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特攻娘Jチーム  作者: 加熱扇風機
第一話 特攻娘Jチーム
12/18

3-5 suicide attack

 俺たちはエレベーターの前までたどり着いた。


 自衛隊の一人がエレベーターのスイッチの下にある端末の板を取り外して、持って居た機械と接続して色々と調べている。


「やはりエレベーターは停止状態です。再起動は……、無理です。メインが破壊されているようです」


「よし、ドアを開けろ」


 自衛隊4人が貨物用大型エレベーターのドアを力でこじ開けていく。


 そこには何もなく、エレベーターのぶっといロープだけがあった。中を除くとエレベーター本体は、地下2階に下りているな。


「よし、降下開始」


 二人の自衛隊が、エレベーターのロープにそれぞれ捕まって、降下していく。


 そしてその両隣に居た人たちが、手袋の装置を起動させて、エレベーター内部へ走って飛んで行った。


 その人たちは壁に手を当てて張り付き、そしてペタペタと壁を伝って降りていく。


 ロープよりは遅いが、一人一人そのロープで降りていたら時間がかかってしょうがないな。


 同じようにロープで降りる者、壁を伝って降りる者と別れて進んでいく。


 自衛隊全員がエレベーター内部へ入った。


 次は残ったJチームだけか。降下してくる所をローアングルで撮るか? でもその場合、ヤイバに斬られる覚悟を持たないといけないけどな……。


 七姫とフローラさんはズボンを履いているが、メイドちゃんはフリフリのメイドスカート、ヤイバは袴を履いている。ヤイバのは見えるときは見えるし、何度も見たことがあるのだ。それは言ってないけど……。そして写真が撮れないけど……。撮れたらかなり激レアだよなぁ。


 エレベーター内部を七姫が覗き込んでいく。


「……天井が高いですわね」


 俺はそう言われて上を見上げた。確かに高かった。ただ真っ暗でその天上部分までは全く見えない。どこまで高いんだこりゃ?


「これは地上にまで続いているのではありませんか?」


「え? まさか?」


「メイドちゃん。上の方を調べてきてくださいな。それとママ、引き返して乗り物の準備をしておいてください」


「わかりました。では行ってまいります」


「はーい。了解です」


 そして七姫は、この情報をシマリスちゃんに報告する。


 メイドちゃんは持ってきたウィディカルボードと言う円盤型の乗り物に乗った。


 これは仕事仲間のカルちゃんと同じように重力操作で宙に浮遊できる機械だ。


 直径1メートル、厚さ12センチメートル程の大きさの円形の板で、色々な武装やオプションが付いている。


 メイドちゃんの意志のままに動き、これを使ってメイドちゃんは戦闘したり、人が歩けない所へ移動して行く事が多い。


 ウィでイカルボードの明かりを灯して、上へとゆっくり飛んでいく。


 あぁ、絶対領域が見えそうで見えない。まさに絶対領域。


 別にこれが初めて見る物ではないけどな。今これを写真に撮ってしまうと、ヤイバにカメラを切り捨てかねないな。残念だ……。結構な額で売れるんだけどなぁ……。ヤイバが居ない時に撮らないと……。


「何を見ているんだ?」


「見えてしまう物はしょうがないだろ。そして見えるチャンスに見ない方が損だ。見えなかったけど」


「斬るっ!」


「はいはい、こんな状況で遊ばないでくださいませ。見えてしまうのは仕方ありませんが、紳士な行動を心掛けてほしいですわ」


 俺たちの間に入って仲裁してくる。


「あはは、ごめんごめん」


「なぁ七姫。この上に何があるんだ?」


「一応バックアップを用意してもいいでしょう。軍の方々は気づいていないようですし。今この場にワタクシたちには活躍の場がありませんもの。ならここは、最悪の事態を予想した方の解決に廻りましょう」


「すまん。こんな重要な所を見落としてしまって」


「別にアナタのせいではありませんわ。こちらも初期段階での諜報活動で、地上から侵入出来るルートに見落としがあったのは間違いありませんわ。敵の方も、ここが最高重要機密だった事もあって、相当な機密保持に全力を尽くしたのでしょう。よく見ればそこに妨害電波も設置されていますわ。ウィジャットで発見できなかったのも、アレのせいですわね」


 そう言って左足に取り付けたホルスターから銃を抜き、エレベーター内部の妨害装置へ2発、レーザーで撃って破壊した。


「それに白雪さんが調べた段階でこの場所を知っても、既に手遅れの可能性もありますわよ」


「だからこれは一体なんなんだ?」


 ヤイバはまだわかってないようだな。


「もしミサイルが完成した時、何処からそれを外に出しますか? 大きさにもよりますが、一度分解して、ワタクシたちが通った通路を運んでいくことが可能であればよろしいのでしょうが……。これは完成したミサイルを地上に出すためのエレベーターですわ。普段では地上へ向けては使われないものだったようですわね」


 ピピッ!


