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特攻娘Jチーム  作者: 加熱扇風機
第一話 特攻娘Jチーム
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3-7 suicide attack

 敵の視野を確認。死角を映像に表示。サボり癖有りと言っていましたが、これほど酷いと、こちらも退屈します。


 面白くないので、一回肩でも叩いてこちらを振り向かせましょうか。


 トントン。


「ん? なんだ? って、メイド?」


「ごきげんよう」


「ぎゃっ!」


 手の先のスタンガンを肩に当て、相手を気絶させた。近くのパイプに手をワイヤーバンドで結びつけて身動きできないようにする。


 次は向かい側の人。ここから217メートル先。こちらの様子に気づいた様子はない模様。


 つまらないです……。


 ウィディカルボードに乗り、音もなく近づいていく。


 そして相手から3メートル以内に入った。ボードから音もなく降り、歩いて近づいていく。


 敵は向かいの景色をずっとボーっと見ている。……驚かせてあげましょう。


 ウィディカルボードを相手の正面へと飛ばした。


「な、なんだっ?」


 ボードを相手周りでグルグルと飛ばした。


「な、なんだってんだよこれっ!」


「確認済み飛行物体。IFOです」


「え?」


 ようやく私の声に気が付いた相手は、何がなんやらわかってない表情をしていた。


「後ろにご注意ください」


「後ろ? ごふっ!」


 ガンっとボードが後頭部に当たり、相手は沈んだ。同じようにワイヤーバンドで拘束する。


 フラッシュバンで奇襲する位置はもう済んでいますし、合図があるまで暇です。


 ワタシはさっきこの人が見ていた景色を眺める事にした。この位置から見ると、東京と横浜の港が一望出来て、そのイルミネーションが綺麗に映っている。


 ……何故か昔を思い出が蘇ってきます。


 はるか遠くの故郷。今はもう生物は住むことができない死の星になってしまったクロム星を方を見上げた。今日とこの時間であれば、この辺りだろう……。


 地球時間では、生まれて22歳の若さで故郷を離れた。短い間だったけれど、それでも故郷が懐かしく感じます。


 ワタシはあの延命の儀式を受けた時の事を思い出しました。


 ワタシたちクロム人は細胞融合が行われた時点で、新たな生命として誕生する。その後、細胞は死滅することなく、3歳の時には完全体として、生物として完成された状態になります。


 そしてそこから細胞は老化へと辿り、12年から17年間の間で全体の細胞組織を補う事が出来ない程に力尽きます。短命であるクロム人は、大昔から寿命を延ばすことの技術を、何億人と言う研究者が短い生涯の中で、バトンリレーのように技術を磨いてきた。


 ついにたどり着いたのは、己の肉体を捨てて機械と融合することによって、寿命を延ばす方法だった。


 3歳となった者は脳と繁殖細胞を除き、全ての体は取り除かれ、機械へと組み込まれる。


 昔はこれが当たり前で、何も疑問を持たなかった。むしろこの延命の儀式を受ける事は、人間でいう出産と同じ喜びでもありました。


 それが……。今の私には悲しい事に思えてきてしまいます。


 人間は自分の肉体のまま、その命を遂げる。そしてその肉体を墓と言う物に埋葬し、そこに家族は拠り所を作り、死後も付き合う事をしている。


 ワタシたちクロム人には、そんなことは全くありません。親と言う者はいるが、誕生した時点で独立している。既に両親からの知識を得たワタシたちは、生まれた直後から両親が得た知識に頼り、社会へと働きに出ていくのです。


 当然、家族としての付き合いと言う行動は、全く取る事がありませんでした。人間と全く違う生活をしている。


 その一例にクロム人が社会進出を行えるとなった時、ワタシは途方に暮れていました。


 ワタシがクロム星で行っていた仕事は、ソルジャーの仕事をしていました。


 クロム人は仲間意識が高いため、同種族での戦争は一切ありません。ワタシたちクロム人の最大の敵。それは同じ星に住む凶暴生物、ガジャゾーイエと言った生物がいる。


 ガジャ族は知能は低いけれど野蛮な種族で、ワタシたちクロム人が最も恐れ、何千年も生死を掛けた戦争を起こしてきた。


 ガジャ族は自身の体の進化の発展を目指した生物でした。彼らの体は全てが凶器となる存在で、色んな種類の形状をしたガジャ族がいました。


 結局最後はクロム人の卓越した技術によって宇宙へと出て行ったクロム人の勝利で終わりました。彼らはクロム星に取り残されて、死に絶えているだろう。ワタシたちは知恵を付けたことにより、彼らに勝った。


