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特攻娘Jチーム  作者: 加熱扇風機
第一話 特攻娘Jチーム
11/18

3-4 suicide attack

 俺は東の前に居た。


「マジでやばかった……。正直、オレは死んだって思ったぜ」


「オレだってそうだぜ。オマエの事がバレちまったんだとばかり思って、オレは逃げ出そうと思ったんだぞ」


「もう二度とやらないと誓うよ。もしあったら、さっさと遠くへトンズラしたほうがいいや」


「そうだな。早くこの仕事辞めよう。もうマジでヤバくなってきたからな」


「あぁ、オレも辞める。今日はホントに疲れたぜ……」


「じゃあな。ここで長居しても危ないぜ。さっさといけ」


「おう、それじゃな。マジでありがとうな」


 オレは受け取った私物を急いで持って、その場を駆け足で行く。


 ……なんかアイツと接すると悪いヤツには見えなくなってしまったなぁ。


 まぁ仕事をする奴の中には金で選ぶものもいる。アイツのプロフィールとか見てると、そっちの方だろう。実際の所、クロム人を滅亡させることなんて、どうでもいい方なんだろうな。


 けど、悪い事への手を貸したことへの罪は罪だ。アイツがこれからどうなるかはわからないが、自分の罪の代償を全て支払ったら、その夢だったバーを開業させればいい。


 もしその夢が叶ったら、飲みに行ってやるよ。騙して悪かったと言う謝罪と共にな。


 って、この考え方、なんかアイツが死ぬみたいなフラグたってんな。おー、ヤバいヤバい。


 缶詰工場に戻ってきた。明かりはいくつか消えていて、ほぼ真っ暗だ。一応出口までの明かりは足元まで照らされてはいる。


 もしJチームが張ってるとすれば、この暗闇の中に潜んでいると思うが……。


 ピカピカっ!