『七姫、わかったよ。そのエレベーターの真上はスーパーマーケットになってるよ。それでその内部をRSATで調べたんだけど、駐車場の一部の壁内部に検知できない内部構造物があるの。それがある部分とエレベーターの位置はピッタリ合うんだよ」


「わかりました。どうやらそこから出して運ぶ予定だったようですわね。シマリスちゃん、ここ最近の駐車場から出入りした大型トラックが映っている映像を、衛星で監視していた映像の中から探しておいてください」


『ほいー』


 衛星監視カメラからここ最近の缶詰工場を遥か上空から24時間監視していた事は知っていた。距離的にここまでそんな無いので、そのスーパーマーケットの映像も映っているだろう。


「もう持ち出された可能性があるってことか?」


「えぇ。ここまでCAAが侵入し、この場所がバレているにも関わらず、兵器開発を進めるのはおかしいですわ。それはここにまだあると見せかけて、重要な物は既に持ち出された後の可能性がありますわ」


『お嬢様。地上のドアを開閉できそうです。如何いたしましょう』


「えぇ、開けてくださいませ。ワタクシたちもそちらに向かいますわ」


 七姫は右足に下げたショルダーからフックショットの銃を抜き取った。天井に向けて撃ち、しっかりかかった事を確認すると、ヤイバの手を取って上がっていく。


 俺も腕のフックショットで同じく上がる。その先にはほんの少しだが明かりがさしこんでいて、外の景色が見えていた。



 出口にはメイドちゃんが待っていて、七姫に手を差し伸べて出口へと引き込んでいく。


 俺は体を揺らして、壁を蹴った反動で出口まで飛んで着地する。


「こんな所にもう一つの出入り口が……。全く持って盲点でしたわね」


 その駐車場にはスーパーマーケットへ来た一般車も交じっていて、普段通りの日常がそこにはあった。


『Jチーム。聞こえますか? 地下2階研究施設の占拠を完了した。今どちらにいますか?』


「あら、ご苦労様でした。ワタクシたちは地上に出ていますわ。それもエレベーターから出られる地上の部分ですわ」


『え? それはどういう事ですか?』


「まとめた情報は、シマリスちゃんがそちらに送りますわ」


『はぁ……、わかりました』


「それで兵器の方はどうなっておりますの? そこに兵器はありましたでしょうか?」


『現在確認中です……。えっと……、あの、兵器の方はどうなっているんですか?』


『それが……。無いんだ。ここにあった形跡はあるのに、ミサイルが姿かたちも無い。そしてマテリオンも見当たらない。マテリオンはやはりデマじゃないか?』


 その通信機から出た言葉に、全員の顔が曇った。予想は大当たりって所か。


『七姫っ! 見つけたよっ! そこの壁の部分から大型の箱が出て、トラックに積み込んでいる状況の映像をっ! 昨日のAM6時にやってるねぇ』


 そのシマリスちゃんの言葉に、七姫の表情が明るくなった。


「よくやりましたわっ! そのトラックの追跡は可能かしら?」


「ふふーん♪ バッチリだよ。今そっちに情報を送ったよ」


 七姫は手にした情報を確認する。


「積荷は千葉の港、積荷の倉庫に入れられてますわね。ママ、ワタクシたちの所へ」


『はーい、もう着きますよぉ』


 そう言うとものすごいスピードでエアカーがこちらへ飛んで来て、目の前にスライドしながら停車した。あ、相変わらず荒い……。


 ドアを開けてJチームがワゴン車に乗り込んでいく。


「ほら、行きますわよ」


「え? 俺も乗っていいの?」


 俺はここまで自分の乗ってきたエアバイクで行くつもりでいた。


 別に俺はJチームの一員と言う訳でもない。取材の為に今はいるわけだし……。


「いつもでしたら白雪さんは部外者でしょうが、今回は最後まで付き合わせてあげますわよ。急ぎますので、バイクのある所まで戻っていられませんわよ」


 俺は嬉しかった。それじゃ遠慮なく連れて行ってもらおう。


 車の中は7人乗りか。空いてるのは、前から2番目の真ん中の席、そして一番後ろの後部座席だけだな。ヤイバとメイドちゃんが座ってる真ん中に遠慮せず入り込むのもアレだし、後部座席に行くか。


