていく。


 今は誰も居ないようだった。そしてその中心にある物。


 あの装置がマテリオンの研究をしているヤツっぽいな。マテリオンは電離放射線の部類に入った存在だ。そのマークがあの装置の至る所に付いている。


 生物が直にマテリオンにより被爆すれば、皮膚は焼け爛れ、生体組織が加熱して、細胞が破壊される。もし装置から少し漏れたとすれば、周り数百メートルに居る生物は、神経痛や筋肉痛が起こり、正常な行動が出来なくなる。そして白内障や白血病、ガン、早期の老化、寿命短縮などの障害問題を引き起こす。


 マテリオンの研究は嘘だったハズでは? これはカモフラージュしていると言うこのなのだろうか?


 しかしもし本当だとすれば、あそこにマテリオンがある。これはミサイルどころの問題ではなくなる。


 この施設はもう少し詳しく調べておかないといけないかもしれない。


 防犯カメラの装置をいじって、ウィジャットを部屋の中隅々まで徘徊させていく。


 そしてマテリオンが置かれているかもしれない装置を調べていく。


 んー、しかし電離放射線の計測できる装置を付けてきていないし、調べられる事と言えば、映像を取って行くぐらいしかできない。


 その装置の端末を使って色々と調べてみるって事も出来るだろうが、俺のミッションはあくまで施設内部の構造を調べ、外部へと持ち出して報告する事だ。


 ここで余計な事をして、失敗したら元も功もない。止めておこう。


 よぉーし、これだけ情報があればいいだろう。


 後は俺の元にウィジャットを戻して帰還するだけだ。ようやく終わる。


 俺は時間を見た。これだけの事をして、結構長く時間を使った感じがしたが、まだ34分21秒しか経ってなかった。後は戻るだけだし、ルートも分かっている。


 最短所有時間約50分と予測されていた。これ以上掛かるのなら途中でも良いから引き返すようにと言われている。でもその時間内で行けそうだな。


 ウィジャットは1階に辿り着き、俺が居る女子トイレまで向かって行く。後少しだ。


 ビーッ! ビーッ! ビーッ! ビーッ!


 その突然響き渡ったサイレンの音に、心臓が破裂するぐらいに跳ね上がり、気が一瞬動転して、目の前がぐらっとなった。


 これは火災警報とかじゃないよな?


 手と足の先まで冷たくなるのを感じながら、周りの音に集中する。まずは現状がどうなっているかを把握しなければならない。


 しばらくサイレンの音響き渡った後、男の声が響き渡った。


『侵入者だっ! 現在1階Bフロアに潜伏していると思われるっ! 怪しいヤツは捕まえろっ! 抵抗することがあれば射殺する事も許可する!』


 奥歯を強く歯噛みする。どこでバレた?


 後もう少しでウィジャットが戻ってこれるのに。ここで捕まったら、全てが水の泡だ。

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