 その暗闇の中で、俺へ向けてライトが2回照らされた。俺はその光った場所へ向かった。


「お帰りなさい。ご苦労様でしたわ」


 出迎えてくれたのは七姫だった。彼女は手を差し向けてきたので、俺はそれに答えた。


 七姫は両手で俺の手を両手で包んでくれた。よっぽどの事がなきゃこんな事はしてくれないよな。なんか嬉しかった。


「アナタの成果はパーフェクトですわ。文句の付け所もありません。やりますわね」


「白雪様。こちらを……」


 メイドちゃんが持って居たのは俺のカメラと衣服、いつも身に着けている装備一式だ。


「着替えのお手伝いを致します」


「え、い、いや、大丈夫。一人でやるし」


「メイドに着付けをさせるのは当たり前ですわよ。変装させる時もそうでしたが、恥ずかしがらずにどうぞ、奥で着替えてきてくださいな」


 変装する際にパンツ一丁になって変装したんだよな……。


 メイドちゃんは表情変えずにいたが、七姫の方が顔赤らめたり、目が泳いでいたりと恥ずかしがってたじゃないか。そのせいでこっちまで意識してしまった。


 まぁ脱ぐ程度なら七姫は手伝おうとはしないみたいだな。


 俺はメイドちゃんと一緒に、脂肪の付いた腕や足、背中を剥ぎ取っていく。はたから見たらほぼホラーだよな。人間の至る所の皮膚がベタベタと剥ぎ落されていくのだから。


「まだ時間がありますし、慌てなくてもよろしいですわよ」


 衣服をまとい、ワイヤーショットを腕に装着。そして最後に俺のトレードマークと言っていいかもしれない衣装。深緑色のコートを羽織った。


 このコートにはポケットがたくさんついており、色んな小物を入れられる。


 それに何よりも気に入っているのは熱を吸収して体を涼しくしてくれる特殊繊維で出来ている。夏場は見た目暑そうに見えても、これのお蔭でめっちゃ快適に仕事が出来る。


 ワイヤーショットもそうなのだが、熱を放出する装備品をいくつも体に纏っているので、熱くてしょうがないからな。


 着替え終わって、七姫の隣に戻る。


「ふぅ、体が軽い。真宗は太り過ぎだよ」


 体に付けた脂肪はリアル体重と同じになるようにしていたので、105キログラムの体重は半端なく重かった。


「先ほど持ってみましたが、白雪さんの装備類は思っていた以上に軽いですわね」


「そりゃーね。こっちは行動力が命だから、重過ぎて動きが鈍くなったらダメだし」


「まるで忍者ですわね」


「結構意識してるよ。それに忍者物の本も読んでる。結構役立つのも多くて、為になるぞ。今度貸そうか?」


「タイトルはなんですの?」


「秘伝書 伊賀忍術・森龍武斗 自書伝 1巻から64巻もあるよ。でも残念、七姫が思ってる本じゃないよ。それは巻物だからね」


「ま、巻物ですの?」


「あぁ、俺の父さんの方のひぃじいちゃんの家の蔵から見つかったんだけど、面白そうだったからもらったんだ。いやー、全部解読するのに高校1年の夏休みと冬休みを丸ごと使ったよ。室町時代に掛かれた文章だから、節用集片手に読みやすいように解読してったりとね。あんな自由研究は他の子はしないね」


「しませんわよ普通……。それはワタクシよりもヤイバが興味持ちそうですわね」


 ヤイバか。確かに古風剣道少女には、こういうの興味あるかもな。そんなヤイバは何処だ?


「ヤイバでしたら、そこの物陰に居ますわよ。ママもそこに居ます」


 缶詰工場の出入り口付近に居るようだ。


「そうでしたわ。白雪さん、アナタはとても重要な情報を掴みましたわ。これは全世界の平和に影響する事ですわ」


「え? それって……。やっぱマテリオンか?」


「えぇ、そうですわ。ウィジャットの映像情報を見て確信致しましたわ。アーチャーズは本当にマテリオンの研究をしていたと。出所は不明ですが、アレだけの設備を整えておきながら、それを偽りの為だけに用意するのは、アーチャーズの資金状況を考えてもそんな余裕はないでしょう。それに今時ミサイルの研究に何を求めていますの? 普通のミサイルぐらい、買った方が早いですし、製造するにも設備が狭すぎますわ。つまりは、本当にしていたと言う事です」


「わざわざこの日本の人口率が高い千葉なんかで作るぐらいだ。余程の高度な機材を要する必要があったからこそ、ここに実験施設を作ったに違いないからな」


「機材を集めるにも多大な手間と時間が掛かりますものね。特にそれらを人気の無い場所へ運んだりする際には目立ちますものね。それに多くの電力を必要とする。何かしら上手い理由でもなければ、そんな怪しい所へ電力を供給していれば、直にバレますもの」


「木陰の大事だな」


「え? なんですのそれ?」


「あ、ごめん。さっき忍術の話したから、つい出ちゃってね。人を隠すなら人の中、木を隠すなら森の中と言って、目立たないようにその物を隠すときは、何もない所に隠すよりも、それに似た物が多くあるところに隠す方が分かりにくいって忍術の教えにあったんだ」


「ですわね。そのせいでこの缶詰工場は2年間も普通に製品製造をしていましたもの。同じように2年間もアーチャーズはこの地下施設で研究を行っていたのですわ。これだけ周りに人が居て、そこにあるにも関わらず、誰にも気が付かれることもなく」


「あぁ……。もっと人は自分たちの周りにある危機に対して、注意を払う必要があるな。日本人は結構平和ボケしてる部分があるからなぁ」


 そうだな。今回の記事の題材は、身の回りに潜む危機に訴える形にしたいな。


「そろそろ雑談は控えましょうか。作戦実行まで1分を切りましたわ」


 いつもはJチームの行動パターンを読んで動いているが、今回は一緒に居た仲だ。教えてもらえるだろうと質問をしてみるか。


「これからどう動いていくんだ?」


「先行部隊をアメリカ軍の人たちが務めますわ。自衛隊も後に続き潜入。そして白雪さんの情報を元にアメリカ軍はアルファ隊、ベータ隊、エックス隊の3グループに別れて、アルファが非常階段でミサイルのある研究施設へ、ベータが捕虜の救助の方へ向かいますわ。自衛隊の方はエレベーターの方から攻める手はずになっています」


