3-9 suicide attack
敵の人数がだいぶ減ってきた。もう後7人程度って所か?
「武器を捨てて、両手を上げて降伏しなさいっ! まだ刃向かう者は容赦なく撃ちますわよっ!」
七姫もこちらの好機と見て、降伏を申し立てた。
その言葉に、武器を捨てて手を上げて身を出す者が数人出てくる。それを皮切りに、どんどん人数が増えていく。
「全員そこの壁まで行きなさい! 手は上げたままでっ!」
その指示に、敵は従っていく。
「シマリスちゃん。まだ潜んでいる者はいますかしら?」
『大丈夫。後はもう倒れてるのしか居ないよ』
「わかりましたわ。ヤイバは彼らの拘束を。ママは全員拘束するまで見張ってて。メイドちゃんは周囲の警戒を崩さずに。シマリスちゃんは結果を軍へ報告。よろしくお願い致しますわ」
Jチームは七姫の指示通りに行動を開始し始めた。
「いやー、終わったか。今回もスゴイ銃撃戦だったな」
「白雪さんもよくご無事で。一度襲われている所を見かけましたが、大丈夫のようでしたわね」
「ははっ、見られてたか。ちょっと張り切りすぎて、敵の目の前に出たのがまずかったなぁ」
「そうですわよ。こちらはヒヤッとしましたわ。無茶をせずに、お気を付けくださいね」
「んー、約束はできないな。こういう性分なもので」
「全く、破天荒なお人ですわね……」
「そっちこそ」
七姫は呆れたため息をついたが、どこか楽しげだった。
『ん? あっ! 動いてる人がいるっ!』
シマリスちゃんの忠告に、俺たちは慌てて周りを見た。
そして俺の目線の先には七姫の背後に、寝そべりながらハンドガンをこちらに向けている敵がいた。
「そこだっ!」
七姫は俺の声に反応して、振り向いた。
ビィンッ!
だがそれも遅く、銃は発射された。七姫が気づく前に当たる!
俺は掛け声と共に、七姫を押し倒すように駆け出していた。
ドンッ!
体がぶつかり、俺は抱きかかえるようにして押し倒す。
弾は俺の頭スレスレを通る。
「くぅっ!」
押し倒された七姫が軽く悲鳴を上げた。
ザシュゥッ!
メイドちゃんが即座にその者を撃ち、再び気絶させる。
「大丈夫ですか!?」
慌ててメイドちゃんがこちらに降りてくる。
「七姫、大丈夫か?」
「え、えぇ……。大丈夫ですわ……」
顔を赤くして俺の事を見ている。
七姫に俺は覆いかぶさり、そして見つめ合っている。
お? おぉっ! これはまさしく恋愛フラグの王道ってヤツじゃっ!
「いつまで乗ってんだ降りろぉーっ!」
ゲシッ!
「アウチッ?」
ヤイバに蹴り飛ばされ、俺は七姫の上からどいた。
「おいっ! どこにも怪我はないな? 接吻されてないな? 胸とかもまれてないな?」
どんな質問だよ……。
「大丈夫ですわ。何処にも怪我はありません。それと、助けて頂いた殿方を蹴り飛ばすのは、よくありませんわよ」
「う、ご、ごめん……。なんか焼ける事してて……」
「あら?」
「え? いやっ! 違うっ! ち、違うっ! それは違うんだっ!」
ヤイバって……。テンパるとボロが出るタイプなんだなー。
「警戒レベルを上げましょう。ヤイバは早く残りを拘束してくださいませ。メイドちゃんは倒れている者の拘束。シマリスちゃんは報告はもうよいので、警戒に廻ってください」
七姫は起き上がって、服に付いたほこりを払っていく。そして周りを注意して見回していく。
俺も起き上がって、肩をコキコキと回した。
「本当にありがとうございます。あのままではワタクシは撃たれていましたわね」
「間に合ってよかったよ。それよりごめんな。押し倒したりして」
「アレが最善の方法でしたわ。謝る事はありませんもの。しかし……、殿方に押し倒されるなんて経験、アレが初めてですわ」
そう言うとまた顔を赤くさせる七姫。
「ベタな事でしたが、いいものですわね。それにしてもアナタは罪作りな人ですわ。いつもワタクシを惚れさせるんですもの……」
「え? え?」
バタバタバタバタッ!
倉庫の外から、たくさんの人の足音がしてくる。シマリスちゃんの報告が無いとすれば、軍の者たちだろう。
「ふふっ。せっかくの良いムードでしたが、ここまでですわね。軍もようやく来たようですし、後はワタクシたちにお任せを。白雪さんは早くここから立ち去ってくださいな。でなければ、この苦労が水の泡になりますわよ」
そう言って歩き出す七姫。
さっき惚れたって言ったよな……。
うひゃー……。お、俺はとんでもない所まで、Jチームに踏み入ったのかもしれない!
えらいこっちゃえらいこっちゃっ!
ってその前に七姫が言っていたことは本当だ。早く会社へ行かないと。
その場をこっそり抜けると、駐車しているバイクをこちらに自動運転で呼び出し、急いで会社へ向かった。
事前に俺からの情報で知っていた赤城は会社に残っていてくれて、俺から受け取った写真や情報に、活き活きと仕事を開始した。
手に入れた情報を別々の場所にバックアップし、シマリスちゃんでさえ届かない隔離された所にもバックアップした。
しばらくして軍がやってきて、今回起こった出来事は機密情報として、情報全てが軍によって消去、持ち去られた。
だがこれを予想していた赤城のバックアップによって全て回収するに至らず、軍が見逃した情報を使って雑誌の制作を開始。
そして今週号の雑誌にて、日本はおろか、世界中を震撼させるビックニュースを発表することが出来たのだった。