 車に乗り込む途中で、顔面蒼白のヤイバの隣を通り過ぎる。ヤイバは車内にあった薬の瓶から錠剤を一つ取って、ペットボトルの水で飲んだ。


「あぁ、無事でありますよ……うに……」


 そう言うとヤイバはガクッと意識を失ったように寝始めた。あぁ、例のトラウマか……。


「お兄さん。怪我とかしてない? ここにあるメディカルキットで治療してくよ」


 俺が座る後部座席の隣は、二人分の座席を色んな機材に占領されていた。その囲まれた中に座っているシマリスちゃんが声を掛けてきた。


「あぁ、大丈夫。ほら、一枚撮るよー」


 俺がカメラを向けると、ピースをしながらこちらに笑顔を向けてくれた。


「早くシートベルトをしなさいな。外にほっぽり出されても、知りませんわよ」


 俺は慌てて座席に座り、シートベルトをした。


「ふふっ♪ 今日は白雪さんが乗っているし、ワタシのドライブテクを見せつけちゃおうかしら。張り切っちゃうぞ! それじゃ、しゅっぱーつっ!」


「え? マジです、かぁーーーーっ!」


 ギュンッ!


 ママの合図に車は急発進して、前面からものすごいGが掛かってきた。正面を見るとあっという間に時速200キロに到達したメーターが表示がされている。


 そしてビルとビルの間にぶつかるんじゃないかって言うくらいにスレスレで走り、曲がったり、速度を抑えずかっとんでいく。


「す、すごっ! こんなのに乗ってたのか!」


 ヤイバがトラウマを作る原因だわ。そりゃもう飛行機がアクロバットしてるかの様なGが体に襲い掛かってくる。あまりのすごさに意識が飛びそうになりそうだ。先に逝ったヤイバが羨ましいーく思える。


 ギュィィンッ!


「ぐえええぇぇぇっ!」


 急停止するとともに、魂が体から放り出されそうな感じにエアカーは止まる。き、きっついわー……。毎回ママの運転は見ているが、実体験すると本当に恐ろしい走行だな、これは……。


 シートベルトの強度が強いのが、これほどありがたいと思った事は今までなかったぞ。


「到着~。もっと難しいコースを走りたかったわぁ。やっぱ東京のビル街が一番燃えるわね」


「か、勘弁して……ください。重力安定装置とか使わないんですか?」


 クロム人が高速で宇宙を渡ってくる際もそうだが、平均継続Gに対処しなければ生物は余程頑丈に出来てなきゃ失神、あるいは体を壊す。なので開発されたのが重力制御装置だった。


 今のエアカーにも搭載され、これによって重力を自在に操る事が可能となった。なので乗っている人たちの空間でさえ、戦闘機に乗っていてもただ座ってるのととなんら変わらない、無重力状態にでさえも出来てしまう、現在の人間にはオーバーテクノロジーな技術がある。


「重力って大事なのよ。重力を感じないと、走ってる時に得られる情報が少なくなるのよ。目で見るだけの情報には、限りがあるわ」


「まぁ、一理ありますけど……」


「あら、白雪さんはお気に召しませんでしたかしら? スリルがあって楽しいではありませんか」


 つえぇ……。さすがJチームをまとめるリーダーなだけはあるな。これくらいじゃへこたれないのか。ケロっとした表情をしている。


「ママの車に乗ると、遊園地のジェットコースターなんて、物足りなくなっちゃうよ。あははー……」


 シマリスちゃんもフラフラしていた。それでもパソコンを操作している。根性あるな……。


 バックドアが開いて、そこから遠隔操作浮遊兵器のストロベリーが発進ていった。


「それでは行きますわよ。軍の人たちが来る前に、ワタクシたちで片付けてしまいましょうか。せっかくここまでやってきたのに、暴れられずにいるとストレス発散ができませんわ」


 そう言って七姫たちは車から降りて、暗闇の中を倉庫が並ぶエリアへ進んでいった。


 その後をフローラさんとメイドちゃんが付いていく。


 俺も降りて着いて行こう思った時、気を失ってるヤイバがいつまで経っても動かないので、気になって足を止めた。

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