「やっぱアメリカ軍が救助に動くんだ。それでJチームはどうするんだ?」


「どうもこうもありませんわ。アメリカ軍の方々が後は軍に任せろと言って、ワタクシたちには手を出すなと言われていますの。作戦を練ったのはワタクシですのに」


「そっか。それじゃ、遠慮なくハデにやるってことか」


 七姫はクスッと笑った。


 Jチームが軍隊なんかに止めろと言われて、止めるハズがない。


「ま、彼らの近くに居ると文句を言われてうっとおしいので、自衛隊の方に付きますわ。エレベーターからの侵入をしますわよ」


 時間となり、ヤイバとフローラさんが工場の入り口を開けた。そしてそこからアメリカ軍の兵士たちが、隊列を作りながら入ってきた。そして地下施設への侵入口に続々侵入していく。


「シマリスちゃん、行動を開始しましたわ。行ってください」


 通信機器でシマリスちゃんに合図を出した。


『オッケー。ストロベリー、発進!』


 ストロベリーか。それはシマリスちゃんが危険な現場に連れて行くには、まだ子供すぎると言う事で、彼女には遠隔操作のロボット兵器を動かしてもらい、それで戦場で戦っている。


 いつもゲームをやっているシマリスちゃんは、それらの機械の操縦練習と同じで、ただ遊んでいる訳じゃない。今じゃその操作技術はプロ並みである。


「シマリスちゃんはダクトを通って、真っ先に地下二階へ行きますわ。そこで戦いを開始し、ミサイルの起爆装置などの行動を防ぎますわ。シマリスちゃんの他に、アメリカ軍もエックス隊が同じ様な兵器で向かっていますわ」


 うーむ……。クロム人の機械技術のお蔭で、昔と戦術の仕方が、ガラリと変わったよな。


「ワタクシたちは自衛隊と共に行動し、最終目的地の地下2階へ向かいますわよ」


 アメリカ軍の兵士が全員侵入したのち、自衛隊もその後に続いて行った。


「それでは行きますわよ」


「了解っ!」


 ヤイバを先頭にした隊列で、メイドちゃん、七姫、ママの順番で入って行く。


 今回は自衛隊の人たちも頑張って活躍しているし、Jチーム以外の写真も撮っていく。


 自衛隊の勇ましい姿を撮りつつ、非常階段で降り、通路を進んでいく。


 検問所の東の所に辿り着くと、その部屋の中の様子を見た。


 気絶しているようで、後ろ手にワイヤーバンドで縛られて床に倒れている。


 死んではないようでよかった。


 最近の銃には、相手を殺傷させずにこうして気絶させる方が一般的になってきている。


 ギュインッ! ギィン! ギュインッ! ギュインッ!


 電子音の様な発砲音が、廊下の奥から聞こえてくる。戦闘が始まってるようだな。


 Jチームが進む道を俺も着いて行き、そしてついに戦闘が行われている最前線へ辿り着いた。


 シールドを盾にして廊下に並ぶ自衛隊。その廊下の先で、壁から少し体を出して、銃を撃ち続ける敵兵。


 彼らの銃から出る黄色い光を帯びた弾が、機関銃のように打ち出されている。


 アレはバーザと呼ばれる、エネルギー弾の一つだ。


 殺傷能力はそれほど高い訳ではないが、一発当たれば全身の神経系に異常を来して相手を気絶させる効果がある。けれど余り数多く当てすぎるとショック死もあり得るので、危険な兵器には変わりがない。