 そんな彼らとの戦いをすることが、ワタシが生まれ持っての使命でした。


 そんなワタシが、社会進出するのにとても困った事。


 敵であるガジャ族が居ない為に、戦う相手がいませんでした。


 ならば戦いの技術を人間の軍隊に役立てればと思っていました。


 しかしクロム人は、何処の国の軍隊にも所属は出来ない。また警察や治安自治体と言う組織にも加入も許されませんでした。


 その理由はワタシも納得している。クロムテクノロジーは、人間にとってとても脅威な物だ。今のワタシの体でさえ、軍の一部隊と対等に渡り合えるだけの技量はあると確信している。


 そんな強力なクロム人を導入した軍や警察は、世界の治安にどんな影響を及ぼすか。


 そして軍に入った時、もし敵にクロム人が居た時には私たちは戦えない。同種族を攻撃する事なんてとても信じられなく、もししてしまえば死して許しを得体ほどの罪悪感に満ち溢れてしまう。


 そんな事がある為に、今はこのような処置が置かれていて、この問題の解決へクロム人は全力で取り掛かっている。


 なのでワタシは仕事先に困っていました。実はワタシたちクロム人は、最初に親から得た知識を有効に活用する以外の仕事をすることはまず無い。ずっとその仕事だけの知識や経験を積み、次の世代にそれを託して一生を終えていくのが普通だった。なので突然自分の仕事が変えられてしまう事に、とても戸惑ってしまうのです。


 環境が変わった中での応用や物覚えが悪いワタシは、とても苦労していました。たくさんの色々な仕事をして、失敗でクビになりました。


 これはワタシ以外にも同じ様なクロム人が多くいて、とても大変な事でした。


 多くの同士が悩む中で、ワタシに手を差し伸べてくれたのが、西条家だった。


 ワタシに与えてくれた仕事は、メイドと言う職業の肩書で、七海お嬢様のボディーガードとしての任務でした。


 ボディーガードと言う仕事はあやふやなラインに入っていて、それをごまかすために、メイドと言う職業を追加に入れて、側に付き添う事のカモフラージュをしている。


 それが今の私の姿である。メイドとしての格好でありながら、お嬢様のボディーガードとして付き添う。


 このボディーガードの職業は前の職業に似ている所があるので、私にとって天職と感じた。


 ただお嬢様には少々困ったお方です。守るべき対象のお嬢様自体が、戦いに赴くのですから……。守り甲斐のあるお嬢様には、本当に困った物です。戦いがいのある困ったお人です。


 困ったお嬢様の為にも、ワタシは頑張りませんと。これはメイドとして、お嬢様の身の回りのお世話の為です。しょうがないのです。戦うしかありません。大事なお嬢様と、仲間たちの為にも。


「……っふふ」


 ワタシは人間と触れ合う中で、今までにない感情が生まれてきているのかもしれない。


 家族……ですか。


 世話の焼ける子程、カワイイと言う言葉をママから教えてもらいました。


 ワタシにとって、お嬢様は家族……、と言う存在なのかもしれませんね。本当に世話の焼けるお方で、トラブルの絶えないお人です。目が離せられません。


 だからワタシは……。お嬢様のメイドである以上に、家族としても愛おしく思えて……。


 カタンッ。


 物思いにふけっていると、物音がかすかに聞こえたので、ワタシは生物反応を確認した。


 暗闇なので光学カメラでは正体は不明。映像機能をサーモグラフィー切り替え、体温を感知。大きさから人間。敵の見張り交代でしょうか?


 ウィディカルボードに乗り、その者へ急接近する。すれ違いざまにスタンガンで射止める!