 昔から使われてきた火薬を使い、鉄の弾を飛ばすバレットとの違いは、残弾数は蓄積エネルギーと比率する為、ハンドガンサイズのカートリッジ一つでも140発は撃てる。そして軽量化もされて、持ち運びやすくなっている。そして撃った時の反動が無い事だ。


 今じゃ火薬式のバレッド銃を使う所は、余り見かけない。


 俺も人生で1回だけ、戦場カメラマンとして戦地で写真を撮っている最中に流れ弾を受けて、その場で気絶した事がある。けれど撃った方は俺が敵でもないのでその場に放置され、気が付けば戦場は収束していて、10時間もその場で倒れていた。


 バレットやレーザーでアレば死んでいたと言われる脇腹に当たっていた。


 レーザーは殺傷能力が高く、威力によるが例え鉄の壁が30センチメートルもあろうが貫通する。


 ウィジャットの鉄格子を焼切るのに使用したのもレーザーだ。アレでも人の腕くらい切断するくらいの威力はある。


 相手の戦力を減らす事を目的にする場合は、レーザーや爆薬系の方が使用される。


 ならレーザーの方がテロリストや犯罪者に多く使われると思うだろうが、レーザーにも短所がある。


 多くのエネルギーを必要とするレーザーでは、出力次第でバーザよりも数が撃てない欠点がある。ハンドガンサイズのカートリッジで約1分30秒ぐらいしか打つことができない。


 秒数単位になっているのは、レーザーは放射式タイプなので表面から焼切る感じになっている。威力の調整も出来るが、人の肉体を切断するぐらいのパワーを上げると、そのぐらいの秒数しか使えなくなる。


 結論を言うと、携帯サイズならバーザ。大型兵器にはレーザーやバレットのタイプを使っていく方が効率が良いと言う事だった。


 結局バーザの開発で戦争での死者や殺人が減ると思われたが、それに比例してより強力な破壊兵器も作られていく為に変わっていない。


 平和の為に頑張った分、全く無駄になっていく人類の愚かさ。そのうち人類は度を過ぎてしまい、自らを滅びの道へ進む事になるだろうなと、俺は思っている。


 その危機の一つとして、マテリオンの研究開発は絶対に阻止しなければならない。これはもう遠い未来の話ではない。既に身近に迫っている危機になっているんだ。


 この危険を俺はみんなに知らせて行かなきゃならない。それがジャーナリストとして使命だ。


「君っ! 危ないから下がってなさい!」


 ギリギリまで前に出て、戦闘の写真を撮る。


 自衛隊の一人がシールド部隊の後ろから、閃光手榴弾を敵に向かって投げた。


 俺も周りの人と同じように、投げた方を見ないように後ろを向いて、耳を塞いだ。


 パシュッ! っと強い光と強烈な破裂音と共に、シールド部隊が前進していく。


 そしてやられてもがき苦しむ敵兵を捕縛。目が見えない中で乱射して錯乱している者を撃ち、気絶させていく。


「ワタクシたちの出番はありませんわねぇ……。自衛隊の方々も中々の精鋭部隊を投入したようですわね」


 七姫はお散歩でもしてるような余裕の歩みで、先頭を行く自衛隊の後に続いていく。


「今回は自衛隊とアメリカ軍の活躍の場って所だな」


「ま、Jチームは何にも縛られず、人数少ないが故に、迅速に行動できる特殊部隊ですもの。こうも計画を細部まで練り込み、そして他に部隊が居ると、あんまりワタクシたちの出る幕はないのです。ワタクシたちが余計な事をしてしまうと、チームワークの練度を崩してしまい、仲間内で混乱を招く結果となってしまいますし」


 ザザーっ。


 俺の隣に居た西条家に居た曹長の通信機から音が鳴る。


『Prisoner of war. Discovery. All members was safe.』


 どうやら捕虜になっていた人たちも全員無事に救助されたようだな。


 後は研究施設の制圧、ミサイルの確保、そしてマテリオンの事実関係を調べる事だな。

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