「おぉーっと! 俺だ俺っ!」


「白雪様でしたか」


 小声でしたが、その声の周波数から白雪様と確認。ウィディカルボードから飛び降りて、白雪様の前に着地する。


「お邪魔するよ。俺もここから潜入して、写真を撮るよ」


「……そうですね。とても効率がよろしいと思われます」


 潜入口であるメイン口と裏口からでは、激戦になる恐れがあるため、大変危険な場所。


 白雪様のフックショットを使い、天井からの潜入で安全な場所への移動。前後から突入してくるJチームを両方取れる配置へと行けるとなれば、これほど効率が良い方法は無いでしょう。


 お嬢様が認めるだけの才能があるお方だけあります。


「さっき七姫が裏口を片付けたよ。もうじき始まるな」


「そうですか。では準備致します」


 ワタシは腰に引っさげてきたフラッシュバン6つを手に取り、腕に抱える。


「手伝おうか? なんかそんな抱えて持ってたら投げにくいだろうし」


「よろしいのですか?」


「おう、任せな。何処に投げればいいか教えてくれ」


「ではまず、ワタシが3本を投げます。その後にあの天窓から垂直に一個。そこの天窓から、段ボールが積み上げられた場所に固まる敵へ一個。同じ天窓から、二階渡り廊下に一個落としてください」


 本来であれば人並み外れたスピードでやれば問題はないが、白雪様が手伝ってくれるとなれば、突入前の準備支度が早く済みますし、お願いしましょう。


「わかった。任せな」


「使い方はわかりますか?」


「あぁ、もちろん。閃光支流弾には、俺もよくお世話になってるからな」


「では、よろしくお願いします」


 その時、お嬢様から連絡が入った。


『全員スタンバイ完了。メイドちゃん、フラッシュバンをよろしくお願いしますわ』


「了解。白雪様、行動開始です」


「わかった!」


『あら、白雪さんが手伝っておられますの?』


 フラッシュバンの安全ピンを二本抜き、窓を突き破りながら落としていく作業中、お嬢様と会話する。


「はい。6つを落とすとなると、全部落とすのに最低11秒は掛かりますが、白雪様のお蔭で4秒で済みます」


 最後の一本も落として、あっと言う間に作業が終わったワタシは戦闘態勢に切り替える。


 両手をウィディカルボードに向けた。ボードの収納部分が開き、そこには特殊な構造の銃が収まっている。ワタシはそれを手にはめる様に付ける。これは引き鉄を引くタイプではなく、私の思考によって弾を発射し、そして連射速度も自在に変える事が出来る特別に作ってもらった武器です。


 バシュッ! バシュッ!


 ピンを抜いて3秒後、フラッシュバンが二つ同時に破裂した音が聞こえる。人間になら高音波により、聴覚をやられてしまいますが、ワタシには全く効きません。


 ワタシの投げた三本目が破裂する時にはワタシは戦闘準備完了。カメラモードを光学カメラから、サーモグラフィーに切り替え、天窓へ頭からウィディカルボードと共に突入していた。


 真っ逆さまに落ちていく中で、しっかりと立っている敵を自分の視野とウィディカルボードのカメラで判別開始。


 ターゲットを複数ロックすると、両手の銃とボードに搭載された銃で撃っていく。


 4本目と5本目がほぼ同時に破裂する頃には、ワタシは既に敵6名を排除。


 6本目が破裂し、殆どの敵はフラッシュバンの奇襲で身動きが取れなくなっている。


 その中で行動がまだ可能な相手に標準を合わせ、次々に撃っていく。


 地上まで残り3メートル。


 ウィディカルボードに足を付け吸着させる。体を反転させてふわりと地上ギリギリに止まり、浮かぶ。


 合計11人排除。この間わずか2.58秒。今回も絶好調です。今のワタシの表情は、ドヤ顔、っと言った所でしょうか。


 光学カメラに切り替えて、周りの状況を確認していく。


 残り23人。そのうち、フラッシュバンの効果が薄い者を達を優先的に狙い撃ちしていく。


 さぁ……。もっと楽しませてくださいっ! ソルジャーとしてのワタシをっ!

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